383話 【ユズちゃんの大規模校難易度攻略配信】6
「おまんじゅう、チョコ、すごいねぇ」
「きゅひっ!」
「ぴぴっ!」
たぶん何十匹もいたはずの大部屋は、みんなが戦ってたこともあってモンスターがほとんど居なくなってて。
「あ、すみっこ。あそこ」
「きゅ」
「今スポーンしたモンスターさんが、じゅって溶けたみたい」
「ぴっ」
「すごいねぇ」
【ヒェッ】
【じょばばばば】
【ユズちゃん……それ、すごいねぇで済ませる威力じゃ……】
【え? ユズちゃんビーム、2、3分経ってもまだ効果あるの?】
【草】
【草】
【ユズちゃんビームか……】
【ネーミングはかわいいけど】
【ユズちゃんビーム(最低でも大規模上級者ダンジョン&大部屋モンスターたちを数十一瞬で蒸発させます】
【ユズちゃんビーム(しかも最低でも数分は効果が持続します】
【……ユズちゃんビーム、ぐるって囲むようにやれば簡易的なセーフゾーン作れる……? ひとり戦略兵器……?】
【あっ】
【えっ】
【速報・ユズちゃんやばい】
【ユズちゃん……どうして……】
【あの 持続しちゃうんなら、ユズちゃんに撃たせるタイミングと方向と威力、ちゃんとみんなで管理しないと……下手すると部屋から出られなくなったり階段降りられなくなったり、戻れなくなってリストバンド使うしかなくなるんじゃ……】
【あっ】
【あっ】
【理央様! ひなたちゃ――様! あやちゃん! はよ確保ー!?】
「ゆ、柚希先輩っ!」
ぎゅっ。
「ひなたじゃ抑えられないからあやちゃんもお願い!」
「わ、わかりましたっ!」
ぎゅっ。
「?」
右と左から、理央ちゃんの皮でできた鎧で包まれたお胸にあやさんの重いお胸が押しつけられてくる。
理央ちゃんのが僕のほっぺにぎゅうぎゅう、あやさんのが僕の頭をぽよぽよと押してくる。
「?」
「柚希先輩の本気は分かりましたから!」
「ですからもう――」
「え、おまんじゅうたち、まだ全然本気とか出してないよ?」
「えっ」
「えっ」
「んー」
おまんじゅうたちと僕は、テイムの力で繋がってるんだって。
だからこうして、おでこ同士をくっつけると普段よりもはっきりと何を言いたいのか分かるんだ。
「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
【………………………………】
【………………………………】
【ごくり……】
【緊張の静寂】
【傍目にはかわいいのにどうして……】
【あ、周り 全員がユズちゃんたち見て固唾呑んでる】
【草】
【そらそうよ……】
【ここに居る誰もが、ユズちゃんの威力を知ってるからな……】
【威力(ちょうちょ】
【もうおしまいだ……】
【草】
「今のはね、くしゃみみたいなものだって」
「え……」
「この前本気出して、そこから毎日おいしいもの食べて寝て理央ちゃんたちの……裸見れなくて残念だったけど、とにかく幸せすぎたからって」
「え」
「チョコも言ってるね。えーっと? やろうと思えば、数階層程度なら貫通――――――」
「ゆずきちゃん!」
「あ、ひなたちゃん」
【ひぇっ】
【こわいよー】
【数階層……】
【程度ぉ!?】
【なぁにこれぇ……】
【え? ユニコーンはともかくシルバースライムもやばいの?】
【そのようだな……】
【しかもエリーちゃんとかおやびんとかがまだ居るっていうね】
【ひなた様ー! ひなた様ー!!】
ひなたちゃんが――たたたっと走ってくる彼女がどすんっと重い剣を地面に突き刺しつつ、笑顔で言ってくる。
……なんで今、目の前で思いっ切り刺したんだろ?
おかげでびっくりしちゃったよ?
「ゆずきちゃんはね、秘密兵器だから」
「秘密兵器」
「うん、だから、やっぱりダンジョン攻略のメインはみんなに任せようって。ほら、テイムした子たちの活躍取っちゃったらかわいそうでしょ?」
「え? あ、でも、おまんじゅうもチョコも」
「ふたりはすっごく活躍したから。ね、エリーちゃん」
「そうでございます!! ワタシたちにも活躍の場を!!」
「そうだぜボス……じゃない、ユズ! 俺様たちも犬っころたちも目立ちてぇんだ!」
「わおーん、わおーん!」
「に゛ゃー! に゛ゃー!」
【草】
【わんにゃんが必死で草】
【もしかして:知能指数、ユズちゃん<<わんにゃん】
【ユズちゃん……】
【少なくとも空気は読んでるし威力も理解してるし危険も察知してるな!】
【草】
「だよね! 教官のお姉ちゃん! 今回はみんなでの攻略がメインなんだよね!」
「……ええ……その方向性でお願いします……」
「ゆ、優さんもそうですよね! 私も魔法で戦いたいです!!」
「う、うん……ごめんなさい柚希さん、でも、ひなたさんの言うように柚希さんはその……強すぎるので、最終兵器として……」
「ラストエリクサーです柚希先輩!!」
「りおちゃん、視聴者さんたちが言ってたこと間違って覚えてると思うよ」
【草】
【理央様……】
【まぁ意味合いは間違ってないし……】
【そうだよな……ユズちゃん、あのミヅチを蒲焼きにしたんだもんな……】
【けど、どっかで発散させてやらないと……なにしろこのちょうちょ、好戦的だから……】
【草】
【エリーちゃん、優ちゃん、教官さん、お願い……ユズちゃんをこれ以上世界の脅威にしないで……】
【もう手遅れでは?】
【親衛隊もそう思います】
【草】
むぅ。
みんなして、まだ1回しか戦ってない僕たちを止めてきて。
「……僕、まだなんにもしてないのに」
「ほ、ほら! 次の階層からでも、おまんじゅうちゃんの最低出力でレーザー攻撃でもしましょう!」
「そうです! それにチョコさんにもいろんな戦い方があるかもって話でしたし!」
「……うん、そうする」
……しょうがないか。
今回はすごい人数での攻略なんだ。
みんなに合わせなきゃね。
じゃないと、いつもの遠足みたいに先生とか理央ちゃんとか学級委員長たちが僕に張り付いて、いちいち手を引っ張ったりしてくるようなダサいことになっちゃうもんね。
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