127話 「★2」――僕の、レベル
「それでそれで!? ゆずきちゃんのレベルは!?」
「……確認ですが、配信は、していませんね?」
「はい、みんなカメラ持ってませんし」
【持ってる! ユズちゃんが持ってるよ理央様!】
【ユズちゃんだよ理央様! いつものユズちゃんだよ!!】
【してます! めっちゃ配信してますお姉さん!!】
【草】
【なんか既視感のある展開】
【だって前とおんなじだもん】
【なぁんでユズちゃんだけ毎回こうなのぉ……?】
【だからユズちゃんだからだよ】
【もうそれでいいや……】
【ユズちゃん関係は深く考えても無駄 よく分かるな!】
【ユズちゃんにかかればなんでも天然になるんだもんな!】
【なにしろ魔族をギャグで撃退したんだからな!】
【草】
【インパクトありすぎる実績があるんだよなぁ……】
席を立って、部屋のカギをかちゃって確かめるお姉さん。
なんでだろう……個人情報の保護とかかな。
「……ふぅ……さて、あなたは最初からいろいろありましたね」
くるっと振り向いた教官さんは、今日も薄いお化粧が綺麗な人。
なんだか今日はこの前と違う制服を……ここの人たちみたいに動きやすそうなのを着てて、また新鮮な印象だ。
「ユニコーンをテイムし、レベル1の状態であれだけの攻撃をできて……気になってあなたのアカウントをフォローしてみれば、ハプニングばかり。 しかも、ユニコーンほどでないにしてもレア過ぎるシルバースライムまでテイムされたとか」
「あ、はい、僕のこと見てたんですか?」
「ええ、最初にお世話しましたから」
とんっ。
僕の前に立つお姉さん。
あやさんよりもちょっと背の高いスレンダー系の美人さん。
「心の準備は……まぁどうせ意味ありませんか」
「?」
「あなたのレベルですが」
ふぅ、と息を切る彼女。
こくり、と鳴る僕の喉。
「――――――――★、2となります」
「? ほしに?」
「ほし……星?」
「それで、2……?」
「なんでしょう……」
頭がはてなの僕たち。
【えっ】
【は?】
【ほしって……】
【★の表記!?】
【速報・ユズちゃん、★持ち】
【えぇ……】
【なぁにこれぇ……なぁにこれぇ……】
【確かに、テイムしたモンスターたちがおかしい強さだとは思ってたけど……】
【そこまでぇ……?】
たっぷり10秒以上待ってくれた教官さんは、さらに続ける。
「通常は数字、それも現行のレベル基準では最高で50までが人類の数字となっています。 それを超えている、★の表記があるだけで、あなたは……人類最強、いえ超越。 その一角になっています」
【あの……ユズちゃん、人間だよね……?】
【このちょうちょ具合を見てもそれ言える?】
【もうだめだ……】
【草】
【いっそのこと妖精とかの方が似合うよね】
【天然の妖精……完璧だな!】
【もしかして:この前の50超えの測定、間違いじゃなかった】
【あっ】
【そういや……】
【みたいねぇ……】
【ってことは、そこからがっつり上がったってことで……】
【これ、ユズちゃん単独……なんだよね?】
【話の流れ的にな……】
【なぁにこれぇ……なぁにこれぇ……】
【ま、まぁ、魔族を精神攻撃して倒したんだ、それくらいのレベルは……】
【ギャグ空間を展開したわけじゃ……なかった……?】
【もしかしてあの尊死も、割とガチで何らかの固有能力で……?】
【レベルかそれだけ高ければ、魔族にも通用する……?】
【悲報・ギャグじゃなかった】
【朗報・魔族、マジで消滅してた】
【速報・ユズちゃんが人類最強】
【信じられない】
【ああ……】
【このちょうちょがまさかなぁ……】
【ほ、ほら、マンガとかでも不思議系が実は強いとか言う……】
【もしかして:強すぎてちょうちょだった】
【草】
【ああ、精神に影響するレベルで……】
【強すぎる何かのせいで、こんなに残念に……】
【いや、ユズちゃんの素だろ】
【だろうな】
【じゃなきゃ理央様があんなに理央様してないもんな!】
【草】
【魔族疑惑の理央様……】
【ま、まあ、ユズちゃんが居る限りは人類の味方だから……】
【理央様が魔族前提で草】
【だから星持ちなのはユズちゃんだって言ってんだろ!!】
【だって理央様だし……】
【ユズちゃんより強そうな理央様……】
人類、最強。
僕が、すごいレベル。
「……あ、確かレベル測定っておまんじゅうたちも」
「これは含まないで測定できる装置です」
「あぅ」
ちょっと現実逃避してみたかったけども、先回りされてばっさり。
「……でも、よかった。 これ、もっとレベルが高いと砕け散るそうなので」
「……そうなのですか?」
「ええ。 こう、ぱりんっと」
僕たちのことを気遣ってか、ぱりんって大げさに演技して見せてくれるお姉さん。
【それって……】
【ああ……】
【あの、人類を飛び越した存在の……】
【1年前に顕界してた女神のことだろうなぁ】
【魔王を撃退してくれた女神……ユズちゃんは、その存在に俺たちよりも近い存在……】
「そういう前例があったので、いざとなったら……と思っていましたけど、こちらは杞憂でしたね。 良かったです、あなたがまだ、人類の範囲内で強くて。 もし、これで測れなかったらと思いますと……」
よく分からない言い回しで、明らかにほっとした様子のお姉さん。
「だって……予測通りなら、★は50いくつ。 すなわち、今の柚希さんは『ほんの』レベル100と少し――ええ、まだぎりぎり私たちから離れていませんから」
レベル……100。
ひゃく。
……僕が、そんなに?
やっぱり何かの間違いじゃなくて?
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