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ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。  作者: あずももも
14章 魔王城にご招待  聖女として

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418話 大人たちの決断

「また、『ユズちゃん』のおかげでテイマーのモンスターに愛着を覚えてか、モンスターへの忌避感も以前ほどではなくなりつつあります。少なくとも、こちらへ危害を積極的に与えてこない種類や、低レベルでも倒せるそれらへの。――これは『ダンジョン/モンスターと、ほど良い距離感で共存する』という、我が国の目標へのブーストを掛けたかと。ダンジョン政策からの、目標に」


「そして、なによりは――世界からの同情ではなく、応援。それが――彼1人が――いや、彼とその仲間……奥方たち――すなわち君たちと、元敵対的な魔族であった彼女たちによってもたらされたのだ。……この意味が、分かるかね?」


「ちなみにこの会議での発言は一切記録されませんので、他言無用です」

「ですので――どのような発言も許可されます、おふたりとも」


「……え、ええと……?」

「済みません、意図が……?」


複数の大臣たちが次々とたたみかける言葉に、目を白黒させる優と教官。


そんな彼女たちへ――普段は言葉で切った張ったを繰り広げる狸たちは、このときばかりはただの「おじさん」として、まだまだ小娘の彼女たち――娘、あるいは孫の世代の彼女たちへ、屈託のない笑顔を送る。


「――つまり、我が国は何があろうとも『ユズちゃん』を死守するということだよ。国民感情も世論も、他国のそれもあるんだ――だから『この国の何を差し出そうとも』……ね。もちろん、ただで差し出すつもりはないがね」


「「!?」」


と。

一国の首相が――オフレコの場とは言え、明言した。


「国家が、どんなことをしようとも一個人を死守する」のだと。

その重みを――想像できない2人ではない。


「そもそも彼を守れなかった時点で内閣総辞職どころか支持率1ケタ急落での総選挙が目に見えていますからね」


「全ての国家と戦争状態になったとしても、罪を犯していないどころかむしろ被害者の『ユズちゃん』を見捨てた時点で……ねぇ?」


「今年誕生した数百万のカップルに、来年予測される――最低で同数の赤子たち。特に彼らは熱心な『ユズちゃん』のサポーターですから」


「政治家として――いや。人として人間として、アウトですな」

「さすがの政治屋でもブン屋でも、ちゅーばーたちでも理解できる……人として、当たり前のことですね」


「まぁそうなるわけはありませんが」

「ええ。『ユズちゃん』の戦い――その無害性、可愛らしさ、そして優しさに勇ましさ。これらは全て、全世界と共有していますから」


「『ユズちゃん』の同接は、ミラーを『含めないで』1億――政府や各機関が相当数重複しているとはいえ、国内だけでそれほどの関心と同情を得ている『少女』だ。――たとえ内閣が飛んだとしても、見捨てないよ。すでに野党の主だった者へも、根回しは済んでいる。今回だけは政治家の大半がすでに賛同済みだったがね」


「……首相……」

「大臣の方々……」


2人は――まさか聞けると思っていなかった言葉に、思わず涙ぐむ。


「……何より私は『ユズちゃん』の事故紹介配信からのファンでねぇ」

「あ! ずるいぞ、あの日の会議すっぽかしおって!」


……その涙は引いてしまった。


感動が台無しだ。


しかし――その代わり。

2人の心へ、温かい何かが伝わってきた。


それは、「人」であるからこそ感じられる何かだった。


「しょうがねぇじゃねぇか、自己紹介がまさかの事故紹介になるぽんこつロリっ子だなんて、ありゃあもう応援するしか!」

「そうだけどよぉ!」


「お前ら落ち着け。淑女たちが怯えているぞ」

「む、済まない……年甲斐になくダンジョン配信に熱中してしまった爺だから許してくれ」


あとついでに――地が出てきたらしい壮年から老人たちの屈託のない笑みに、ちょっとだけ引いた。


「――と、私たちも……個人的にも応援しているのだよ。『ユズちゃん』を」

「そういうわけだ。……我々だって、政治家の前に、1人の人間――助けられるものなら助けたいのだよ――こういうわけでね」


あっけにとられていた彼女たちに向けられたのは、それぞれのスマートフォン――とガラケーの画面。


「……あ」

「それは……!」


全てがはっきりと見えるわけではないが……2人が見慣れた『ユズちゃん』のチャンネル画面が、そしてメンバー登録しているのが、分かる。


「おっと、これも絶対にオフレコで頼むよ? なにしろ大臣が一個人のファンだと知れたら」

「まぁ『ユズちゃん』なら大丈夫ではあるでしょうが……ね」


「「………………………………!!」」


それは――政治家が、ただのパフォーマンスでしているものではない。

1人の人間として、興味のある人間を知るためにした行動。


――たとえガラケーでも、チャンネル登録とメンバー課金と投げ銭くらいはできるという、「ファン」としての矜持だ。


「――2人とも、安心してくれ。見捨てはせんよ。俺の政治家人生と――俺の命を賭けて」


政争の果てに、そしてポストと利害関係の調整と年齢のために選ばれただけの――けれども、ダンジョンの脅威から人々を守るという一点では国民に信頼されている国家のトップが、はっきりと――誓った。

「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」

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― 新着の感想 ―
これ いろんな意味で面白い展開なんだとけ 勘違いなんたぜ?
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