408話 善意の暴走<だいばくはつ>
「……あと、その者が近づいてきて体じゅうを舐め回すように見てきたり」
「しますね」
理央ちゃんの目線って、だいたい僕の顔か鎖骨かお股だからね。
僕はもう慣れてるからへっちゃらだけど、ああいうのって良くないんじゃないかなって思う。
「 」
「?」
あれ?
銀色の髪の子が白目剥いてる。
綺麗な赤い目がぐりんってなってる。
さっきから理央ちゃんのことばっか聞いてきてるのにお返事してただけなのにね。
「主様、そう根掘り葉掘り聞きますと」
「その分精神的NTRで脳が破壊されます」
「この主様はもう駄目ですね」
「主様は幼体ですのでくそ雑魚ですので」
「……主様に代わりまして最後の質問でございます。夜に薄暗い場所へ連れ込まれ――その後で記憶が飛び、次に目覚めたときに……体のどこかに痛みを覚えたことは」
「あ、はい、何度もっていうか毎回?」
うん、理央ちゃんってば僕に突撃してくると力加減間違えてアザになったりするし。
そのあとはしばらく平謝りされるんだけど、またそのうち忘れて体こすりつけてくるし。
「……何をされたのかとかはご存じで?」
「さぁ? 良く覚えてなくって」
理央ちゃんってば、一瞬でまさぐってくるからくすぐったい以外の感覚がないんだよなぁ。
「「「………………………………!!!」」」
さらには寝てるあいだに触られたりはしてるんだろうけど、眠いと訳がわからないから覚えてないんだ。
けど朝起きたらやけにつやつやして満足そうなこともあるから……やっぱ何してるのか気になってきた。
まぁそれでもおまんじゅうがお胸の先っぽを吸って真っ赤でぴりぴりするようにしてくるアレよりはマシなんだけど。
あ、でも、こういうのは他の人たちも一緒に住むようになってからなくなったっけ。
なんだかよく朝っぱらからひなたちゃんの前で正座してる寝起きの理央ちゃんとかよく見かけるし。
ついででおまんじゅうもその真横でひっくり返ってたりするし。
……もしかして2人は案外似たもの同士?
「?」
あれ?
なんだか静かだなって思ったら……なんでみんな、静まりかえってるんだろ。
「なんと、むごい……」
「こんな、こんなことって……」
「それが――同胞の、しかも幼体に対する仕打ちなのか、人間共……!!」
「しかも、よりにもよって神族から直々に加護を受けているはずの聖なる存在へ……!」
「なんということ……うぅ……」
「神族共はうっとうしいことこの上ありませんが、その精神性だけは確か……それに見初められた存在に、こんな真似をできるのですか人間共……!」
みんなで円陣を組んでぼそぼそ話し合ってる女の子たち。
ちょっと変わった子たちだけど、悪い子たちじゃないみたい。
それにしても……理央ちゃんのこと思い出してたから思い出したけども。
あの子、ダンジョン潜りさんになってしばらくは力の加減できなくって、僕を思いっきり抱きしめすぎて、酸欠でばたんきゅーさせられてたなぁ。
お母さんによると、僕を起こすどさくさに紛れておまんじゅうみたいにおっぱい吸ってたみたいだし。
つまり僕はおまんじゅうの前には理央ちゃんに吸われてたんだ。
そういややけにぴりぴりする日があったのってそれかな。
そんで僕をお母さんと一緒にふきふきしてお布団に入って寝て帰ってたらしいんだ。
理央ちゃんとお母さんはなぜかとっても仲が良くって、僕はそんなふたりのおもちゃなんだ。
……理央ちゃんとお母さんのばか。
良いもん、なんだか連れてこられちゃったし、僕、今日はこっちで寝るもん。
ちょっと反省してよね、2人とも。
……別に、嫌じゃないけどさ。
ただ、そういうことするのってもっと、こう……ムードとか必要だと思うんだ。
僕だって、ちゃんと一緒にお出かけしたりくつろいだりしてるときに、ゆっくりと触ってきたりするんなら別に嫌じゃないし、むしろそうされるって想像するとなんだかお腹が――――
――ふぁさっ。
「?」
僕の肩へ――なんかかっこいい上着を掛けてくれた吸血鬼さん。
「良い。今夜は暖かい寝間着を用意する。聖女よ……怖がらせて済まなかった。安らかに眠れ。安心せよ、絶対に手を出すことはない」
「え? あ、はい」
「私の存在にかけて誓おう。皆の者も良いな?」
「「「もちろんでございます、主様」」」
吸血鬼のお姉さんは――おまたまですけすけで見えちゃってるけど、全く気にしていない様子。
あー、理央ちゃんたちも、お互いのが見えてても気にしないもんね。
女の子だけの生活だと、その辺がゆるくなっちゃうのかな。
それとも吸血鬼って種族の服装だからかな。
エリーさんたちとかもそうだもんね。
ゆるゆるなんだね。
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