126話 配信されちゃってたらしい
「ではこちらへ。 大丈夫です、今度はきちんと測定できますから安心してくださいね」
「はい、ありがとうございます。 この前は変な数字出ちゃって、ちょっと怖くって……」
【あれ、レベル測定器】
【上位陣が使うやつか】
【予約しても半年待ちのやつー】
【数が少ないからしゃあない】
【あれ、でもなんで配信……】
【もしかして:ユズちゃん】
【それしかないな!】
【ユズちゃんのひとことで伝わるやらかし具合】
【「ユズちゃん」=「やらかし」】
【草】
【なぁんでこの天然っ娘はいつもこう……】
【他の子たちはカメラ外してるみたいだし、まーた外し忘れからのスイッチオンのパターンか】
【もう「ユズちゃん」で通じるよね】
【ああ……】
【これ以上簡潔かつ分かりやすい言語は存在しないな!】
【あの、今、ダンジョン配信軒並み中止になったところにさっきまですごい同接だった影響でおすすめのトップに載ってるんですけど……】
【これを伝える方法は?】
【ない】
【ないな】
【存在しない】
【あーあ】
【こういうとこあるから人工天然疑惑が発生しないユズちゃん】
【もはや誰もが、正真正銘のドジっ子だと疑わないユズちゃん……】
「あ、そういえばみんなのレベルはいくつだったんですか?」
ちょっと怖いから、先に測定したらしいみんなのを聞きたくなった僕。
ちらっと教官さんを見たらこくりとうなずいてくれたから、きっと僕の怖い気持ちを分かってくれたんだろう。
優しい人だよね。
こういう人がお姉さんだと良いのになぁ。
あやさんみたいに優しいタイプと、教官さんみたいに頼れるタイプ。
「私は21になりました!」
「こ……理央ちゃん、もう中級者さんだね」
【ふぁっ!?】
【十いくつから一気に20!?】
【理央様、強くなりすぎ!?】
【普通なら数年かかるのに】
【25くらいになれば、普通に中級者パーティーのメイン採用で深い中級者ダンジョン潜れるな……】
【今日のあれでがっつり上がったか】
「ひなたは14! この前の、りおちゃんとおんなじ!」
「私は11です」
「2人もすごいね……」
みんなそろって10を超えて、光宮さんはもう20を超えて。
……ならきっと、僕も10……は高望みしすぎだから、せめて7とか8になってるって思っとこ。
【この子たちも上がりすぎ!?】
【すげぇ】
【まぁ、今日の攻防で何百体倒してるし……】
【数回どころか数十、ヘタしたら100回以上分のモンスター倒したしなぁ、普通の冒険なら……】
【パーティー組んでるから、最後に部屋をなぎはらえーしたユズちゃんの分も入るしな】
【これ、もう初心者ダンジョン行く必要なかったよね……?】
【なかった】
【でもこの子たち、まだ普通に攻略したことないし……】
【ありはするぞ? ただしユズちゃん仕様になったけどな!】
【草】
【でもさ、この前のも多分魔族のせいだって話だし】
【魔族が中級者ダンジョンにストーキングしてきて今回のやってきてたら、こんなもんじゃなかったのよね】
【それ思うと初心者ダンジョン選んだのはファインプレー】
【あー】
【初心者ダンジョンだったからこそあの程度で済んだのか……】
【あの程度(並の中級者パーティーでも壊滅】
【それな】
【特効兵器のユズちゃんがいなければやばかったな……】
【特効兵器(ユズちゃん】
【期待のホープなパーティーのリーダー月岡、それにユズちゃんのユニコーンの火力とシルバースライムの防御力でとユズちゃん自身で突破したようなもんだし】
「………………………………」
たしっ。
僕の手が、冷たい球体に触れる。
ひんやりとした感じ。
『――――――――――――』
「…………………………?」
あれ?
なんか誰か耳元で話した?
いつもの光宮さんのいたずら?
『――――――――【接続】』
せつぞく……接続?
どこ?
上?
「??」
何だろ今の。
なんか、目の前に【接続】って
『【同期】――――【座標】――――【同調】』
「……???」
後ろ?
いや、みんなが見てるだけ……んー?
寝ぼけてるのかなぁ、僕……。
【草】
【ユズちゃん! 今は前見なさい!!】
【みんな、これがユズちゃんだよ】
【ああ……】
【別に落ち着きがないわけでもないんだよなぁ……】
【しいていえば、いつもどこかにちょうちょを追い求めているんだ】
【草】
【テ、テイマーだから独特の感性なんだよきっと……】
【おっと、ユズちゃん以外のテイマーを敵に回したくなければおとなしくしてな】
【草】
【ここ、テイマーたちもいるの……?】
【おう、期待のニューホープ だったから来たんだけどな……】
【でもなぁ……】
【ユニコーンにシルバースライムに、トドメでさっきの魔族騒ぎでなぁ……】
【いろいろすっ飛ばして、もはや俺たちの大先輩だよちくしょう!!】
【こんなかわいい子にいろいろ教えたかった……】
【草】
「……はい、離して構いませんよ」
教官さんが、そっと話しかけてくれる。
「……そんなに硬い顔してました?」
「あ、いえ、なんだか別の場所を見ていたので……」
【草】
【やーっぱちょうちょしてた】
【ちょうちょするとかいうワードよ】
【だってユズちゃんだもん……】
【あ、このお姉さん、最初の講習のときの美人さんだ】
だってなんか声が聞こえた気がするんだもん。
でも、光宮さんたちは気を遣ってかちょっと離れたとこだし……気のせいだろう、きっと。
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