222話 【速報・ユズちゃんおねむ】
「おかあさぁーん……おやすみぃ……」
「ゆず!? ちょっと、あなたが寝ちゃったら……ゆずぅ!!!」
【草】
【草】
【すやすやユズちゃん】
【ああ、もう夜だからねぇ……】
【昨日もおしゃけ飲んで夜更かししちゃってたし】
【結局1日中戦闘してたし……】
【もうだめだ……】
【ユズショックだ! 総員警戒せよ!】
【ユズワールドが……また展開されるのか……!】
【昨日のはただのジャブだったか……】
【そうだよ、あの程度とかおかしいって思ってたもん】
【草】
【「柚希先輩! 昨日も今日もお風呂入ってませんよね!? 普段は汗かいたら恥ずかしがって絶対嗅がせてくれないのになんでぇぇぇぇぇぇぇぇ」】
【「りおちゃんうるさいしへんたいさんだよ」】
【「救護班の方ー、理央さんに沈静魔法をー」】
【草】
【草】
【そして安定の理央様】
【もはや呆れた目をしているひなあや】
【素直な元気っ子のジト目……ふぅ……】
【普段は優しいあやちゃんの塩対応……ふぅ……】
【ひなたちゃんに変態って言われたい】
【分かる】
【理央様? 匂いフェチでして?】
【百合匂いフェチ……素晴らしいですわね】
【でも毎回叫んでマイクを破壊するのは淑女失格ですわ!】
【草】
【お嬢様方からもダメ出しされてて草】
【理央様だからねぇ……】
眠い。
眠い。
とにかく眠い。
もう溶けそう。
溶けたい。
「んみゅう……」
「「「 」」」
「おやびん?」
「いや、俺、あっちには攻撃してないぞ?」
【え?】
【は?】
【??】
【何が起きた】
【いや、なんかモンスターたちがいっせいに動きを止めて】
目をこすると、遠くの方で倒されたモンスターたちが空から降り注ぐ姿。
……みんなが疲れてきたころから、お互いに戦闘がゆっくりになってきてるし、きっと眠すぎて幻覚見てるんだろう。
【草】
【え? 今の、尊死した?】
【もしかして:ユズちゃんのおねむで何体も尊死】
【草】
【どうやらそのようだな……】
【えぇ……】
【あの、何百っていうモンスターたちがさらに落下し始めたんですけど……】
【ひぇっ】
【もしかして:ユズちゃん、おしゃけとおねむで範囲攻撃】
【すげぇ……】
【ま、まぁ、テイマーだし……?】
【やべぇ】
【尊死の威力、高すぎない……?】
【やはり妖精……いや、精霊だったか……】
【ごらんよ どう見ても知性のかけらもなさそうなモンスターでさえ、ユズちゃんの射線上に居たのはみーんな尊死してるよ】
【射線(あくびの声とユズちゃんフェイスを視認できる範囲】
【草】
【強すぎない??】
【あ、結晶になってから落ちてる】
【良かった……ぐろい展開にならなくて……】
【大丈夫大丈夫、ユズワールドの中だから子供が見ても安心だよ】
【子供が見たら性癖も何もかも捻じ曲がるだろ!!】
【そうだぞ、ある意味18禁だぞ!!】
【センシティブ! センシティブです!!】
【大丈夫 一緒に観てるうちの小学生の子供、もう手遅れになってるから】
【えぇ……】
【だって「ユズちゃん応援する!」って健気に言うもんだから……】
【えぇ……】
【草】
「……おやびん……」
「なんか今、ユズ姫がなにもしないのに……」
「な? 俺様の選択は正しかったろ? 俺様たちは支配されてるけど、実質的に俺様たちが格上すら葬れるんだぜ?」
「さすがおやびん!」
「おやびん! おやびん!」
「へへっ……照れるぜ」
【草】
【こっちもこっちで愉快すぎて草】
【あの、これ、魔王直轄部隊が来始めてる状況なんですけど……】
【諦めろ、ユズちゃんだぞ】
【しかもダブルユズなんだ、シリアスなんて長続きできないんだぞ】
気が付いたら僕はお母さんに抱きしめられながら立たされてて、耳元でずっと叫ばれてて、安眠を妨害されている。
「んぅー……あと5分……」
「ゆず! 学校じゃないの! 戦闘なの!!」
「やだなぁ、僕ぅ、学校行ってないよぉ……」
「……それならバイト! バイトの時間よ!!」
「えへへぇ……」
「ゆずー!!!」
「あ……君も眠いんだぁ……一緒に寝るぅ……?」
「誰!? 誰かそこに居るのゆずぅ!??」
【草】
【草】
【かわいい】
【眠すぎて幻覚すら見てるユズちゃん】
【かわいい……けど、なぁにこれぇ……】
【悲報・ユズねぇがマジで困ってる】
【ユズねぇ……苦労したんだな……】
【これは自称母親になるまであるな】
【こんなかわいいちょうちょを妹に持ったらなぁ……】
【なにこのかわいいの】
【ユズちゃんっていうの もはや疑う余地もないロリっ子だよ】
【うん! 高校生はぜっっったい無理だな!!】
【その場合、理央様との年齢関係すら危うくなるが……】
【草】
【子供って、眠気には逆らえないよねぇ……】
眠すぎて何もかもがおかしい。
「あはっ」
「ゆず!? ちょっと、せめて目を開けてぇー!!」
眠いのにお母さんがびっくりした声で何か言ってて、元気じゃないのに元気でなんかおもしろくって。
……そういえば最近は恥ずかしくなったから、理央ちゃんと一緒にハグしようとしてくるのを避けてたりしてたけども。
「おかあさぁん……おっぱいおっきくなってよかったねぇ……」
「今言うことそれ!?」
【草】
【草】
【ああ、こうして見るとユズねぇは数歳お姉さんって分かるな】
【しかもおっぱいが成長中らしいぞ!!】
【つまり第二次性徴……中学生か】
【やはりユズちゃんは小学生だったか……】
【これで年齢論議は確定か】
【だな】
【お前ら……】
【ユズちゃんが寝ちゃったらユニコーンのレーザーも、シルバースライムの串刺し落下ボムも使用不能なんだから大ピンチなんですけど……】
【ユズねぇのテイムしたワイバーンたちも、だいぶ数減ったからなぁ】
【ワイバーンさんたち……】
【大丈夫、本人たちはわりと軽いノリで見送ってたから】
【モンスターの死生観……どうなってるんだろうね……】
眠い。
溶けたい。
溶けられない。
なんで?
『――――――――――――』
「……んみゅ」
あ、まただ。
また――――――そうだ、この、すっごく遠くから聞こえてくるような声は。
もう、何回も――眠すぎる状況を、きっと楽にしてくれるやつだ。
素敵な夢の中に連れてってくれる、気持ちいい声だ。
毎回違う声だけども、それはすっごくあったかくって気持ちいいんだ。
だから、
「ん」
僕は「その声」に頼まれるままに、腕を突き出す。
「? ゆず、何を」
「……お願い。 僕、すっごく眠いんだ……ね?」
僕は、「その声」と――触れた。
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