195話 脱出しよう
「あらあら、本当に来たのねぇ。 おすわり」
「わん!!」
「にゃん!!」
どすっどすって足音立てて玄関から回ってきたらしいモンスターたち。
彼らは見事、お母さんの言うことを聞いている様子。
うん、お母さんの行ってること理解してるならテイムしてるんだよね。
なら安心かな。
一応でおまんじゅう抱っこしてるけども、ぎゅっとしなくて大丈夫みたい。
「ふせ」
「にゃん!」
「わん!」
「えーっと……宙返り」
「にゃん!」
「わん!」
「整列」
「わうん!」
「にゃあん!」
「あらあらすごいわねぇ」
「こんなでっかいのに、いきなりそんな命令出すお母さんがすごいと思うよ」
入って来たのは……見えてるだけで10匹、で、家の向こうで見切れてるけども宙返りでちらりとさらに見えたから、さっきお腹出してたのがまるまる来ているのが分かる。
ま、この子たちでっかいし……多分玄関の幅に入らないのも居るんじゃないかな……。
「お母さん、魔力――は、飛んでるから、あるとは思うけど」
「私、適性なしって言われちゃったのよ?」
「それ言ったら僕だって、数ヶ月前までおんなじだったよ?」
「あら、そういえばそうねぇ」
【あの……ユズちゃんたち?】
【呑気に話してるけど、普通のダンジョンならボスクラスのモンスターを……】
【あ、カメラが】
【上空から……えっと、何匹居るのこれ】
【50匹くらい……かな?】
【最低でも中級者ダンジョンのラスボスが……】
【ひぇっ】
【なぁにこれぇ……なぁにこれぇ……】
【これ、飼うとこあるの? 餌代大丈夫?】
【そういう問題じゃないと思う】
【草】
【心配する方向性おかしくない??】
【だって……ユズちゃんの産みの親だよ?】
【心配するだけ無駄だな!!】
【むしろさっさと受け入れておいた方が楽だよね】
【親衛隊もそう思います】
【草】
【ま、まあ、戦闘力だけで言ったらそこのユニコーンの方がすごいし……】
【そ、そうそう、だから別に……いやおかしいわやっぱこれ絶対】
【もう受け入れよう? ユズワールドだよ?】
【もうそれでいいや……】
見た目がごついけども、お母さんに完全に従ってるらしいモンスターたち。
その目はきらきら輝いてて、他のモンスターたちとは明らかに違う。
で。
――この数が、お母さんの言うことを、聞く。
なら。
「……これだけ居れば」
ぴょんとおまんじゅうに乗って来たチョコを見ながら、考える。
――おまんじゅうの攻撃で、ここは突破できるはず。
けどもそのあとが心配だった。
このダンジョン、どのくらい深いのかって。
でも。
これだけの数が、お母さんを守ってくれさえすれば。
それに、今の僕たちは――なぜかは分からないけども、飛んでいられる。
なら、魔力を使い切らないように気をつけていれば。
「……お母さん、僕たち、脱出できそうだね」
「? そうなの?」
呑気にモンスターたちに近寄って、1匹ずつ撫で始めてるお母さん。
振り返った彼女は――僕よりちょっとだけ年上な見た目で、羽が生えていて。
まるで、本物の妖精みたい。
【朗報・教官&理央様たち、15層を突破】
【はっや】
【ユズちゃんたちのちょっとあれすぎる場面で力が抜けてたけど、ユズちゃんたちが脱出する意志を見せたからさらに加速してるぞ】
【草】
【でもさすがに厳しくなってきたみたい】
【出てくるモンスター、そろそろ上級者ダンジョンのレベルになって来たからな】
【1体出てくるたびに、早くて数分。 そこから休憩とかしてだしな】
【しかも、このダンジョンも広いみたいだしなぁ……】
【もう夕方だし、そろそろ休んでくれ……】
【大丈夫、ユズちゃんたちが従えたモンスターの方が強いから】
【それに2人とも羽があるから飛んでいけるね!】
【わー、ちょうちょさんだー】
【草】
【ああうん、まあ、そうねぇ……】
【ユズママのボスクラスのモンスター50匹に、ユズちゃんのユニコーンたちだもんな!】
【※ユズママのは普通に大規模中級者ダンジョン~上級者ダンジョンのボスクラスです(予想】
【※ユズちゃんのはそれをなぎはらえーできるぶっ壊れ性能です】
【これでもまだおまんじゅうちゃんの方が強いって言うね……】
【……これ、救助隊必要……?】
【必要だろ、ユズママは継戦能力不明だし、ユズちゃんはユズちゃんでユズちゃんするし】
【あー】
【2人でユズワールド展開してあさっての方向にぶっ飛びそうだからな!】
【それの略称がユズちゃんするか……】
【草】
【ユズちゃんするっていうワードよ】
【だってユズちゃんだし……】
【ユズママとなんかこう、すっごいシナジー起こしそうだし……】
【理央様! 理央様!】
【ユズちゃんたちがこれ以上おかしくなる前に、早く来てくだされ!!】
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