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ゼルシアが世界を綴る  作者: ユメ
4/5

3話 「日常」

前回の投稿で大嘘つきました。待ってた人いないかもだけどまことに申し訳ない。

とんでもないほど間が空いてしまって猛反省です…思ったよりも忙しかった…


これからは賞を目指すとかモチベに頑張っていこうかなぁ、

文章もまだまだ拙いけど、もっといい文章作れるように頑張らなくては!

 


 ゼルシア大陸の南に位置する国「ウィルネシア」その中でもさらに南の辺境に位置するブルムー村。

 この村は大きなブルーム川を中心に広がっていて、その豊富な水資源と優れた土壌を生かした農作業と畜産による産物を都市に売りに出し、それを主な村の収入としている。産物の量はそこまで多くないので沢山の人がその存在を知っている訳では無いが、「とても質が良い」と知る人の中では有名で国の中でも一部の人にはだいぶ重宝されている。


 アレンはその村の中を気持ちよく走っていた。



 僕は今、いつも親父やカルザ、村長が見ているような景色を見れているのだろうか……!




 アレンの家から村の中心(村長の家)までは歩いて30分ぐらいかかる。

 道は土を固めてしっかりと舗装されていて、それまでの道中には畑や水田が広がっている。村の中心に近づくほど畑から水田へと変わっていく。村の中心まで来ると沢山の家が並んでいてとても賑やかだが、離れると家の数はどんどんと減っていくので、村の端に位置するアレンの家の周りまで来ると家の数はめっきり減ってくる。

 それでも畑の傍や、カウルやワタタなどの世話のために近くに住む人もいる。もちろん、村の中心からはるばる来る人もいるが。


 他には、村の子供たちが遊ぶ小さな野原があり、小さな木が生えていたりする程度の田舎道だ。

 この道の両脇には炎のマナによる街頭が存在しているが、数は申し訳程度しかなく、夜には月が明るいときか、手元に別の明かりがないと安心して歩けないほどにはとても暗い。


 実際村のみんなが街灯の事を頼りないと思っていて、農作業に励む人や道行く人たちの会話でとても賑やかな朝~夕方にかけてと比べると、夜は極端に静かだ。




 アレンは走りながらあたりの景色をよく見渡す。


 ここ、ウィルネシアでは夏と冬の二つの季節があり、今は夏が終わって冬を告げようとしている。

 この村はまだ冷えきっていない。木の葉っぱの色は徐々に変わっていき、畑や水田は収穫の作物がよく実っている。

 そんな季節なので村に住む人たちは冬に備えてやるべき事で溢れているのだ。


 作物の収穫やそれらの保存、干し肉などの保存が効く食料を蓄える。暖炉を燃やすための丸太切り。そして、冬の間は農作業が出来ないのでその代わりの内職の準備。マフラーやカゴを編んだり服を縫ったりだ。夏の稼ぎは農作業や畜産による産物だが、冬の稼ぎはこれらが主となる。


