395話 迎撃戦開始
【ていうか、ユズちゃん……配信カメラ、なぁんでユニコーンたちに預けてるのぉ……?】
【こんな状況になって初めて気がついたわ、ユズちゃんがそんなことしてるの】
【ダメでしょ!! 何かあったときのために体のどっかにつけるって決まってるのに!!】
【それ思ってたわ】
【おなじく】
【ユズちゃんoutなのになぁんでこっちサイドを空から中継してるのって思ってたらそれだわ】
【あ、ユニコーンの角に引っかけてあるわ、ユズちゃんのドローン機材の発信器】
【草】
【重かったんならしょうがない】
【あの、今どきの機材は軽いんですが】
【ユズちゃんだからね】
【そっかぁ……】
【ああ、初配信も盛大に事故ってましたねぇ……】
【草】
【ユズちゃんが配信ドローンさえ持っててくれたらあっちの状況も分かったのに……】
【ま、まあ、おかげでこっちの情報……いや、100人以上が中継してるから意味ないんだけど……】
【ユニコーンの角が見えてるのも、近くの誰かの機材からだしなぁ……】
【草】
【ユズちゃんだからね】
【これが……ユズワールドか……】
【脳が……甦る……】
【草】
【ほら、戦闘組を応援してあげようよ ユズちゃんはきっと今頃、魔王城内部をちょうちょかサキュバスで染めてて忙しいだろうからさ】
【誰もユズちゃん本人を心配してなくって草】
【まぁいざとなったらリリスになってなんとかするだろうし】
【魔王のこと、ちょうちょで思考回路を破壊するかリリスになって性癖を破壊するか賭けてみよっか】
【うわ、結構な難問だぞこれ】
【わりといい線行きそう】
【親衛隊もそう思います】
【オッズが同じくらいか……あとひとつなんかないか? 大穴でも良いぞ】
【草】
「――というわけですので、おやびん様と眷属の方々! 空を舞い、孤立した個体から、集中攻撃で1体ずつ確実に倒してください! ゾンビですので、倒しきるまで油断は禁物です!」
「おっし分かった! 野郎ども、出撃だ!」
「おう!」
「ユズのおかげで人間たちのうまい食べもん堪能できてるんだ、がんばるぜ!」
「でも最近食っちゃ寝ばっかで太ってきたぞ」
「ばっか、こういうときに役に立つついでに痩せて捨てられないようにすんだよ」
「なるほど!」
「ユズ……ボス……番の相手も探してくんねぇかな……?」
「サキュバスも良いんだけど、やっぱこう……羽がな……」
「同じ見た目のが良いっていうか……」
後方に構えていたワイバーンたちが、サキュバスやインキュバスたちを背中に乗せ、一斉に飛び立っていく。
「久しぶりに張り切るぜ!」
「ワイバーン様♥ かっこいい♥」
「燃やし尽くせ!」
「綺麗だよ、マイハニー……♥」
「やっぱサキュバスでいいや」
「私もインキュバス様が……」
地面をゆっくりと進むしかないゾンビたちに対しての、一方的な航空・火炎遠距離攻撃という作戦は、地上とごく近距離への攻撃しかできない人々にとっては心強い光景だ。
とても心強い光景ではあるが、
「交尾して良い?」
「んー……ワイバーン様ですと、もうちょっと強くなってくれないとぉ……」
「お願い……貯め込んだ財宝あげるから!」
「ハニー? もっと素敵になったらね……」
――上空では、攻撃の合間に謎の求愛合戦が行われていた。
【こいつら……】
【なんか憎めないんだよなぁ】
【まぁおやびんからしておバカだし】
【ばかわいいんだよ】
【つまりはユズちゃんの仲間か……】
【草】
【かわいいね】
【かわいいね】
【ユズちゃんにテイムされるべくしてテイムされた逸材か……】
【人はどうしてぽんこつに弱いのか】
「……私たち地上組としては心強いです! 空からの支援をお願いします! ――ということですから魔法攻撃や属性攻撃ですが、私たち自身は火は厳禁です!」
最前線で指揮をするのは、優。
彼女は剣を掲げ、第一陣としてゾンビたちを迎撃する人々を鼓舞する。
その姿は――まるで勇者。
「柚希さんは……放っておいても大丈夫! はい、何があってもなんとかなるのがあの人です! 気にするだけ無駄です!」
【草】
【草】
【かわいそう】
【かわいそう】
【おい、後ろの人たち笑ってるぞ】
【まぁ悲壮感漂うよりは……】
「それより私たちがやられないよう、時間はかかっても良いので各自、ダメージを受けたり疲労したらすぐに後ろと交代を! 柚希さんは……時間がかかるほどにかき乱すタイプなので! はい、確実に1体ずつ倒していきましょう!」
「「応!」」
高い士気となった人々は陣形を組みつつ作戦通りに移動を開始する。
だが後方で待機中の人々は、
「実感がこもってる優ちゃん」
「かっこいいね」
「まぁユズちゃんなら大丈夫だろ」
「エリーちゃんときみたく、あっさり尊死させて帰ってくるかもだしな」
「てくてくと?」
「てくてくと」
「あの魔王城の入り口から?」
「あの魔王城の入り口から」
「ふと見たら、のこのことな」
「なんならゾンビたちすらテイムして戻ってくるかもな」
「まーた魔王でさえテイムして戻ってくるんだろうな」
――と、士気が高いのか低いのか分からない雑談をしていた。
【草】
【こいつら絶対末裔だわ】
【草】
【ある意味安心できるな!】
【落ち着いたら雑談スレに来てくれないかなぁ】
【あの……緊張感】
【ユズちゃんにそんなものがあるとでも?】
【ないな……】
【草】
【まぁ絶望するよりは】
【確かに】
【しかし見渡す限りのゾンビ軍団……これは相当時間かかるぞ】
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