211話 お母さんのばか
「ぐるるるるる……」
「あ、ドラゴンさんたちって意外と滑らか。 へー」
【ひぇっ】
【ユズちゃんにげてー】
【ワイバーンが何匹もユズちゃんに】
【怖すぎる】
【酔っ払って飛べないとはいえ、そいつらのお口、ユズちゃんなんて軽く飲み込んじゃうのに……】
【ユズねぇとおんなじことしそう……】
【ぺちって?】
【ぺちって】
【「ダメでしょ!」って?】
【「ダメでしょ!」って】
【草】
「怖くないよ」って、遠くで警戒してるのがなんだかかわいくなったモンスターさんたちに向けて言ったのを自分へだと思ったのか、酔っ払ってるドラゴンさんたちが僕の方へのそのそとやって来て。
あごを差し出してくるから、頭とかあごの下とか撫でてあげてみると……なんか新感覚。
ノドを鳴らして目を閉じてるのは……なんかペットっぽくてかわいい。
「ぐるるるる……」
「庭とかによく居るイモリ……ヤモリ?とかと似た肌触り……へー」
【朗報・やっぱこいつら炭火焼きの仲間】
【草】
【ワイバーンをドラゴンと勘違いしてるユズちゃんかわいい】
【まぁモンスターにくわしくなけりゃそんなもんだし】
【かわいいね……】
【かわいい(白目】
【この子、食べられるとか思わないのぉ……?】
【ま、まあ、敵の目的が自分の捕食じゃないって聞いたから……】
【確かに、とりあえず食われないってだけで気は楽になるよな】
【話聞く限り、配下の中でも幹部級?は言葉話せるレベルの知性はあるしな】
【戦略立てて、おやびんを調子に乗せて動かす程度には賢いからな!】
【おやびん……】
【ふびんなおやびん】
【なんか胸が痛い】
【分かる】
【もうちょっとご本……読も……?】
【うん、がんばる……】
【でもユズちゃんだよ? 大丈夫?】
【食われるって分かっててもおてて出しちゃいそう】
【この子は本当にちょうちょなんだからー】
【というかコイツら、案外かわいいじゃねぇか】
【かわいい(1000匹】
【大丈夫? ユズワールドに侵食されてない?】
「……連れてくのってぇ、私とかじゃダメなんでしょうか? ほら、この通りユズとそっくりですしぃ」
「あん? そういや聞いた話じゃ、この見た目でこの匂いの人間は1匹だったはずだな?」
「そういえばそうですねぇおやびん。 分裂したんでしょうか」
「人間って分裂するのか?」
「さぁ?」
「……私たちぃ、双子ですから」
「え?」
「なるほど、それなら納得だな!」
「え?」
「1匹でも強いはずなのに2匹! これはやりましたぜおやびん!」
「え?」
「やりましたねぇおやびんさん♥ ふーっ♥」
「あ゛゜っ」
「え?」
お母さんが僕の双子?
……何言ってるのお母さん。
「そうですよぉ♥ 2人も居てお得ですよぉ♥」
「あっあっあっ」
「おやびーん!」
「あの子は時間をかけて成長するタイプなので、使うなら……わ・た・し♥ ですよね?」
「あっあっあっ」
「おやびーん!!」
「え?」
僕、お母さんがそういうぶりっこしてるのはちょっと好きじゃないんだけど?
【草】
【草】
【すっごい勢いで振り向いてるユズちゃんで草】
【何かをとっても言いたさそうな顔してて草】
【なんかちょっと眉間にシワできてて草】
【何回も聞き返してて草】
【ユズちゃんが……ユズちゃんが、複雑な思考を秘めた顔つきを……!】
【草】
【さすがに双子ではなかったか】
【まぁ、1歳2歳差程度でしょ……】
【一応自称母親と娘だからね??】
【そもそもがユズねぇはユズママって話だったしな】
【まぁそれはどう考えても無理だけど、普通にお姉さんかいとことかだろうしなぁ】
【数歳上の姉が自分と同い年って……あー、ユズちゃんでもちょっとは嫌な顔するか】
【思春期の女の子ってそういうの敏感そうだし】
【ユズちゃん……思春期……来るの……?】
【ひでぇ!】
【うん……来るんじゃないかな……】
【いや、こういう子はこうして天然純粋過ぎるまま育って、ぽっと出のヤンキーとかにろろろろろろろ】
【ろろろろろろろ】
【おろろろろろろ】
【ああああああ!】
【どうして……どうして俺はさっさと告白しなかったんだ……】
【うぅ……】
【胸が痛い】
【草】
【もはやテンプレ】
【ここ、傷を負った末裔多くない?】
【傷を負っていなければ今ごろは明るい生活なはずなんだぞ】
【そうだぞ、恋愛弱者にはもっと優しくしろ!】
【厚かましすぎて草】
【ユズちゃんに嫌な顔されたい】
【されたい】
【普段絶対しないからこそ良いんだ】
【分かる】
【優しいもんな、ユズちゃん】
【優しいっていうか常にちょうちょっていうか】
【何してもぽかんとしてそう】
【でも何か分かればさすがに怒りそう】
【「最低……」とか、ぼそっと言われたらもう最高】
【分かる】
【ふぅ……】
【\50000】
【無言で投げ銭するのはやめろ!! 怖いだろうが!!】
「じゃあー、ワイバーンさんたちぃ?」
お母さんが、ちんぴらさんの目の前でひらひらひらひらしてる。
「………………………………」
「私たちのこと。 ちゃあんと守ってくださいねぇ?」
「おうよ! 任せとけ!」
「人間はぁ、ほんとーに弱くてぷちっと潰れちゃったら生き返らないし、ケガしても動けなくなる弱っちい存在なのでぇ……その権能っていうのも、私たちがケガでもしたらしばらく使えなくなりますからねぇ」
「なるほど! お前たちは群れの赤子のように守ればいいんだな!」
「そうですそうですぅ! ありがとうございますぅ」
「……けっ」
クラスの女子たちの言ってた、自分たちのお母さんへの愚痴。
今ならちょっと分かる気がする。
「けっ」
ぐびっ。
こうなりゃやけ酒だ。
いいもんいいもん、僕にはお酒があるもん。
……なんで僕、夢の中でこんな気持ちになってるんだろうね。
早く起きて理央ちゃんと話したいな。
【草】
【やさぐれユズちゃん】
【明らかに女を醸し出しているユズねぇ見て嫌がってるユズちゃんかわいい】
【かわいい】
【斬新すぎる】
【貴重すぎて俺歓喜】
【「え!? ちょ、柚希先輩がひねくれるのって1年に1回あるかどうかのレアイベなのに! 私はどうして! どうしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」】
【うるせぇ!!!!】
【草】
【まーたマイク壊してら】
【大丈夫? そろそろ理央様の喉、人類の限界突破してない?】
【肺活量すごい】
【さすがは全世界生中継で百合を叫んだ女だな!】
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