表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/486

15話 後で知った、練習のつもりだった初配信

「えーっと、家庭菜園はそんな感じで虫さんに食べられちゃって……」


【話題に困り果ててヘンな話になってて草】

【しかしかわいい】

【これ、配信ミスを装った……んじゃなさそうだな】

【部屋の中散らかってるしな】


【ちくしょう……ぱんつとかがない……】

【お前、幼女相手に……分かるぞ】

【通報しました】

【待って】

【待て、幼女だったらマジでやばい】


【……というかさ? ユニコーンが懐くってことは……】

【!!!!】

【登録しました】

【登録しました】

【メンバーまだー?】

【メンバーシップもなにも、アカウント作ったの今日みたいだぞ】

【ダンジョン協会アカウントの初期設定まんまじゃん】

【名前の「ユズ」ちゃんしか無い……】


【大丈夫、もう登録者500人超えてるから】

【え、すご】

【この前の定点実況で「ユニコーン幼女」としてバズったの知ってる奴らがなだれ込み始めたからな】

【誰だ! 拡散したの!】

【え? 俺】

【俺も】

【草】


【せっかく少人数で独り占めできるところだったろ!!】

【そうだった……】

【もうだめだ……】

【うう……】

【俺って、ほんとばか……】

【軽率な行いのせいで……これが後悔……】


【草】

【ことごとく身勝手すぎて草】

【お前らもうちょっとユズちゃんのこと心配しろよ草】

【そうだよな、JS?JC?が間違えて配信だもんな……】

【伝える手段が無いのがなぁ……】

【何しろ本人に配信してる自覚皆無だからなぁ……】


【ま、まぁ、定点実況のときにこの子の住んでそうな地域バラされてたし、そのうち同級生とかが教えてくれるだろ……】


【結局ご近所さんには身バレしてて草】

【ユズちゃんかわいそう】

【でもかわいそうなのが?】

【ぞくぞくする】

【分かる】

【草】


うーん。


配信のことはよく知らない僕でも、無言の時間が長いとなんだか気まずくなってそっと出ちゃう心理は理解できる。


適当に入ってみた配信とかでそうだと、僕だってそうしちゃうし。


じゃあ何を……あ。


そうだ、練習なんだし、おまんじゅうのこと話さなきゃね。

ダンジョン配信だったらこの子が主役なんだし。


「あ、この子、おまんじゅうって言います」

「きゅい」


「何のモンスターになるかは分からないんですけど、懐いてくれたので元気に育ってほしいって思って」


【草】

【おまんじゅうって草】

【一瞬本物のぬいぐるみなのかと思っちゃったじゃねぇか!】

【紛らわしすぎて草】

【もしかして:天然】

【いや、幼女だからかもしれん】

【それだ】


あごの下とか首筋をなでるとぐるぐる声を出して喜ぶおまんじゅう。


……検索しようにも、見た目がまだ赤ちゃんだから特徴が分からないんだよねぇ……。


【というか、待って。 ユズちゃん、これがユニコーンだって気づいてない?】

【いや、まさか……】

【ネットじゃもう当たり前に広がってるのに……】

【そのネットを見ないんじゃ……】


【でも確かに  成体のユニコーンの画像見たけどさ、それとはぜんぜん違って……まだ角もおでこに埋もれる具合だし、この感じから配信者の知り合いとかいないっぽいし】


【え、ユニコーンとかいう超レアなモンスターテイムしといてそんなことある??】

【受付とかで教えてくれないん??】

【講習会の人なら分かるだろうけど、ただの職員さんじゃ知らない可能性も……】


【……って言うことはユズちゃん、目撃例すら世界で数件のユニコーンに懐かれるとか、すごいことしといて無自覚ってこと?】


【草】

【ま、まぁ、ユニコーンが好むのは純粋で純潔な乙女って相場が決まってるから……】

【つまりは男と付き合ったことの無い天然が最強か】

【この見た目で男から言い寄られないとか……】

【何その希少種】

【ユズちゃんだが?】

【草】


【あ、同接1万超えてら】

【登録者の伸びがおかしい】

【「ユニコーンのテイム」ってワードで加速がついたか】


「きゅいぃぃ……」


「ここが気持ちいいんだよね? もっとなでなでしてやるー、うりゃうりゃうりゃうりゃー」


本格的に撫でられモードになったおまんじゅうが、僕の膝の上でごろんとお腹を見せておまたをおっぴろげ。


……動物とかモンスターのってセーフだよね?


