303話 【速報・婚姻届】
【婚姻届ぇ!?】
【草】
【ユズねぇが楽しそうで何より】
【いやいやいやいや待って待って展開速すぎる】
【なぁにこれぇ……】
【あ、これ、新しい法律での婚姻届だ】
【あ、ほんとだ、昔書いたのとは違う】
【ここはユニコーンの配信だ】
【既婚者はどっか行け】
【俺たちの聖域を侵すな】
【即刻退去せよ】
【実力排除もやむを得ない】
【草】
【草】
【お前ら……】
【一瞬で湧いてて草】
【ユズちゃんの配信だからね……】
【末裔たちは厄介極まりない存在だから隔離しとかないとね……】
【その隔離先がここだったはずなんだが? 既婚者や恋愛できる身分の者共の来る場所じゃないんだが?】
【草】
【必死すぎて草】
【待って落ち着こう 新法でもユズちゃんとひなたちゃんはまだ結婚可能年齢じゃないぞ】
【あっ】
【あーあ】
【草】
【ユズねぇの、このどや顔が……】
【あれ でも拡大すると、ひなたちゃんの名前も】
お母さんが、薄い紙をひらひらと掲げて楽しそう。
でも……え?
婚姻届?
誰の?
お母さんとお父さんのときの?
「ひなたね? このために、ダンジョンなんとかにおける飛び級制度っての使ったの」
「え? 飛び級?」
「うん!」
ひなたちゃんの口から、また聞き慣れない言葉が出てきて思わずで振り向く。
「ダンジョンにもいけなくなってるし、ヒマだからってお勉強がんばった!」
「ええ、私もお手伝いしましたっ」
ふんすっと胸を張っている2人が居る。
「……え?」
「ひなたはね? ゆずきちゃん」
とっ、と、1歩近づいてきて――顔を寄せてくる彼女。
「――――もう結婚もできるし、赤ちゃん、作っても良くなったんだよ?」
そう告げてきた彼女は――あどけない笑顔なのに、なぜかぞくりとするような。
【!?】
【!?!?】
【やべぇこのロリ、ガチだ……】
【じょばばば】
【覚悟決まりすぎててこわいよー】
【てかひなたちゃんたちは大丈夫なん? だってユズちゃん、ショタにもって】
「うん、大丈夫」
「ええ、もちろん」
ほぼ同時に、2人が――なぜか自分のスマホを取り出して、誰かにお返事をしている。
「ひなたはね、ゆずきちゃんだから好きになったの。 年齢も性別も、関係ないの」
「可変になる性別など、柚希さん自身に比べたら些細ですから」
「………………………………?」
「きゅっきゅっ」
「ぴっぴっ」
腕の中で2匹が喜んでるけども、僕は話について行けていない。
「ひなた、もともと女の子同士の妊娠出産研究に投資してくれるよう、お母様とおばあ様にお願いしてたの。 もう臨床段階だけど、あとひと押しってだけで10年くらいかかるかもって言われてたから」
「?」
「それも、柚希さんが一時的にでも男性になれるなら……いえ、柚希さんが女の子のままを選ぶのなら、まだ必要ですね」
「うん! だから続けてくれるって! 早ければ来年くらいにもって!」
「……?」
「え、あの、そこまで進んでたんです……?」
「そうみたいねぇ」
【悲報・理央様、全部持ってかれる】
【草】
【理央様……】
【ああ、やっぱり理央様には不憫属性が……】
【ひなたちゃんたちも、悪気はないから……】
【いや、元はと言えばエリーちゃんが……いや、ユズねぇだわこの流れ】
【ユズねぇ……】
【ああ、婚姻届をひらひらさせちゃって……】
【あ、前のとは色違うんだね】
【名前欄もかなり多いな】
【そりゃ、今の政権肝いりの、激減した人口増やすための法律だし】
【ダンジョン関係者なら肉体年齢が若いままで居やすいとか、レベル高いと、その……精力とか旺盛だとか、そういうのでね……】
【あの 大臣と日向家の繋が】
【ごめんごめんウソウソ、そんなのあるはずないよね(笑)】
【そんなことよりもひなた様とみんなとの結婚を祝福しようよ(笑)】
【こわいよー】
【怖すぎる】
【あの、書き込みした思想とか丸わかりだからそのへんで……】
【これ、どこまで監視されてるのぉ……?】
【※ユズちゃんの配信は普通に注目度高いので書き込みにも気をつけましょう】
「……そうですよぉ! 私、告白したのにぃ!!」
がばりと、やっぱりスマホを見ていて叫びだした理央ちゃん。
……あ、うん……お母さんとエリーさんが変なこと言ってきたせいでつい忘れてたけど、そういやそうだったね……。
「そうですよね! 柚希先輩!」
ずいっと僕の前に来て鼻息が荒い理央ちゃん。
「あ、うん。 告白されて、良いよって言ったよね」
「ですよね! ………………………………えっ?」
「え?」
「……え?」
「え?」
理央ちゃんがきょとんとしてる。
なんで?
「……言いました?」
「え? 言ってない?」
【えっ】
【えっ】
【????】
【※理央様の大告白→答えの前にユズちゃん泣いちゃう→なぜかエリーちゃんがユズちゃん可変暴露→本当になぜかユズねぇが婚姻届暴露って流れです】
【草】
【草】
【マジだ……】
【すっかり忘れてたわ】
【かわいそう】
【かわいそう】
【今回ばかりは本気でかわいそうな理央様】
【理央様……】
【そうだよな、ユズちゃん、確か告白されて理解して泣いちゃったんだよな】
【かわいすぎるいきものだったよね】
【え、でも、ユズちゃん、今】
「……あの、いいよって……えっと……」
「あれ? 僕、喜んでって言わなかったっけ……?」
言ったと思うんだけどなぁ。
だって、理央ちゃんが田中君とかクラスのかっこいい男子とかじゃなくって、僕のことを好きって言ってくれて。
それが、今までみたいな冗談とか親愛の意味での好きじゃないって言ってくれたから、僕も嬉しいからもちろんって。
【もしかして:ユズちゃん、答えはもう決まってた】
【ユズちゃん……!】
【祝・理央様、両想い】
【キマシ】
【今は女の子だろうから百合カップルの爆誕だな!】
【え、でも、答えをあとから聞かされた理央様って……】
【かわいそう】
【かわいそう】
【かわいそすぎる】
【ユズちゃん……】
【ああうん、ユズちゃんの中では理央様と付き合うのは当たり前だったのね……】
【おめでたい……おめでたいんだけど……】
【一世一代の大告白の答えがこれって……】
【以後、月岡と教官さんとエリーちゃん枠に理央様も入ります】
【ああ、おいたわしい……】
【草】
「男の娘をもっと見たい」「女装が大好物」「みんなに姫扱いされる柚希くんを早く」「おもしろい」「続きが読みたい」「応援したい」と思ってくださった方は、ぜひ最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に&まだの方はブックマーク登録で最新話の通知をオンにしていただけますと励みになります。応援コメントやフォローも嬉しいです。




