273話 懲りないヘビさん
【悲報・ダブルユズ、サキュバス】
【朗報・ダブルユズ、サキュバス】
【えっち】
【えっち……】
【存在自体がえっち】
【大丈夫?? BANされない??】
【なぜかされてないから大丈夫 今のとこ】
「……僕の中には、おまんじゅうたちが。 お母さんも?」
「ええ、猫ちゃんたちが……あとゆず? その言い方は」
「それで……これの使い方、なんとなく分かるんだけど」
「え、ええ……あの、ゆず? さっきみたいなのはね」
目をつぶると――見えないはずなのに見えてくる、魔力の渦。
これが、魔族ってやつなのかな。
やっぱり人間とは違うのかな。
……そうだったとしても。
「……理央ちゃんたちは、そこ……探してくれてありがとね」
「ゆず、だからぁ……え?」
まずは――エリーさんの力。
足元のダンジョン化した中――真ん中を女神様が吹き抜けにしちゃってるけど――で、へとへとになってた理央ちゃんを。
「……ひー……もームリです、降りるのは良くっても登るのは……もうこれで2往復目で、さすがの私も……へ?」
【!?】
【理央様!?】
【ふぁっ!?】
【もしかして:転移させた】
【えぇ……】
ひなたちゃんを。
「ゆずきちゃん、あんなえっちな格好して……悪い虫が……あれ、ゆずきちゃん?」
【ロリがロリを呼び寄せた!?】
【草】
【あの、今のつぶやき】
【あーあー聞こえない何も聞こえない】
【日向家には逆らうなよ 忠告はしたぞ】
【ひぇっ】
あやさんを。
「ふぅ……高校生までとはやっぱり、体力が違いますね……私ももう歳ですね……」
【●REC】
【えっち】
【これはえっち】
【ちっぱいとちっぱいに挟まれたおっぱい】
【大学生巨乳清楚女子とかいう最高の存在】
【お前ら……】
【汗だくで気だるげなお姉さん……ふぅ……】
優さんたちを。
「思えばあのときからおかしかったんだ……しまいにはなんか破廉恥な格好して空に浮いているみたいだし……もう良いじゃないか、柚希さんは柚希さんで……あの子はもうあの子って枠でみんな納得してくれないだろうか……首相だって『気持ちは分かる』って……」
「柚希さんはユニコーンのテイマーなので男性を近づけないようにとそれとなくしてきましたけど……サキュバス……ユニコーンと相いれない存在じゃないんでしょうか……ダメ……もうわけが分からないわ……しかもあの子が……」
【草】
【かわいそう】
【かわいそう】
【おいたわしい】
【被害担当の2人……】
【なまじ本気で良い人なのがかわいそう】
【ほんそれ】
【月岡……ハーレム作るくらいしょうがなかったんだな……】
【このときのために良い思い、先にしてたんだな……】
【教官のお姉さん結婚してください】
【草】
――そして、みんな。
「だから言っただろ!? あの色気は半端じゃないって!」
「さすがは年少さんからの付き合い、説得力が違うな」
「ねー、ユズちゃんの小さいころの写真要るー?」
「いるー」
「さんきゅー」
「まさかサキュバスだったとはな……」
「どおりで幼稚園から毎週告白イベがあったわけだ……」
「な」
「まぁほとんどユズちゃんは分かってなかったわけだが」
「な」
「俺の初恋はな、ユズちゃんだったんだ……」
「大丈夫、ユズちゃんの知り合いの男は大体そうだから」
「女の子も結構ね……理央ちゃんのために引いたんだけど」
「こじらせた子も多いからねぇ」
「おかげで女の子に走る女の子、共学なのに多いし」
「理央ちゃん居なかったら、今ごろ100人くらいから捕食されたんじゃない? ユズちゃん」
「誘い受けで来る者拒まずな性格だし……押し倒されたらわけが分からないまま受け入れそうだし……そんな爛れた百合も見たかったわね……」
【草】
【草】
【草】
【親衛隊だ!】
【会話の内容が】
【親衛隊の配信でも盛り上がってたな!】
【ユズちゃんの学校行事の写真とかな……】
【がめつく小遣い稼ぎしてやがる不届き者も居たな】
【ばかばっか】
【ユズワールドで破壊された奴らだ……哀れんでやれ……】
「……ってユズちゃん!?」
「ほし――がってたぬいぐるみ、今度あげるね!」
「あっぶえ」
「気をつけろよ、生配信だぞ」
「てか私たち、空に浮いてるー!?」
……これだけの人が、僕たちの身を案じて……2度も突撃してくれたんだ。
「みんな、ありがとう」
僕は、みんなに頭を下げ――
「……じゃないです先輩!? 上着! せめて上着羽織って!?」
「柚希さん……露出趣味は……いえ、柚希さんがその気なら私も……」
「ふぅん……ろしゅつ。 よく分かんないけど、お母様に言えば大丈夫にしてくれるかな」
――エリーさんの力でぷかぷか浮いてて怖いはずなのに、3人がいっせいに飛んできてもみくちゃになる。
「すんすんすんすん……やば、柚希先輩……」
「はぁ……普段よりも、香りが……」
「ゆずきちゃんはだれにもわたさないだれにもぜったいわたすくらいなら……」
【朗報・サキュバスモードユズちゃん、良い匂い】
【あの、ひなたちゃんが】
【ひなたちゃんはね、日向家の血に目覚めちゃったんだよ】
【ユズちゃんが悪いよね】
【ユズちゃんが悪いな】
【ユズちゃん?? 責任取って百合ハー築こうね??】
『――斯様……に……! 虚仮に……されたのは……!』
「ああ、まだ居たんですかヘビさん」
『――――――――――!!!!』
3人をそっと離し――さっきまで白目向いてたけど今はこっちを見てる魔王さんの目を、見返す。
「早く帰ったらどうです? もう2度と来ないなら見逃しますよ」
『――――――――貴様貴様貴様ァァァァ!!!』
「そうですか。 ならしょうがないですね」
僕は目をつぶり。
「……チョコ、おやびんさん……それに、おまんじゅう」
僕の中に居るみんなに、お願いをする。
「悪いヘビさんを、こらしめたいんだ。 ……協力、してくれるかな。 ……うん、ありがと」
「ゆ、柚希先輩……?」
「みんな、ありがとう。 僕たちを助けようと、こんなにもしてくれて」
僕は、周囲に転移――避難させたみんなに、改めての感謝を伝える。
「あと、ごめん。 ちょっとみんなの家……壊しちゃうかも」
「え?」
「まぁ」
「じょせーきんとかダンジョンふっこーひとかたくさん出るから気にしなくていいよ、ゆずきちゃん」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!? ……教官さん、至急下の人たちの非難を!?」
「しゅ、周囲に展開しています方々はただちに撤退してくださーい!?」
下を見ると、わぁっと離れていく人たち、車両。
……感覚的に、人の被害は出なさそうだけど……それでも安心できるね。
みんな、ありがとう。
そうして僕は、おなかの中のみんなの力を借りて――。
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