401話 のんびりできたおふろ
「上空部隊は、このまま待機です。はぐれ個体メイン、かつ人間様やモンスターの仲間を傷つけない範囲で、残党狩りを」
「しゃあ! 野郎ども……えーっと、あれだ。急降下爆撃ってやつだ!」
柚希の母が保有する、100を超えるモンスターの群れが一斉にモンスターたちへ襲いかかり――整然と進行していた流れが、乱れる。
それを見たエリー・おやびん航空隊が散開。
事前の計画通りの動きへ、人間部隊も動く。
「よし……! 堀を埋めた場所からなだれ込みます! 仮称魔王に連れ去られた柚希さんのため、中程度の損害までなら無視して構いません! ここが最終決戦です!」
「ダンジョン潜りさんたちは月岡さんを戦闘に! リストバンドの使用もご自身の判断で! 消耗品、武器防具、治療費――今回は全てが国負担です! 死なない程度にやりましょう! 活躍に応じての報奨も、普段の10倍となります!」
「「うおぉぉぉぉ――――!!」」
数時間の塹壕戦で溜まっていたストレスを解放するかのような咆吼とともに、それぞれがゾンビの壁へ突撃し、次々と突破していく。
【すげぇ】
【熱いな】
【なにこれすごい】
【こんな大規模な戦い、相当ぶりじゃねぇ?】
【ああ……ユズちゃん関連とロリ女神関連のちょっとおかしい戦闘を除けば、少なくとも民間では11年ぶりだな……!】
【草】
【比較対象がおかしいのよ】
【うん……ユズちゃんってば、おかしいことしかしてないからね……】
【ガチの神様と同等に迫る戦果出してるからね……】
【ガチの神様レベルでちょっとおかしい結果もたらしてるからね……】
【なんでだろうね……】
【そら異世界まで漂う良い匂いだからだろ】
【そっかぁ……】
【そらちょうちょだからだろ】
【そっかぁ……】
【なんでも惹きつけちゃうからねぇ】
【なおそのせいで魔王城に連れ去られた模様】
【まぁユズちゃんなら大丈夫でしょ】
【むしろあのメイドさんとか魔王さんとかが心配になるレベル】
【草】
【大丈夫? 性癖壊されてない??】
【もう手遅れかもな……】
人間と魔族と魔物/モンスター。
通常なら決して合わさることのない存在が互いに――ただひとつの目的だけを共有し、魔王という敵へ立ち向かう。
すべては、星野柚希という存在「から」――世界を救うために。
そのついでに、ダンジョンの最下層の下をぶち抜いて自分の城を作り上げた魔王を討伐するために。
そのさらについでに、人類が未だ奪還できない出海道の橋頭堡を築くために。
すべての意思は、今、ここに団結していた。
◇
「「 」」
「ふぅ……あ、お風呂上がりました」
いやぁ、気持ちいいお湯だったなぁ。
特に広い空間でたったひとりで居られて、隙あらば見て触って触らせてこようとする理央ちゃんたち3人が居ないってのが。
あとヒマさえあれば「孫はまだかしら」とか言ってくるし、若作りもといお姉ちゃんぶってくるお母さんも居ないのが。
警戒しないでのんびりできるって、幸せだね。
「「 」」
……ちょっと前までは警戒すべき相手が理央ちゃんだけだったのに、今やベッドで寝てるときもごろごろしてるときも椅子に座ってるときも、理央ちゃんだけじゃなくてひなたちゃんもあやさんも……優さんまで興味津々なんだもん。
後は、何故かひなたちゃんのことを恐れているらしいエリーさんまで混じってくることもあるし、これまた何故か発情してるおやびんさんがすりすりしてくるし。
なんでだろうね。
わかんないや。
まぁ今のところはおまたを守り続けていられてるし、みんなのお胸とかおまたを触らないで済んでるから大丈夫だろう。
……発情してるのは仕方ないけども、発情してない僕を巻き込まないでほしいなぁって。
でもリリスモードでいろいろ知っちゃったから、邪険にするのもかわいそうって思っちゃうんだ。
誰かを好きって気持ちは、そのままその誰かと子供を作りたいって気持ちになるらしい。
その知識は理解してるからこそ、それを向けられてるのが恥ずかしいんだ。
……僕が男だからって――あ、優さんはそうじゃないんだっけ――僕だけを相手にしなくたって良いのにね。
ほら、エリーさんとかサキュバスさんなんだから、4人まとめて相手してもらえば良いのに。
みんなお互いに仲も良いし、お風呂ではお互いを見つめ合って発情してることもあるんだし、みんなですれば良いのにね。
今度そう言ってあげよっかな。
「僕は見ててあげるから」とか言ってさ。
「「 」」
「「 」」
あー。
それにしても、服を脱ぐときから着るときまで、だーにれも邪魔されないって素敵だなぁ……。
女の子がそばに居るだけで――前はそうじゃなかったけども、リリスモードでいろいろ自覚しちゃってるから恥ずかしいし気まずいんだもんなぁ……。
それに比べてここのメイドさんたちは上向いてくれてるし……ほんと、気が利くよね。
理央ちゃんたちにもちょっとは見習ってほしいな、こういう慎ましさってやつ。
理央ちゃんだけは無理だろうけども。
うん、幼稚園からああだから諦めてる。
そういうのが嫌ってわけじゃないんだ、ただ僕は静かに寄り添うのが好きなだけなんだ。
そういうのは……年に1回くらいで良いんだ。
ほら、クリスマスとかってそのための日って田中君が持ってた本の女の子が言ってたし。
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