動物動画とかでも普通に見えてるし……あとで調べて本番に活かそうっと。


【完全に犬か猫である】

【ユニコーン! 貴様にユニコーンの自覚はあるのか!】

【まぁ幼体だし……】

【というかさ、ユニコーンってメス?】

【毛で隠れてるから分からんな】

【モンスターには性別が無いことも多いから】

【なるほど】


【けど、ユズちゃんのふとももがまぶしい】

【ユニコーンの白い毛と合わさってまぶしいな】

【あのふとももに包まれたい】

【分かる】


【お前ら幼女にまで興奮するのか……通報した】

【待ってごめんなさいこのご時世ほんとシャレにならないんです勘弁してください】

【あ、ごめん、普通にしちゃった】

【なんでそんなことするの!!】

【草】


「犬とか猫とかよく預かるんですけど、やっぱりかわいいですよねー、動物って」


【動物じゃなくてモンスターだよ?】

【テイマーになるんだ、そういう性格なんだろ】

【しかもユニコーンだしな】

【つまり?】


【マジで心がピュア  つまりは純真な幼女】

【なるほど】

【このユニコーンが居るあいだは確実に男の気配はなし……安心して推せるな!】

【お前、幼女相手に……】





「……でー、お隣さんはいつもお野菜分けてくれるんです。 この子がそれ食べてくれるので食費も掛からなくて」


だんだん慣れてきた僕は、とりあえずで頭に浮かんだことを片っ端から話してみている。


なるほど、学校で顔知ってるくらいの子に向かって話すイメージだとこんなにすんなり話せるんだね。


「こういうところは田舎暮らしの良いとこなんですよねー。 あ、僕は――町ってところに住んでるんですけど……ってのは配信じゃ言っちゃいけないんだっけ」


【言ってる! 言っちゃってるよユズちゃん!】

【セルフ自己開示は草】

【ま、まぁ、AIさんががんばってぼかしてくれてるから……】

【でも実況ですでに最寄り?のダンジョンまではバレてるからあんまり意味ないって言うね】


撫でられ続けて寝落ちしたらしいおまんじゅうを抱っこして、普段を意識して適当に話す。


……そう言えば生活費のために休学するまでは、毎日のようにこのくらい話してたっけ。


「……ダンジョンに潜れるようになったら、この子にもお肉……食べちゃったら野菜食べてくれなくなるかなぁ……でも、お肉食べないと大きくなれないぞって田中君も言ってたしなぁ……」


【誰だソイツ】

【セルフ男の気配開示で草】

【て、天然ちゃんだから……】

【まぁユニコーンが懐いてるってことはただの知り合いだろ】

【なるほど、ユニコーンの存在でそういう判定ができるのか】

【名前……名前さえ分かれば……!】


「ゆずー、そろそろごはんよー」


「あ、はーいっ。 起きて、おまんじゅう」

「きゅい……?」


本当にここ数日は元気なお母さん。


病院行っても「調子が良いならなるべく動いて様子を見ましょう」って言われたらしく、ごはんを作ってくれるようになった。


【え?】

【あ、ちょ】

【ユズちゃん配信! 配信終わってないよ配信!】

【草】

【これ完全に練習のつもりで撮っちゃってるな……】


【一瞬ちらりと見えたユズちゃんの短パンかわいい】

【ああ、そして無音で表示され続けるベッド……】

【このベッド、良い匂いしそう】

【しそう】

【え? まじでこのまま?】

【草】


【そして数分……マジでこのままだった……】

【どうやらそうらしいな……】

【俺たちはとんでもない逸材を発見してしまったのかもしれない】

【田舎暮らしの推定小学生から中学生、天然、綺麗な髪の毛にユニコーンのテイマーとか……】


【あ、配信終わった】

【ああ、確か初期設定だと無音無振動が続くと……】

【本当に配信してるつもりじゃなかったのか……】

【これ、ユズちゃん気が付いたらびっくりしそう】

【しそう】

【次の配信が楽しみだな!】

【今から待機しておこう】

「男の娘をもっと見たい」「女装が大好物」「みんなに姫扱いされる柚希くんを早く」「おもしろい」「続きが読みたい」「応援したい」と思ってくださった方は、ぜひ最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に&まだの方はブックマーク登録で最新話の通知をオンにしていただけますと励みになります。応援コメントやフォローも嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ヘッドショットの宣伝から来たんですけどこの子が最終的にああなると知ったせいで宇宙猫状態 なんで……?何があったらあぁなるんや?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