224話 【速報・えっちなお姉さん、味方入り】
「――この通りに」
顔を上げた「彼女」の胸元から――彼女の目と同じ色の宝石のようなものが出現する。
「ワタシの――いえ、ワタシの種族全ての等価のコアです。 こちらを、主様――ユズ様に、お預けします。 ……御姉様、お手数ですが、こちらを所持していていただいても?」
「え? ええ……あ、あたたかい……」
「……きゅ」
「ぴ」
「もし、ワタシ共が主様の不利益となると判断された場合、先輩方でしたら――軽く攻撃するだけで、ワタシを絶命させられますし、ワタシの眷属の何割かは瞬時に消失、残りも大幅に弱体化するでしょう」
【???】
【コア?】
【コアって】
【あ、これ……ぶらり地球旅してた女神様が、モンスターたちにあるって言ってた急所のこと?】
【え? え?】
【……繋がっちゃった?】
【繋がってしまったな……】
【こんな場面で、モンスターに核となるコア……命中させたら一撃で倒せるウィークポイントの実証が】
【魔族が言うんだからな】
【でも、それならどうしてコアをユズねぇに】
【てことはやっぱりこの人たち、人に見えるけど人じゃなくって】
【ああ……】
「…………きゅっ」
「ぴぴっ」
「有り難うございます。 ――――では」
了承の意を得たのか、2匹から警戒を解かれた彼女は立ち上がり、高らかに宣言する。
「只今より――我らは、ユズ様、及び御姉様、並びに地球人族の皆様との戦闘を完全に停止」
ざっ。
数千に膨れ上がっていて、さらに空中のワープホールからも次々と現れてくる肌色満載の種族たち。
「一族の命運を賭け――例えこの身滅びようとも、ユズ様たちだけは安全にお返しすることを宣言する。 ――者共」
ばさっ。
数千、数万対の羽が、広がる。
「強欲な魔王から――姫を、守り通すぞ」
◇
【えっちなお姉さんと聞いて】
【うわぁ、えっちだ……】
【えっちすぎて一緒に観てる家族と気まずいんですけど!!!】
【草】
【大丈夫? これBANされない??】
【配信サイト君は思春期だからなぁ】
【大丈夫だろ ユズちゃんたち、落ち着いたら勲章もらえるそうだし、そもそもこんな情報の塊な配信、国家が意地でも止めさせないだろ】
【確かに】
【ほんと、目を離すとすーぐ新事実が飛び出すからなぁ】
「……これ、どうなっているのかしらぁ……?」
ワイバーンたちが現れたときのように――そしてドラゴンたちが出現したときのように。
それよりもずっと――体もワープホールも小さいが、数だけであっという間にその小ささを補っていく、ヒトのような存在たち。
それらの中心に立つ「彼女」は、近くでぼけーっと彼女たちの出現を眺めていたワイバーンに接触する。
「ワイバーンの先輩……とお呼びしてよろしいでしょうか」
「ワイバーンつったってたくさん居るぜ?」
「では、おやびん先輩と」
「へへっ……照れるぜ」
【草】
【草】
【おやびん……】
【ちょろすぎて草】
【botでしかないおやびん】
【ダメだ、このワイバーンキャラが良すぎる】
【おやびん、もしかして相当のバカだな??】
「現在、そちらはおよそ150に対して700ほどでしょうか」
「結構減っちまったけど、まぁそれなりに裏切った同胞は片づけたぜ」
「抵抗は無いので?」
「俺様たち、大きくなるまでにほとんど食われるからなぁ……俺様が魔族になったときに逆らってきた奴らも倒してきたし、別にどうでも良いぜ」
【ひぇっ】
【ワイバーンでもか……】
【もしかして:魔界?やばい】
【やばすぎるだろ】
【魔界は完全実力主義の弱肉強食か】
【ドラゴンとかクラスがわんさか居て、ワイバーンすら被捕食者か……】
【なにそれこわい】
「……では、部下の方々へ通達してください。 ワタシたちが、それぞれの援護に侍ると」
「お? おう」
ぱちん。
「彼女」が指を鳴らすと、彼女とよく似たヒトガタたちは数を揃えながら「おやびんの子分」たちへと群がる。
「ワタシたちが援護します。 アナタたちは、数を減らさないようお願いします」
「つまり……どういうことだ?」
「……ワタシたちが援護しますので、全力で戦ってください」
「おう!! 聞いたかお前らぁ!!」
【朗報・えっちなお姉さんお兄さんたち、仲間入り】
【この人たち……魔族?たちは何故に仲間に?】
【さぁ?】
【ユズちゃんの目の前に出てきたし、やっぱりユズちゃん関係だろうけど】
【もしかして:良い匂いすぎて遠距離からテイム】
【あー】
【草】
【あり得そうなのがなぁ】
【違う……これテイマーじゃない……なんかもっとこう、別の何かだ……】
【草】
【当たり前だろ?】
【そうだよ、ちょうちょと人間を一緒にしちゃダメだよ】
【そっかぁ……】
【草】
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