324話 リリス/僕
僕は、僕じゃないけどどこかで繋がりのある記憶から、その術式を引き出す。
人の体の構造。
男の人の構造。
女の人の構造。
それらが――僕が学校の授業程度でしか知らなかったはずのそれらが、神経の1本ずつまでインストールされる。
「ぴぴっ」
僕の体に飛びついてきたチョコを分解し、再構成。
僕たちは――ひとつになり。
「きゅ……きゅひ……きゅひひひひ……!」
おまんじゅうが――僕のそばで、これまで貯めてきた力を使う。
ちょっともらうね、おまんじゅう。
君の原動力だから、しばらく疲れちゃうかもしれないけど……どうせすぐそばで僕たちを見てれば回復するんだし。
そうすれば――まだ幼くて足りない僕でも、到達できるんだ。
すべての、頂点に。
【まぶしい】
【なにも見えない】
【将来が見えない】
【人生が見通せない】
【うぅ……】
【草】
【どうして急に落ち込んでるんだよ草】
【なんかこの流れ前にも見たぞ】
【えっと……たぶん、ユニコーンが最初にぶっ放したときじゃないかな……】
【それって初心者講習の?】
【そうそう】
【ああ……あのころは良かった……】
【ああ……】
【まだちょうちょってだけで純粋に喜べた時代だからな……】
【ああ……】
【でも今は……】
【こちら末裔 ただいま――町に到着した】
【早速にやばい空気になってきた】
【なんか非常にえっちな気分】
【あ】
【え?】
【草】
【なに!? なにが起きたの!?】
【こわいよー】
【通信途絶……かわいそうに……】
【ま、まあ、誰か相性のいい人とくっつくだけだから……】
【あ、画面が真っ白じゃなくなってきた】
【助かった】
【見えるようになってきた】
【見え……見え!!??】
「……ふぅ」
「ゆずきちゃんが……」
「また、あの姿に……」
「柚希先輩!? せっかく目覚めた柚希先輩の柚希先輩がないないされちゃったりしてないですか柚希先ぱぁい!!!」
【うるせぇ!!】
【理央様はちょっと黙ってて】
【ひなたちゃんひなたちゃん、このやかましいの縛り付けといてくれない?】
【イヤホンで聴いてたからなんにも聞こえなくなった】
【かわいそうに……】
【草】
【あっ】
【!?】
【朗報・ユズちゃん、また痴女モード】
【あー、蒲焼きのときの】
【ロリ女神と共闘してた大変いかがわしい格好に】
【しかもおっぱいが……ある……!】
【ユズねぇより……ある!】
【ふぅ……】
【紐と小さな三角形だけ……】
【ふぅ……】
【えっち】
【えっち】
【末裔たちが語彙を失っている】
【人間はね、えっちな気分になるとIQが3まで下がるからね】
【草】
【あれ? でも、前よりも……】
【おまたがふくらんでる!!!! ショタよ!!!!】
【しっしっ】
【あー、マジだ】
【前とは違うのか】
【もしかして:生えてるインキュバスから進化したから】
【あー】
【前のはサキュバスから進化したから生えてなかったのか】
【ふぅ……】
【これはこれで……】
【ちょっと男の娘もの買ってみるか……】
【草】
【えぇ……】
【エリーちゃんと同じく痴女衣装に側頭部の角、おしりからは尻尾……】
【羽も生えてる?】
【やっぱサキュバスじゃん!!】
【夢魔だよね】
【インキュバスです!!】
【しっしっ】
【でも今はそれで合ってるっぽいんだよなぁ……】
解放感にあふれる体。
「権能」の数万分の1を解放したからか、とっても体が軽い。
目を開けると――普段よりも10センチ20センチ高い視点。
下ではきょとんとしているひなたちゃん、僕の顔から足までを何回も往復しているあやさん、
「柚希先ぱぁぁぁぁわぷっ」
「だからうるさいってば理央ちゃん」
もう……この子は。
愛の向け方、本当にへたっぴなんだから。
もっと抑えて、普通に伝えてくれてたら……幼い僕でも理解できたはずなんだよ?
それを10年以上自覚できなかったの、ほぼ君のせいなんだよ?
……ま、それも含めて愛しいんだけど。
【!?】
【ガタタッ】
【朗報・理央様、ユズちゃんに生えたおっぱいにぱふぱふ】
【顔が埋まるほどじゃないけど、ユズちゃんの両手で包み込まれている】
【うむ】
【ふぅ……】
【\30000】
【\50000】
【\999999】
【えっ】
【草】
【無言でお金投げるな! 怖いだろ!!】
【やだ、百合紳士たち怖い……】
【理央様一筋の百合教徒より \500000】
【百合のお姉様方怖い……】
【草】
「……ぷはっ」
「落ちついた?」
「ふぁい……」
どさっ。
「み゛っ」
チョコの成分が大半でできた仮初めのおっぱいで、理央ちゃんがきゅーってなって倒れる。
【草】
【草】
【ユズちゃん!? 今、理央様捨てた!?】
【ぱふぱふしてたのにぱっと手ぇ離しちゃった!?】
【ぱふぱふされて捨てられた理央様……】
【変な鳴き声上げながら思いっきり顔から床に……】
【あ、鳴き声はいつものことか】
【さっきも危うくマイクさん壊すとこだったし】
【ま、まあ、絨毯みたいだし……】
「……ユズ、様……」
「うん。 今、リリスを『インストール』したんだ」
「やはり……貴方は……」
「そんなことより」
僕は――この町に展開されている魔法陣へ、アクセス。
「サバトの魔法。 政府の人は、どうだって?」
「あ、はい! その効果が本当なら是非とのことですが、なにぶん前例がないので……」
「あと、他の国の軍隊が来ているそうで……ユズ様!」
優さんとエリーさんは、こういうときでもすぐに情報をくれる。
頭のいい人って、好き。
「ありがとう……じゃない、ありがとうございます」
……インストールしはしたけども、僕は僕……コントロールまでは奪われないようにしないと。
僕はまだ幼いんだから、気合を入れて制御しないとね。
「それじゃ、ちょっと」
ぶぉん。
僕は、転移陣を生成し――起動。
「せっかく発動しちゃったことですし……せっかくなので僕」
お口をぽかんと開けたみんなを見回して、言う。
「発動してる魔法を部分変更するついでに……この世界の人たちにかかっている変な魔法、ちょっと壊してきますね」
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