274話 ヘビさんを懲らしめた
「……ふぅ。 おまんじゅう、大丈夫? 重くない?」
「きゅ、きゅひひひひ……!」
「お願いだからこの状態でひっくり返らないでね?」
おなかの中の力を、解放した。
なんで「それ」ができるのか僕自身には分からないのに、なぜか無意識で分かる。
そんな、フシギな感覚。
「おやびんさんは?」
――へへっ……ユニコーンの兄貴に聞いたよりずっと最高だぜ……!
おやびんさんもご機嫌みたい。
だって、おっきな羽が輝いてるもん。
「エリーさんは?」
――ただいま全神経を集中してユズ様の魔力を制御しているのでお願いですから話しかけないでくださいませ気が散ると最悪皆様もろとも半径100キロがユズ様の魔力量で木っ端みじんですからぜひ外を向いていてくださいませ……!
「あ、ごめんなさい、これできてるのエリーさんのおかげなんですね」
確かに、なんでこんなことできるのかなーって思ってた。
けどそっか、エリーさんだもんね。
魔族さんだから当然だよね。
「で、チョコは……仲良さそうだね」
「ぴぴっ♪」
チョコは……うん。
これ以上なく分かりやすいことになってるからね。
【????】
【なんだこれ】
【なんだこれ……】
【さぁ……?】
【光ったと思ったら……】
【なぁにこれぇ……】
【あの、ユニコーンが】
【鎧を……いや、鐙を……?】
【あれは……羽?】
【もしかして:ペガサス】
【別のモンスターじゃねーか!?】
【草】
【ユズちゃんがえっちすぎる格好でユニコーン(のような何か)(ペガサス)(完全に白馬)にまたがってる】
【えっち】
【えっち】
【三角形の面積えっっっっ】
【下っ腹のぷにぷにが】
【おへそが横のくの字に】
【ユニコーンそこ代われ!!】
【ふともものおにく……】
【偶蹄類の背中にユズちゃんの紐パンが……ふぅ……】
ばさっばさっ。
かぽっかぽっ。
「……これ、どっちで浮いて移動してるんだろ……」
なんか怖くなってきたから、僕自身の羽もばっさばっさ。
「これで浮きやすくなるかなぁ……あれ、そもそもどうやって羽動かしてるんだろ?」
【草】
【草】
【なんにも分かってねぇ!!】
【だってユズちゃんだし……】
【ユズちゃんだからなぁ……】
【ユズちゃんだもんねぇ……】
【ユズちゃんは考えちゃダメなんだよ】
【そうだよ】
【感覚派が無駄に考えると逆にダメっていうね】
【それな】
【スポーツでもそうだもんな……理屈とか叩き込むと逆に弱くなるっていう……】
「……ゆず、その格好……」
「あ、お母さん」
にゃんっ。
お母さんが、猫みたいなしなを作っている。
年甲斐もなくヒモでできた下着を着て、両手に猫のグローブはめて、あと尻尾もなぜか生えててお耳も頭の上にあって、田中君のえっちな本に載ってるみたいなポーズを取ってる。
破廉恥だ。
「それやめて」
「ゆず、その座り方もとても危険よ!!」
「だからやめて」
「またがるのはダメ!! ちゃんと横向いて座るの!!」
「いや、そんなことしたら落ちちゃうし……あと、おまたが密着するから安定するし、あとなんか安心するし気持ち良」
「ゆずぅ!!! ダメぇ!!!!」
【●REC】
【●REC】
【ふぅ……】
【ユズちゃんって普通にえっちなこと言ってくれるから助かる】
【お前……小学生になんてことを……】
【ユズねぇがシャウトしてる】
【大丈夫、マイクさんが壊れるには到底足りないから】
【草】
【比較対象がおかしくない??】
【理央様は名誉魔族だからな……】
【けど、ユズちゃんのおまた、若干……?】
【いや、あの寸胴幼女体型を見ろ】
【ふぅ……】
【そこまで見ろとは言っていない】
【草】
【子供ってね? 第二次性徴以前の女の子とか、迎えても幼い子って下半身にもしっかりお肉※削除されました※】
【え?】
【は?】
【草】
【なぁにこれぇ……】
【割とガチでヤバい発言だったのかもしれん】
【見なかったことにしとこ……こわいし……】
『――眷属を吸収……強化……放置、しては……』
「ねぇ、おまんじゅう」
「きゅい」
僕がまたがっていたイス――じゃないけどそれっぽいやつ――色と形と柔らかさ的にチョコだよね、ついででおまんじゅうの鎧っぽいのとか覆ってるし、角まで立派に尖らせてるし。
「あのヘビさん。 懲らしめるよ」
「きゅ」
「チョコも、お願いね」
「ぴ」
「回避、お願いしますね、おやびんさん」
――おう、任せとけ!