 まだまだ冬の仕事はあるが大体はこんなものだ。




 アレンは少し走ると、少し先の畑で作業をしている2人組を見つけ、片腕をめいいっぱい広げて大きく手を振る。


「アルじいちゃん! アルばあちゃーん! おはよぉー!!」


「あぁ、おはよう! そういえば今日はシュティエルが帰ってくる日だったよな、宜しく言っといてくれ」


「誰がばあちゃんじゃい! まだアタシはピチピチじゃ!」


  「あぁ!わかった!」

 今日もいつものようにちゃんと返事を聞けて、嬉しくて少し微笑みながら手を良く振ってから先を急ぐ。



 挨拶はいいものだと思う。

 大きな声で挨拶をすれば大きな声で帰ってくる。笑顔でいれば笑顔が帰ってくる。

 そこにはなんの隔たりもなく、その瞬間だけは全ての人がとても身近な親戚のように感じれる。


 そのことに気づいてからは、日々欠かさない日課の一つとなっていた。


「うん、やっぱ良い……! ──あいてっ」


 少し目を瞑って、そんな事を考えながら余韻に浸って呟いていたら小石に躓いて転びかける。


「あ、あぶねぇ……」


 一瞬ヒヤッとしたが先を急ぐことにした。



 △ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼


 アル老夫妻は転びそうになりながらも、嵐のように過ぎ去っていくアレンを、遠目で見送る。


「全く、あいつは何度言ってもばばぁ扱いしてくるからヤになっちゃうよ。 じゃから小石に躓くんじゃなぁ、へっへ」


「まぁ、元気でいいことなんじゃないか?」


「へっ、どうだかねぇ。 ──でもまぁ、それもそうかもね」


「全く、素直じゃな──いだぁ!」




 △ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼




 少し走ると声が聞こえてくる。


「はぁっ! はぁっ! へえやぁ!」


 この声気合いの籠った掛け声は…と耳を傾けると案の定だった。


「お!ガッツおじさん。おはよー!今日もガッツ、だね!!」


「ぅおっ!アレンじゃねぇか! ったり前だ! お前もいつもどうり元気そうだなぁ! ガァッツ!」


「だろ! 今日はついに魔法を教えて貰える日だし!」


「おっ、そういえば今日はシュティエルが久々に村に帰ってくる日だったなー」


 ガッツおじさんは顎に手をやって少し考えると「はっ!」としたように目を見開き続ける。


「そうだ!ちょっと待ってろよ〜」


 そう言ってガッツおじさんは先程まで収穫していた作物を幾つか紙袋に詰めてこっちに持ってきた。


「ほらよ、土産だ! みんなで分けて食ってくれ。 シュティエルにも一言ぐらい挨拶に来いってよろしく言っといてくれよっ!」


「お、ありがと!ガッツおじさん!! みんなに分けるしシュティエル先生にも伝えとくよ!」


「おうよぉ!ガァァッッツ!」


「んじゃ、僕はもう行くね!」


 ガッツおじさんの「頑張れよー」という言葉を背に受けながら再び走り出す。


 その後も何人かと出会い、世間話をしたりお土産を貰ったりしていたらすっかりと時間が過ぎていて、目的地であった村長の家に着くと既に自分とシュティエル先生以外の人は既に出揃っていた。




「おーい!アレン! お前遅いじゃねーかよ!」


「わりわり、いつの間にか時間が過ぎちゃっててさ……」


「シュティエル姉ちゃんが『アレンはいないのか??』って寂しがってたぜ?」


 フェルマがぶりっ子のように両手を顎の下にくっつけて言うのを無視する。


「あれ、シュティエル先生は今どこにいるの?」


「あぁ、シュティエル先生ならいま村長のところに挨拶に行ってるよ」


 シュティエル先生が今どこにいるのかを聞くと、一個上のカルザが教えてくれた。

 五人の幼馴染の中でも一番しっかりしていて真面目で優しいと村のみんなから評価されていて、僕の尊敬してる人の一人だ。


 ちなみに一番最初に突っかかてきたのはフェルマと言って、カルザと同じく一個上の幼馴染のうちの一人で、ちゃらけたような人だ。賑やかで良いことではあるけどたまにうるさい……フェルマには秘密だけど。


「いや~せっかくシュティエル姉ちゃんが帰ってきたのに全員揃ってないなんて先生かわいそ──あいだぁぁ!! なにすんだよエルナぁ!!」


「大げさよ、まったく。シュティエル姉さんも後ですぐ会えるからってなんも気にしてなかったでしょうが。そーれーとーも、姉さんがそんなんで怒るほど心が狭いって言いたいのかしら!?」


「いえ、俺が悪かったでございます……」


 腕を広げて、手のひらを上に向けながらからかってきていたフェルマに軽く拳骨を食らわせたのは、幼馴染最後の一個上のエルナだ。

 彼女は調子に乗ってよく暴走するフェルマの手綱を握っていて、面倒見がとても良くて、厳しいところもあるが基本的にフェルマ以外には凄く優しく、カルザとは違った意味で頼りになる姉貴みたいな存在だ。


 いつもそうならいいのだが、実際のところは彼女自身が暴走することもよくある。特に彼女はシュティエル先生の熱烈なファンでその話になるとほぼ毎回暴走する。

 そして結局その暴走を宥めるのは結局幼馴染の五人の中でも1番しっかり者のカルザというのが定番の流れだ。



「ふふ、今日もここまで来る間に村の人たちとお話でもしていたの?」


 いつもどうり暴走するフェルマとエルナを宥めるカルザを気にもせず、首を少し傾け、クスッと手を口に当てながらお嬢様のように可愛らしく尋ねてくる少女。彼女こそが五人目の幼馴染であり、同い年の幼馴染である。

 それに加えてこの村の村長の孫だ。


 そしてこの村の中の一大派閥を形成してしまった元凶ともいえる。その派閥の人達は自分たちのことを『クレア警護隊』と名乗っている。何ともダサい。



 普通の村人達はすれ違うと「可愛いねぇ」や、「将来が楽しみだなぁ!ガッツだ!」など。

 他にも、彼女は村長の孫だからと言って傲慢になるのでは無く、謙虚で村の人たちの手伝いなども全く文句を言わず、むしろ好んで手伝っている事からも、容姿だけではなく性格や人間性の面でもとても評判で、村の皆からも我が子のように可愛がられている。


