388話 【ユズちゃんの大規模校難易度攻略配信】11
「へー。収納袋って、あんなものまで運べるんだ……」
「はい、こういった大規模な遠征のときには、容量の大きい収納袋を用意しますので」
「以前に降臨した女神は、この何百倍もすごいものを持っていたらしいのですが……」
ダンジョンの地面を引きずり回されて、土とか砂でばっちくなってたおまんじゅうを水場で洗ったり、チョコを叱ったりしてたら、いつの間にかに今夜の設営が進んでいたらしい。
階段前の、広めの部屋。
完全に安全なわけじゃないけども、夜も交代で何十人態勢で護衛するから大丈夫なんだって。
そんな大部屋のすみっこ――目の前には、何十個ものプレハブが綺麗に並んでいて。
「魔力でお湯が出るシャワーもありますね。……ダンジョン産のドロップ品を組み合わせたものなので、原理は不明らしいですが」
「それでも綺麗なお風呂とトイレがあるって……素敵ですね」
ほう、とため息をつくあやさん。
「あやさん、お風呂好きですもんね」
「ええ、可能なら1日に2回は入りたいです」
なぜかみんなが僕の新しい家に寝泊まりしてるもんだから、あやさんがおふろ好きってのももちろん知ってる。
知ってるどころか、毎日なぜかみんなで入ってるし……もう慣れてるけどさ。
【おふろ】
【おふろ】
【●REC】
【ふぅ……】
【草】
【そうか、今回はちゃんとしたダンジョン攻略……しかも日をまたいでのだから】
【これまでみたいに謎のトラブルで缶詰でもないもんな】
【それはそれで良い匂いがしそうで良かったんだが】
【うわっ……】
【え?】
【※複数日でダンジョン攻略中の女子に対してにおいとかのコメントは普通にBAN対象です】
【そらそうよ……】
【中には自分から良いよって言ってくれる天使も居るんだが】
【ユズちゃんは?】
【普通に良い匂いってみんなから言われてるし】
【なにしろ異空間まで漂うせいでエリーちゃんが来たんだからな!】
【草】
【草】
【そうだったわ……エリーちゃんっていう魔族が来た理由、それだったわ……】
【ユズちゃん本当にいい匂いしそう】
【分かる】
【つまり?】
【はよ】
【お風呂シーン早く】
【音だけでいいから】
【上半身だけ……いや、首から上だけで良いから……】
【\30000】
【\100000】
【ユズちゃんとひなたちゃんはロリすぎて普通にBANされそうだから、理央様とあやちゃんと優ちゃんお願い】
【エリーちゃんでも良いよ!】
【草】
【海外はロリに厳しいからね……】
【でっかいおっぱいよりロリの平坦な体の方がセンシティブって考える海外の方がスケベだと思います】
【思います】
【草】
【てかユズちゃん、紐だけの格好で以前……ふぅ……】
【ふぅ……】
【\40000】
【ユズちゃんが止めないもんだから、あの場面の切り抜き、普通に億再生してるもんなぁ】
【あれは大変に良いものだ……】
軍人さんたちが次々とプレハブを――ちっちゃな袋からにゅって取り出してどんって置いて、それを何人かで場所を微調整したり中の点検をしたりしてるのを、やることもないもんだからぼーっと眺める。
「ほへぇ」
「収納袋がもっとお安くなれば、私たちも普段使いしたいんですけどね……」
はぁ、と横でため息をついてる優さん。
「優さんたちも何日か潜ったりするんですか?」
「はい。深いダンジョンほど実入りも良いので」
「おー」
「 」
「優ちゃん、そろそろ慣れよ?」
やっぱり優さんはかっこいいよね。
【理央様より弱い優ちゃん】
【ユズちゃんが感心した声で毎回撃沈する優ちゃん】
【まぁ理央様はお風呂に突撃してセクハラかます――くせに肝心のちゅーはユズちゃんからじゃないとダメだったダメダメだから……】
【草】
【何があろうとも株が下がる理央様】
【株価、もう虚数の領域に達していそう】
【草】
「じゃ、ゆずきちゃん、お風呂入ろ? おっきめの使って良いよって」
「あ、そうなんだ。じゃあ入りましょうか、みんな」
なんでも湯船まであるお風呂がいくつかあるらしく、僕たちは先に入っていいってことらしい。
ありがたいよね。
「あ、チョコ。おまんじゅうのこと預かっててね。この子、隙を見てはお風呂に入って来ちゃうから」
「ぴ!」
「洗ったばっかだから汚しちゃダメだよ?」
「ぴっ」
にゅるんと上下に延びたチョコがおまんじゅうを――体を人間の手みたいにしてわしっとつかみ、どこかへと連れて行く。
「……チョコちゃん、なんだかずいぶん進化とかしているような……?」
「悪い子じゃないからいいんじゃない? おまんじゅうちゃんみたいにえっちじゃないし!」
「あの、人数的にも精神面的にも、ダンジョンでの入浴はおひとりずつの方が……」
「あ。……そうですよね」
……いつもの感覚で、ついみんなで入ろうとしてた僕たちへ、プレハブを動かしてた軍人さんの1人が、おずおずって感じで声をかけてくる。
「ひなた、いつも一緒だから一緒がいいー」
「わ、私は1人で! ほら、汗とか気になりますし!」
「え? あやさんって汗あんまりかかないじゃないですか」
「理央さん……! こういうときはですね……!」
そもそも僕は男なんだから別が良いなって思ったけども張り付いてくるひなたちゃん、お姉さんだからかいろいろ遠慮しがちなあやさん。
最近は毎日入ってるからか、僕のおまたに顔を突っ込んでこようとしてこなくなった理央ちゃんに、がっちりと鎧を着込んでいる優さん。
……そうだよ、おふろくらい僕も1人で入りたいんだよ。
けどなぜかみんな入りたがるし、気がついたら結婚してることになってるし。
「ふーふは仲良くお風呂に入るものなの! 新婚さんだもん」ってひなたちゃんが言うし。
【きょとんとしてるユズちゃん】
【かわいいね】
【かわいいね】
【みんなの結論が出るまではおとなしく待ってるスタイル】
【でもお口は閉じようね】
【普段は閉じてるけどこういうときはぽかんとしてるのがかわいいよね】
【草】
【そうか……この百合ハー、いつも入ってるのか……】
【\50000】
【分かる】
【妄想が捗って助かる】
【ふぅ……】
【サキュバスが作った百合ハーだからえっちなことしてそうなのに、肝心のサキュバスがユズちゃんだから健全なおふろなんだろうなぁ】
【草】
【まぁユズちゃんだし】
【そういうことするには10年早いよね】
【園児かな? いや、園児でも差し障りがなさそうだもんな……】
【草】
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