244話 縁側でエリーさんと
「ごめんなさいねぇ、うち、狭いから……庭だけは無駄に広くて雑草まみれで、今はその代わりにお野菜が山積みだけど……」
「しかも今は電気も水も来てないもんねぇ……一時期、電気とガスまで止められたっけなぁ」
「あ、先輩! 冷凍食品、まだギリいけそうです!」
僕の家があるとこに戻って来てから少し。
みんなの人数が人数だから全員には無理だけど、とりあえずでお湯を沸かして安いお茶でひと休み。
こっそりもらってた消費期限切れで買い置きのお水と、これもまた要らないからってもらってた大量のガスボンベが役に立ってるね。
お茶の葉っぱもお年寄りからよくもらうし、こういうのだけは並みの家庭並みにあるんだ。
【あの、今さりげなくユズちゃんが闇を】
【水道まで行かなくて良かった……良かった……】
【電気ガスはなぁ】
【持ち家でまだ良かったのか】
【苦労した分しあわせになって……】
【メンバー、入るからねユズちゃん……】
【投げ銭の時間だ!】
【ユズちゃんが困らない程度にな】
「で、このあとどうしたら良いんでしたっけ、エリーさん」
「はい、ユズ様。 もう少しでこちらのダンジョン化も解消され、直に元の空間へ復帰するでしょう」
縁側に座ってもらって……あとは露出の少ない服になってもらったエリーさん。
その手元にはおまんじゅうとチョコ。
すっかり打ち解けて、今やふとももの上でのんびりしてる。
「きゅ、きゅひぃぃぃぃ……!」
「ぴ、ぴぴぃ……!」
「もう、スケベさんですねぇ先輩方は」
【ユニコーン、お前……】
【それを笑って許してくれるエリーちゃん……】
【えっちなら良いのか? えっちなら何でも良いのかこの偶蹄類!!】
【しかもシルバースライムも真似しちゃってるし】
【まぁ真似してるだけでしょ】
【セミスタイルを?】
【セミスタイルを】
【尊死芸は?】
【……ノったときは?】
【草】
【いかがわしい……】
【やらしい……】
【ねぇねぇエリーちゃんエリーちゃん】
「あ、はい、何でございましょう人間様」
【即答!?】
【優しい】
【かわいい】
【かわいい】
【美少女過ぎて目が焼ける】
【草】
【あのさ ユニコーンが懐くってことは、エリーちゃんは……】
【!?】
【ガタッ!】
【!!!!】
「そうですね、ワタシはサキュバス出身ですので雌で、あとは経験もありませんのでユニコーン族様の対象ですね。 サキュバスとしては、経験がある方が力は増えるのですが……まぁその必要のない魔力のある世界でしたので」
【マジか】
【じゃあ最初はなんで優男?】
【あれじゃね? 最初はユズちゃんが好きそうな男ろろろろろろ】
【ろろろろろ】
【草】
【精神が軟弱すぎる】
「ふふっ……つまり。 ……おまんじゅうせんぱいの、だぁーいすきな、しょーじょ♥ なんですよ……?」
「 ゜ ゛ 」
「ぴ?」
【草】
【草】
【朗報・ユニコーン、息絶える】
【そらえっちの塊なのにユニコーンの好きな属性からこんなささやきかまされたらなぁ】
【お前……ユズちゃんから浮気するのか……?】
【わりと最初からあやちゃんとかあやちゃんとかあやちゃんとか浮気してた気が】
【草】
【羨ましい】
【処する?】
【ユズちゃんの身が安全になったらぜひ】
【草】
【大丈夫大丈夫、エリーちゃんがささやけば息絶えるから】
【何回でも処刑できるね!】
【草】
【これで上下関係がばっちり決まったな!】
【ユズちゃんとかにセクハラかましてばかりのユニコーンより、清楚系えっちで処女のエリーちゃんだよな!】
【お前ら……】
【男子さいてー!】
【眷属だもん、しょうがないんだもん】
【草】
【お前ら忘れたのか? 外にはたくさんのインキュバスが居るんだぞ?】
【ごめんなさい】
【私はあのお兄さんたちの方が良いです】
【みんな美形過ぎてねぇ】
【女子さいてー!】
【草】
【人類って愚かだね】
【今さら?】
【草】
「ふぅ……けれど、本当によろしいのですか? ユズ様」
「んぅ?」
聞いたところによると、謎の力でコメント欄を見れてるらしいエリーさん。
しばらくみんなと戯れてたらしい彼女が振り返ってくる。
あれ?
普段ならおまたとかお胸に鼻突っ込んでるはずのおまんじゅうがやけに静かだ。
まぁいいや。
「ワタシたちを……その、このまま生かしておいて」
「だって、帰れないんでしょ? みんな」
【魔力使い果たしたんだっけ】
【まぁあんだけのことしたらなぁ】
【けど確かに心配だよな】
【何しろ魔族だからなぁ】
「コメント欄の皆様もおっしゃっていますが、ワタシたちは人間様に敵対している種族……ユズ様方の安全を考えますと、ワタシたちに死ねと命じてくだされば」
「エリーさん」
ぎゅっと胸を抱いて、またあのコアってのを取り出してるエリーさん。
……この人……ううん、この子は本当に。
「エリーさんたちは、みんなを守ったんです」
「いえ、それはワタシが皆様を召喚して」
「それでも」
綺麗な顔だからこそ強く伝わってくる、彼女が感じている罪の意識。
うん。
この子は、良い子だ。
最初は優しいお兄さんみたいな見た目になってたんだ、あんな感じですらすらと嘘並べたら、僕たちなんか簡単にだませたはずなのに。
それを、しないんだ。
◆◆◆
ないないされていました。今日からまた通常ペースです。
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