 しかしこれらはあくまで普通の人だ。

 一部の過激派、一大派閥を形成する者たちはこんなものではない。


 この前村を歩いてる時に聞いた話では、



「まるでかの『ゼルフィオ』(このゼルシア大陸において最も有名で美しい花とされている)の蕾のように可愛らしい、いやそれ以上だぁぁ!」


「確かにゼルフィオは蕾もめちゃくちゃ綺麗だけどなぁ、やっぱゼルフィオと言ったら花だろぉ!!あのうっすらと可愛らしい翠色でありながら、白銀色に輝く花びら……まさにクレアちゃんにふさわしぃ! だろ?!」


「ちっちっちー、俺がわざわざ蕾って言ったのはなぁ。 これから更に『綺麗』で、『可愛く』、『美しくなる』って事を言いたかったのさっ……確かにお前の気持ちもわかるがなっっ」


「ふ、深いぜ……」



 とか。



「クレアちゃんは容姿だけじゃなく性格すらまるで神ノ樹から遣わされる妖精の妖精の羽のように滑らかで、柔らかくて、美しぃぃ!!絶対にどこにもお嫁にはやらん!!!」


「おいおいゼトワーさんよぉ、妖精の羽なんて触ったことあるのか〜? てか妖精に会ったことすら無いだろぉ〜? うぇぷ」


「カカッ、何回言わせんだぁ!おれぇはこれでも昔は世界中を回ってたんだぜぇ? そのぐらいよゆ──」


「あーわかってるってわかってるって。 お前さんのいつものやつだろぉ〜? それってホントなのかよォ」


「真実の中の真実じゃぁ! 嘘をつかないのがわしのポリシーじゃからなぁ! はっはっはー!」


「そうだったなー! わりぃわりぃ、会長さんよっ!」



 とかそんな会話を聞いた。

 ちなみにゼトワーというのは村長の名前で、村長がいつもの飲み仲間と飲んでる時の会話だ。

 会長というのは、その名の通りこの村に存在する一大派閥。『クレア警護隊』の発足者であり、リーダーらしい。


 村長って村の人を率いてる時はカッコイイんだけど……圧倒的孫バカなんです…………。



「──アレン? どうしたの?」


「あ、わりわり。 少し考え事してた」


 ついつい考え込んでしまって話を聞けてなかったので、頭を抑えて謝る。


「ふふ、いいよ。それで、やっぱり村の人とお話してたの?」


「やっぱバレてたか…… 気づいたらつい話し込んじゃうんだよなぁ。 あ!そういえばガッツおじさん達からお土産ももらったんだ!」


 そう言うとさっきまで揉めてたフェルマとエルナとそれを宥めてたカルザの3人組が駆け足で寄ってくる。


「お! マジで! アレンもたまにはやるじゃねぇかよ〜」



 そうして皆で、村の人達から貰った野菜や果物を分け合って食べながら話し初めてから暫くすると、村長の家から村長とシュティエル先生が出てくる。



「あ、おじいちゃん! シュティエル姉さん!」


 その2人にクレアがいち早く気づき、声を上げながら2人の元へと駆け寄って行き、それに続いて他の皆も2人の元へと向かう。


「シュ、シュティエルさん……お、お、お久しぶりです。

 わ、私、シュティエ──」


「おいおいエルナ〜。 なーにカタコトになってんだよ〜」


「う、うっさいわね!! このバカフェルマ!!」


 エルナが顔を真っ赤にしながらフェルマを蹴り飛ばそうと追いかけ始めると、カルザが慌てながらシュティエル先生に軽く頭を下げ、2人を落ち着かせるために追いかける。



 その様子をクレアと眺めながら2人で呆れてため息を吐くと、ふとシュティエル先生と目が合う。


「おや、君はアレン……じゃないか? 随分大きくなったねぇ!」


 シュティエルは目をクリっとさしてこちらを前のめりになって覗き込んでくる。


「あ、お久しぶりです! シュティエル先生! 」


「なんだい畏まっちゃって。 会うのはすごい久しぶりになるが私はお前のことを小さい頃から知ってるんだ。そんなに固いとわたしゃ悲しいよ」


「いやー、久しぶりすぎて少し緊張しちまってさ……」


 ぷいっと目を下に逸らすと、先生は大袈裟に高笑いをしながら肩をボンボン叩いてくる。


「はははっ! 見ない間に随分だらしなくなったねぇ!」


「うへぇ……」


「まぁ安心しな! 村長に頼まれて今日からお前たち五人をみっちり鍛えることになってるからな!」


「そ、そうだ!先生にもこれあげる! ここに来る時に村の人達から貰ったんだ。 後、村の人達がシュティエル先生によろしく言っといてって言ってたよ! あとは家に遊びにおいでよとか? 」


