13話 仲の良い光宮さんと田中君
「とにかく許せねぇ……もし傷物にしたんだったら、ソイツには一生かけて後悔させてやる……!」
「あ、それには完全に同意しますしお供します。 死ぬより辛いのっていっぱいあるんですから……ふふふ……」
田中君って、いじめっこなわりにはひどいことしないんだよね。
会ってるあいだはとにかく「お前って本当女子みたいだよな」とか「こんなにナヨナヨしてるヤツは女にモテないから、間違っても彼女作るとかするんじゃねぇぞ」とか。
はては「お前の弁当、いつもクズ野菜ばっかだからこれでも食べて感謝してろ」とか「お前って本当に鈍感だよな」とか、一緒に居るときはとにかくうるさい。
けど暴力振るってはこないし、なにより彼のお父さんに頼んで……小学校の終わりからこことかでバイトできるようにしてくれたし。
実はこっそり、小学校の終わりからね。
本当に助かったんだよなぁ、あのとき。
それに、入れたい分のシフト入れさせてくれるし……まぁ昨日みたいに余分に働かせられることはあるけど。
まぁ田舎だし高校生だから時給は低いけどねぇ……でも誰も居ない時間とか結構あって楽だし、やっぱ持つものは友だちだよね。
……彼からしてみれば僕は、たくさん居る舎弟のうちの1人なんだろうけどね。
つまりは何でも言うこと聞く代わりに面倒見てくれるって言う感じ。
つまりはボスと子分。
「でもですね、どうやらマジで違うみたいなんですよ……まぁ寝てるあいだにーって可能性は残ってますけど、最大の容疑者はどうも違ったっぽいですし」
「光宮、お前なぁ……とりあえず有名なカウンセラー呼んでやるか。 こき使う従業員のパフォーマンスが落ちたら損するのは俺だからな!」
「男のツンデレとか正直キモいです、あと普通にウザがられてるのいい加減自覚して柚希先輩解放してください、あと私にください」
「あぁ!?」
「きゅい?」
「ん? どうしたのおまんじゅう」
「きゅい」
2人がいつものように仲良く話し始めたところで、おまんじゅうが鳴き出した。
「……それ、生きてんのか?」
「なんでもモンスターらしいですよ」
「モ、モモモモンスター!? 柚希、すぐに離れろ! 今俺が退治してやる!」
「あー、違うんだよ田中君。 僕、テイマーになったみたいでテイムしたんだ」
「は?」
「え……テイマー? 先輩が!?」
あれ?
……そっか、そう言えばこのことを伝える前に光宮さん、具合悪くなってたっけ。
「テイマーって……レアスキルだろ?」
「うん」
「……学校の実習でスキル無しの無能って言ってたじゃねぇか!」
あいかわらず口悪いー。
「いや、スキルが分からないってだけだったよ」
「ですよね、私の友達にもそういう子、結構居ますし。 ちなみに田中先輩は『適性なし』ですけどね」
「俺のことはどうでも良い! ……けどマジか……だけどな!」
ぐいっといつもみたいにガンつけて――来ると思ったら「おう……」とか言って顔を背け、あけっぱの出口を向きながらいつもみたいに文句言ってくる彼。
君、なんで腕組みながら後ろ向いてるの?
なんかまたかっこいいマンガに影響されちゃった?
「……お前なんて体力も筋力も無くて中学の女子並みだし、虫すら殺せない弱虫でいつもヘラヘラ笑ってるんだ! きっとそのモンスターだって戦闘力は大したことねぇ!」
「あ、いえ、テイマーって相性次第で強いモンスターでも使役できますけど」
「柚希に限ってそんなことはありえねぇ! だからな!」
ばっと振り返ってきた田中君は、いつもみたいに真っ赤な顔をして怒ってくる。
「ダンジョンに潜ってケガしたりのたれ死んだりされると……急だとシフト調整で俺が困るんだ! だから絶対ダンジョンとか潜んなよ! もし潜るんなら俺の舎弟たちにこき使われて潜りやがれ!」
「先輩。 それってどう考えても将来的にBSSになるフラグですよ……まぁ私が奪いますけど。 生産性がないよりは生産性があった方が良いでしょ?」
「光宮お前もう黙れ!」
「やですー、男なのに狙ってる先輩には言われたくありませんー」
「光宮、こいつ……だいたい俺は柚希のことなんか!」
「いーんですかー? 動画撮ってますよー?」
「……ああもう、ほんっとうざったいなぁお前!!」
仲が良いなぁ……いいなぁ。
ああいうじゃれあいって僕には無理なんだよねぇ。
僕はちょっとでも強い言葉とか使われると、きゅっとして黙っちゃうからああいう掛け合いできないもんなぁ。
冗談って軽く受け流せなくって、悲しくなって泣いちゃうし。
でも、そっかー。
確かにテイマーって後ろから安全に指揮して戦うイメージあるけど、モンスター抜かれたり遠距離攻撃されるとやばいよねぇ……僕、運動神経無いし。
だとすると、ダンジョン潜るならパーティーかぁ……んー。
……最後の手段として田中君の友達にしよっと……あの人たちも優しいけどこき使ってくるし……。
「あの、店員さーん」
「あ、はい、どうしましたか」
光宮さんと田中君が楽しそうだから、代わりにさっさと僕が行く。
……逃げてるんじゃないよ?
ただちょっと、声が大きくなってるから苦手なだけで。
「ここの棚の、空になってるんですけど……」
「あー、ごめんなさい。 多分あると思いますので今、裏から……」
そういえばなんだか今日はこれが売れてた気がする。
女性用のものだからあんまり気にしてなかったなぁ……。
「あの、時間掛かりますか? 近い感触のがあれば、私はそれで良いんですけど……」
「あ、そうですか? ……なら、これとか。 ちょっとだけ小さいですけど気にならないと思いますよ」
女の人用のだけども、僕も使ったことあるから使い心地は分かるし。
あと、クラスの女子たちの会話でどれが良いとかフィットするとか普通に聞くし。
「あ、急ぎでしたらこっちのレジ開けますね」
今お店に出てるのは、光宮さんと田中君と僕。
で、2人は楽しくおしゃべり。
田舎だから雰囲気緩いよね。
僕はそれが好きだけど。
「色つきの袋にしときます? はい、どうぞ」
「ありがとうございます。 ……こういうの、聞きにくくって。 店員さんはなんだか話しやすくって助かりました」
「あー、分かります。 僕が役に立てたならなによりです」
「……それにしても」
顔を上げると……まじまじと見つめてきてるお姉さん。
この人も外からの人かなぁ……見たことないし。
「その髪の毛とお肌……ここで売ってるの使ってます?」
「あ、僕は1番安いのしか使ってないので」
「そっかー、じゃあ素材と若さかぁ……良いなぁ……」
それからちょっとだけお姉さんと話してるうちに……いつの間にか光宮さんがすぐそばに来てて、お姉さんと話し出して……僕は追い出された。
ほんと、光宮さんも田中君も……僕の話し相手、いつも取っちゃうんだから……もうっ。
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