エリーさんのおかげで……なんかよく分かんないうちにみんなが僕のおなかの中に居て。
光ったと思ったら、僕が大きくなったおまんじゅうとチョコにまたがってて。
「とにかく、1回でも僕たちで追い払う。 それでもダメなら女神様にお願いするから……行くよ」
きゅいぃぃぃん。
おまんじゅうの角に――完全にお馬さんに、白馬になったおまんじゅうのふさふさした髪の毛のあいだから伸びる、2メートルとか3メートルくらいありそうな角。
それをさらに覆って伸ばしているらしい、チョコの一部。
――そっか。
君たちはそうやって一緒に攻撃、できるんだね。
「ヘビさん」
おまんじゅうの角が――まぶしいくらいに光る。
「少し、反省してください」
『待て、理解した、同盟だ! 対等の同盟であれば文句は無かろう!?』
僕へ攻撃を用意しつつも、さっきまでとは変わって急に下出に出てきている魔王さん。
『其れだけの力が有れば、我の支配する領域の適当な魔物共を好きなだけ喰らわせよう! さすれば更なる力を得、幾千の世界を支配する魔王にも』
「ヘビさん」
おまんじゅうの角に――全部の魔力が蓄積された。
「僕は、そんなのに興味はありません」
「……ゆず……」
「僕は、ただ……みんなと一緒に暮らしたいだけなんです」
角の魔力が――おしっこを我慢し尽くした限界の感覚になる。
「きゅひ、きゅひっ……!」
「別に、ヘビさんが自分の世界で弱い存在を虐げるのは――とってもイヤですけど――止められません。 僕の世界だって、しょせんは人間っていう強者が他の動物とかを虐げてるんですから」
【ユズちゃん……】
【ああ……】
【そう言われると来るものがある】
「そもそもこの世界は、弱肉強食なんです。 だから、その世界で強い存在が弱い存在を食べたりするのは……止められないって思います。 もしそれをするんなら、僕は草すら食べられなくって、何日か後には死んじゃいますから」
【え】
【もしかして:植物すら生物って認識してる】
【あー】
【割り切って考えてるけど、確かにそうだよなぁ】
【そういう見方すると、ほんとうになんにも食べられなくなるし】
【水すらダメになるしな】
「生きるためなら、しょうがないんです。 僕だって、止めません。 ……でも」
おしっこを――学校から帰る途中だったりバイトの途中だったりに急に催して、でも周りに無いから急いで急いで帰って、トイレのドア開けたくらいの感覚。
「でも――さっきみたいに、自分が愉しみたいだけで他の世界の存在まで――ひどい扱い、するんなら」
『待――――――――――』
……スカートめくってぱんつおろして、トイレに座って、力を抜く感覚とともに――――――――――
「反省してください。 この攻撃は、魔力が尽きるまで永遠にあなたを痛めつけます――――――――――」
頭が、真っ白になる。
「――――――――――ホーリー じゃっじ、めんと」
そうして僕は――――我慢してた感覚を――――頭が焼け付きそうになるくらいのそれを――――ずぅっと我慢してた分もぱちぱちとはじけそうになりながら――――吐き出した。
◆◆◆
柚希くんは、10年間貯めていた魔力を放出しただけです。それ以外の何物でもありません。
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