245話 【速報・ユズちゃん、押せ押せ】
見た目より実際には臆病で、繊細で、人の心が分かって。
そんなエリーさん。
彼女は――僕たちの身を案じて、自分から不利になろうとしている。
けど、そんなのは嫌だ。
だって君は、僕たちを守ってくれたんだから。
「エリーさん。 君はこうして、僕たちを救ってくれた。 ダンジョン化の情報を、教えてくれた。 ……エリーさんたちが不利になることばっかり、教えてくれました」
「それは……ワタシが、ユズ様と仮契約を……」
「……エリーさん」
「ひゃうっ!?」
エリーさんと目線を合わせるため、彼女の前に座って、彼女の両肩をそっと掴む。
さっきから目を逸らして顔を逸らしているんだ、こうでもしないと説得できないから。
【ガタタッ】
【キマシ?】
【ユズちゃんが攻めか……!】
【理央様は!?】
「……………………! ……!!」
【先に察したあやちゃんと教官さんがホールド中】
【草】
【ナイスホールド】
【理央様……】
【理央様はダメダメだからね、しょうがないね】
【何もかもをぶち壊しにしちゃうからね……】
「仮契約から本契約……テイムって、どうすればいいのかな」
「え、ええと……ユズ様からは全幅の信頼が来ていますから、あとはワタシが受け入れたら……」
「そっか……なら」
「ぴゃいっ!?」
ぎゅっ。
エリーさんの匂いで包まれる。
お母さんとも理央ちゃんとも、ひなたちゃんともあやさんとも優さんとも違って、なんだかくらくらくる匂い。
【キマシ】
【そういやユズちゃん、ときどき素の口調になるよな】
【普段はおどおどですますっ子なのに……】
【こういうときだけ……】
【理央ちゃんとユズねぇ以外には遠慮がちだもんなぁ】
【もしかして:ユズちゃんもサキュバス】
【そうじゃないの?】
【そうでないとでも?】
【草】
【生粋のサキュバスを真っ赤にさせるんだぞ?】
【サキュバスの上位種族だったか……】
【ユズちゃんは、最初からエリーちゃんに慕われる存在だったのか……】
【なんか納得できて草】
【草】
【羽も生えてるし、手当たり次第女の子堕とすし、視聴者も堕とすし……うん、サキュバスだな!】
【サキュバスかその上位存在でしかないよな!!】
【その論理でいうとインキュバスにもなるの!?!?】
【しっしっ】
【これでショタだとするともっとやばいだろ! いい加減にしろ!!】
「あ、あのっ!? ユズ様!?」
「――――――――エリーさん」
どきどきどきどき。
彼女の心拍が聞こえる。
……理央ちゃんは、いつも駄々をこねる。
大抵のことはしょうがないなって聞くけども、どうしても聞いてくれないとき。
優しいくせに根っこのところでは頑固な子には、こうしてあげるんだ。
もっと、ぎゅっと引き寄せて――理央ちゃんに効果的な、唇が触れ合うくらいの距離になって。
「――僕を、受け入れて――――くれないかな?」
「 ゜ 」
【草】
【あ、堕ちた】
【これは堕ちたな……】
【今なんて発音した??】
【白目剥いてら】
【草】
【すごいだろ? これで本人はただの人間のつもりなんだぜ?】
【自称で普通のJK名乗ってたんだぜ?】
【やべえよこの破壊力……】
【画面越しでもやばい】
【後でASMR販売よろ】
【私、女なのにきゅんと来ちゃった……】
【どうしよう興奮がやばい】
【俺、ユズちゃんみたいな子から押し倒される以外もう無理だわ】
【俺も……】
【草】
【大惨事で草】
【ユズワールドだからね……】
【ユズちゃんが覚醒している……!】
「僕には、君が必要なんだ」
「 」
「だから――このまま抵抗しないで、僕を受け入れて。 ……ね?」
「 」
【あっあっあっ】
【 】
【イヤホンで聴いてたから脳がぶっ壊れた】
【ヘッドホンで聴いて洗脳されたわ】
【しゃあない】
ぎゅっ。
ちょっと痛いくらいに、抱きしめる。
「ぴゃっ」
けども理央ちゃんよりも柔らかいお胸と背中の感覚で、彼女を説得するときよりは痛くない。
【●REC】
【キマシ】
【タワー】
【ねぇ……ユズちゃん、こういうときの声ってやっぱ……】
【正直たまらない】
【分かる】
【けっこう低い声出せるんだよね、ユズちゃん】
【なんか安心する声だよね】
【これが……恋……?】
【エリーちゃんを見ろ 「僕を受け入れろ」って、抱きしめられて耳元でささやかれて真っ赤になって固まってるぞ】
【これはしゃあない】
【人を魅了するえっちな存在でさえこうなのか……】
【えっちな存在だからこそ真っ直ぐな心でとかなんとか?】
【てかサキュバスでも一瞬でここまで堕ちるって】
【ユズちゃんってばタラシ属性持ち?】
【だってあの理央様があんなのになっちゃうくらいだし】
【草】
「ほ、ほわぁぁぁぁ……」
「大胆……良いですねぇ……」
「 」
「ぴ? ぴ?」
あ、そういえばあやさんたちも居たんだった。
ついでにチョコとおまんじゅうも居たね。
おまんじゅうたちは役に立たないけども。
「わ、わかひまひた……わかひまひたから」
む、これはまだ逃げる可能性があるパターン。
理央ちゃんとの経験が役に立つね。
「だーめっ」
「 」
【 】
【 】
【 】
【 】
【ユズちゃんの追撃!】
【あー、親衛隊たちが崩れ落ち始めてますねー】
【草】
【これはなぁ……】
【ユズワールドに浸って侵食されてるだろうからなぁ……】
【メンタルが?】
【メンタルが】
【情緒も?】
【情緒も】
【草】
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