294話 【ユズちゃんのおこおこ緊急ゲリラ配信】3
「~~! ~~~~っ!」
痛い……痛い。
ダンジョンに潜ってたあらゆる場面よりも、今が1番痛い。
おでこ。
おでこがぁ……!
【ユズちゃんが悶えている】
【これがユニコーンロリか……】
【サキュバスだよ】
【何をしてもかわいい、それがユズちゃんだ】
【てかさ、もう怒ってるの忘れてるよねこれ】
【まぁ相当痛いだろうし】
【そのようだな……】
「~~~~っ! ~~~~~~っ!!!」
「だ、大丈夫ですかユズ様ぁ!?」
「ゆず、たんこぶなってない?」
目の前がちかちかしてくらくらして、痛くて悶えてる僕。
【なんか嬉しいコメントでもあった?】
【んでそれ見て思わず配信ドローンひっつかんじゃって】
【勢い余ってごっつん?】
【自分で?】
【自分で】
【自爆?】
【自爆】
【草】
【なにこのかわいいいきもの】
【ユズちゃんっていうの 大切にしてあげようね】
【大切にしたいけど、勝手に自爆しちゃうのはちょっと……】
【草】
【草】
「……うぅ……ぐす……お母さぁん……」
「はいはい、診たげるからこっち来なさい」
痛くて涙が止まらなくて、もうどうしたらいいのか分からなくなったからお母さんを呼ぶ。
なんでこんな痛いことになってるんだろ。
痛すぎて、その発端が何だったのかなんてもうさっぱりだ。
「うぅ……あ゛ぅ」
がんっ。
あ、脚が何かにぶつかった……もうやだぁ……。
◇
【あの、ユズちゃんのゲリラ配信って聞いて駆け付けたんだけど】
【残念、もう終わっちゃったよ】
【そうなの!?】
【ああ……】
【ユズちゃんがな……最後は配信ドローン、蹴っ飛ばしちゃってな……】
【草】
【えぇ……】
【それで、肝心の内容は?】
【え?】
【えっ】
【……何だったんだろうね……】
【さぁ……?】
【えぇ……】
【本当に何だったんだろうね……?】
【草】
【いや、マジで誰も分かってないんだよ……】
【なんか最初怒ってて、けど怒ってるのもかわいくて】
【寝起きでぽやぽやしてたし……夢の内容か何かで怒ってた?】
【草】
【草】
【うちの子、そういうことあったわ……寝起きでぎゃんぎゃん怒ってて、「何で怒ってるの?」って聞いたら「夢でムカつくこと言われた!!」って でも夢のことだから何で怒ってるかすら分からなくて、でも怒ってたの……】
【草】
【草】
【かわいい】
【目に浮かぶ浮かぶ】
【さっきのユズちゃんのことだ……】
【ちなみにそのときのお子さんはおいくつで?】
【4歳……あ、ユズちゃんの配信いつも楽しみにしてます】
【草】
【草】
【ユズちゃん……】
【とうとう園児さんに……】
【同世代の子がダンジョン潜りしてるんだもんな】
【最近のサキュバスは低年齢化が著しいな】
【そうだった……この子、サキュバスの王とか、サキュバスで魔族のエリーちゃんじきじきに言われてたんだった……】
【大丈夫? サキュバス滅ばない??】
【サキュバス全体のえっちさが低下する気がする】
【それはサキュバスにとって命取りでは?】
【もしかして:ユズちゃんのせいでサキュバス、絶滅】
【サキュバスはまぁマシだけど、インキュバスまでえっちさ消失したら……】
【草】
【ありえそうでなぁ……】
【いや、ここは逆に尊さアピで生存戦略かも】
【あるあ……ないな】
【あるわけないよね】
【ユズちゃんだからね……】
【なんかエリーちゃんも止めたがったもんね……】
【おいたわしい……】
【ユズねぇはなんでか分かってるっぽかったが】
【そらまあ母親代わりやってたんだし】
【あー】
【もしかして:わりとしょっちゅうある】
【寝起きでぷんすかが?】
【寝起きでぷんすかが】
【草】
【かわいい】
【かわいくてもうどうしたらいいのこのかわいいいきもの】
【愛おしすぎて死にそう】
【あの、配信……】
【ユズちゃんがね、カメラさんにね、思いっ切り頭突きして悶えてる声が聞こえてたけど終わっちゃったよ】
【最後の場面巻き戻したら、あんよが映ってたね……】
【やっぱそうか、蹴り飛ばされたか】
【カメラさんずるい、そこ代わって】
【草】
【草】
【以後、ユズちゃんの配信を解読する作業に入ります】
【難易度はとんでもなく高そうだな……】
【末裔としての想像力と洞察力が試されるぞ】
◇
「ぐす……えぐ……」
「……はぁ……柚希先輩がただならぬ様子でゲリラ配信してたので……」
「私たちも急いで駆け付けたのですが……」
「急いでたのに、もうっ! 入り口の検問がしつこかったの!」
お母さんに撫でられてたら、なぜかまた泣いちゃって。
エリーさんに治癒魔法かけてもらったからおでこは大丈夫なんだけど、なぜか悲しくって。
……そういえば、なんであんなに怒ってたんだろう、僕……?
「エリーさん。 一体何だったんだ……?」
「申し訳ございません……一応、仮にユズ様があのとき感情に任せておっしゃっていた場合、ワタシたちが消滅していた可能性がありますので……」
「……ま、まあ、お母様からも、問題ないということですし」
「分かった……けど、はぁ……朝から焦った……」
「………………………………?」
顔を上げると、理央ちゃんにあやさん、ひなたちゃんが居て。
なぜか優さんと教官さんが居て、エリーさんがうなだれてて。
「ぐす……?」
「……ゆずきちゃん! せっかく来ちゃったんだし、何かして遊ばない?」
「そうですね。 柚希さん、何かしたいことはありませんか?」
2人がしゃがみ込んできて……ひなたちゃんは頭を撫でてきて、あやさんはティッシュを僕の鼻に当ててくる。
「ぐす……ちーんっ」
「はーい、綺麗にしますからねー」
「ひなたも! ひなたもやる!」
「ああああ! ずるいです! 私のお仕事!」
「理央ちゃん? 今は譲ってあげましょうね?」
「……あれで、本当に理央さんよりも1年上……なんですよね?」
「ええ……書類上も、周辺への聞き取りでも確かに……」
よく分からないけど、なでなでしてもらってるし、鼻もすっきりした。
気がついたらひっくり返ってたおまんじゅうがチョコに引きずり回されてる。
……良く分かんないけど、すっきりしたからどうでもいいや。
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