298話 理央ちゃんに告白されたらしい
【朗報・理央様、あててんのよ】
【ガタタッ】
【ユズちゃんの前はおまんじゅうちゃんたち、左右はひなあや、後ろは理央様か……】
【ユズちゃんが囲まれている】
【素晴らしき哉……】
【あ、でも理央様が抱きついても振り向きもしないで歩き始めてる……】
【草】
【草】
【マジで意識されてないのな……】
【かわいそう】
【かわいそう】
【全国の、幼なじみに恋する乙女たち 好きな幼なじみに対してスキンシップしまくってると意識されやすいけど、認識が「ただの友達」でしかなかった場合は理央様になるからね? 恋愛っていうステージに移るためには、幼なじみの友達からの飛躍が必要だからね? 特に相手が同性とかだった場合は余計にね?】
【「理央様になる」で草】
【草】
【以後、不憫幼なじみヒロインは理央様ということに……】
【幼なじみヒロインってさ……】
【基本、良いとこまで行くけどぽっと出のヒロインたちに……】
【理央様をいかにユズちゃんとくっつけるか同盟はこちらです<URL>】
【草】
【まーたイロモノが出現してて草】
【全国の幼なじみヒロイン好きが集結してるんだぞ】
【不憫系ヒロインには根強い需要があるからな】
【理央様……くっついてもくっつかなくてもおいしいポジションだよ……】
【草】
◇
「おいしかったー!」
「ええ、お店を独占してしまって少々申し訳なかったですけど……」
「さっきのお店、この前バズってたところなんです! 柚希先輩、どうでしたか!?」
「……うん。 買い食いなんて何年ぶりだから、とっても楽しかったよ」
けぷっ。
思わずで上がってきちゃうのを必死で抑える。
……だって、こんな時間からおいしい「無駄な食料」なんて、食べてなかったから。
「今どきのお店って、あんなに綺麗なんだね。 僕、バイト先の喫茶店とかしか行ったことなかったから、知らなかった」
僕が働いてたところは、みんな古かったからなぁ。
「……ゆず……」
「ユズ様……」
僕たちの家を不憫に思ったご近所さんとかバイト先の人たちは、みんなこぞって僕たちにいろいろ分けてくれていた。
飲食店だと、必ずと言って良いほどに賄いがもらえて。
だから、家で1日1食とか2食の日があっても平気だったんだ。
その分の食費を貯金すれば、お母さんのお薬代になるから。
そんな生活だったから。
「こういうの、今度から1ヶ月に1回は――」
「ゆ゛ずき゛せ゛ん゛ぱあ゛あ゛あ゛い゛」
「わぷっ!?」
いきなり泣き出した理央ちゃんに抱きしめられて……く、苦しい……!
「きゅ、きゅひひひひひ……!」
「ぴ、ぴぴぴぴぴ……!」
【!?】
【ガタタッ】
【速報・理央様、攻める】
【理央様!?】
【ついにやるんだな!】
【まさかの路上でとはレベルが高いな……】
【草】
【理央様の扱いよ……】
「……ゆずきちゃんが遠慮なく食べてくれるには……やっぱりみんなの奥さんに……」
「ええ……こういう面では譲りませんから……重婚を……早い内に……」
「そうねぇ……ゆずったら、貰い物でさえ意地でも食べなかったりして、腐らせちゃうことすらあってねぇ……」
ぐいぐいぎゅむぎゅむ。
理央ちゃんがいつにも増してしつこい。
「……ユズ様に理央様の『女』を意識させるには……胸を押し付けられても反応がゼロ。 ここは魅了魔法で発情させるしか……いえ、あれは繁殖に適した体と精神になっていない個体へは……」
「りっ、理央ちゃん……苦しいってばっ」
「……先輩は、もっと贅沢覚えてください!!」
がばっと離されたと思ったら肩をがっしと掴まれて、理央ちゃんの顔が目の前に来ている。
「先輩はっ……! 中学生活も高校生活も、ぜーんぶ棒に振って! 頑固で意地っ張りで、言うこと聞かなくって!」
「り、理央ちゃん……?」
【朗報・理央様、攻める】
【うぅ……せっかくの光景なのに、上空のヘリからのしかないとか……】
【配信用ドローン……ドローン……どこ……?】
【しょうがないよ、またユズちゃんが気分で変なこと言い出すし……】
【草】
【そうなんだよなぁ、ユズちゃん、考えなしで爆弾発言するからなぁ……】
「いい加減、自分の価値に気づいてください! もっと、一生に1回しかない学生生活を楽しんでください!」
「う、うん……」
――そうだ。
僕はもう、数ヶ月前までの――1年に何回かお役所の人が来て「条件はすべてクリアしていますから、蒸発してしまったお父さんとの籍を外し、国の保護を……」って言われてたみたいな経済状況じゃ、もう――ないんだ。
「柚希先輩は! もう普通の人が一生かかっても手が届かないほど働いたんです! もう充分なんです!」
「……うん」
理央ちゃんが――泣いている。
「……私たちが、お母さんもお父さんも、ご近所さんもみんな、どれだけ柚希先輩たちを見て、心がぎゅってしてたか……!」
「……うん、ごめんね」
……こういうケンカ――ううん。
僕のいじっぱりに対して、1年に何回か爆発してきた理央ちゃん。
けど……こうして外で爆発しちゃうあたり、ずっと我慢してくれてたんだね。
「お家でダンジョンのお野菜も、採れるんです……登録者だって、メンバーさんだって、いっぱい居るんです……」
「うん」
「みんな、応援してくれてるんです……柚希先輩の価値は、柚希先輩が思ってるよりもずっと……」
「うん」
ごめんね。
理央ちゃんへ、言いたい言葉。
「そんな柚希先輩のことを、私は本気で大好きで……」
「うん」
そうだ。
幼なじみとして、いつもいつも気を遣ってくれてたんだ。
幼なじみとして、ここまでしてくれるくらいに好きって言ってくれてるんだ。
なら、応えないと。
「だから、どうやったら柚希先輩に気づいてもらえて、結婚できるかって」
「うん、僕も理央ちゃんのことは好き――――――――え?」
え?
……待って?
結婚?
好き。
結婚。
「………………………………!?」
えっ!?
……理央ちゃん……まさか、僕のことを恋愛的な意味で好きって言ってるの!?
いやいやだって、そんなこと今まで一度だって言われことないのに……?
いつものおふざけじゃないの……?
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