「全員のところに挨拶に行かなきゃみんなに後で何言われるか分からんなー……」


 村の人達からの伝言を伝えると先生が少し顔を顰める。


「先生、もしかしてそういうの苦手なのか?」


「まぁな、少し苦手だ。どうせみんなあたしの子供の頃を知ってるからその話ばっか。それか、みんな王都とかに行く人は少ないから王都の事とかに関して質問攻めにされると考えると、それだけで疲れるさ」


 シュティエルはこれから起こるであろう事を想像して嫌気がさしたのか、頭に手を抑えながら軽く頭を横に振る。


「だがな! 勘違いはするんじゃないぞ? アレン。 苦手なだけで嫌な訳では無い。 昔の話をするのも、王都のあたしの武勇伝を肴にして皆で酒を飲むのはきっと楽しいだろうな」




 実際に彼女の数々の噂はこの辺境の村までも広まって来ている。

 シュティエルはこの村の出身で、王都の魔法学校を卒業している。この村では今までにない天才と称され、平民の出でありながら魔法学校の中でもトップレベルの秀才と謳われる。

 それだけでなく、選ばれた人しか行くことの出来ない留学で各国を跨ぎ、低学年かつ平民出身でありながら、高学年かつ血筋によって強い魔力を持つ貴族の生徒を打ち負かすなどという、どれもこれも平民とは思えない事ばかりを成し遂げた人で、平民の星などと言われているらしい。

 正しく武勇伝には困らないだろう。


 シュティエルの性格は男勝りで飾り気がなく、堂々とした姉御肌のような人だ。

 それでいて、容姿は戦士のように逞しいのに、顔立ちはとても美しく、その堂々とした態度と頭の高い所で長い髪を一つに纏めるその凛々しさ。様々な人が集い、国の最先端を常に走る王都の数多の男だけでなく、王都の数多の女でさえも虜にしていたらしい。

 そして、一部のプライドの高い貴族からは目立ちすぎと嫌われてもいたらしいが、全く動じず逆にやり返したとか。

 かく言う本人は残念なことに、その様な恋路には全く興味がないので、虜にされた人々は皆仲良く玉砕していったらしい。


 この話に関しても話題は尽きないだろう。


 そして幼なじみの一人であるエルナも彼女に虜にされたうちの一人だ。

 エルナの面倒見が良く、優しくて堂々とした姉御肌のような性格も彼女の影響だろうと言うのは、もはや村の人達の周知の事実となっている。




 シュティエルは魔法学校を卒業した後、村に帰ってきて子供に魔法を教えたり、近くの魔物を退治したり、時に王都から頼まれ事があればそれをこなす程度で、基本的に村にずっといた。


 しかし、3年ほど前に王都の魔法学校から臨時講師の依頼が来てからは王都に引っ越していた。


 シュティエル先生によると、その3年間は村に帰る暇すらなく、3年間を通して数回程しか帰ることが出来ず、その数回も時間が無くて、家族や村長にひっそり会うだけだったらしい。



「まぁ、大袈裟に帰ってきて、時間が無くてすぐ帰りますっ! じゃあ村のみんなにも会わす顔がなかったからな。 ひっそりとだ」



 シュティエルは片目を閉じて人差し指を口の前に当てながらそう言う。


 そして、ふと何かを思い出したようにその凛々しい目をパッと広げ、悪い事を考える少女の様にニカッと笑顔を浮かべながら続ける。


「あ、もちろん秘密だぞ? 村のやつにバレたら『帰ってきたら一言ぐらい言えよー!』ってうるさいのは目に見えてるからなっ」


「うん、分かった。ここだけの秘密って事で!」


「うんうん、いい子だ


 シュティエルはそう言いながら手を伸ばして、アレンの頭をわしゃわしゃとする。

その手は暖かく、とても心地良いものだった。



「じゃあさ。ここに来てるってことは、先生はもう臨時講師じゃ無くなったの?」


 心地よく頭を揺らされながら、ふと思った事を尋ねる。



「いーや、寧ろ逆だ。 余りにも私の授業が評判でな〜つい最近、臨時じゃ無くて正式に講師として契約したいと言われてしまってなぁ!」


 シュティエルは腰に手を当て、胸を張って自慢げにそう言いう。


「そして私はそれを了承した! ま、今はそれに向けての休暇ってとこだな」


「休暇?」


「あぁ、そこで孫との会話に夢中になってる老いぼれにお前らの面倒を見ろって頼まれてな、それで学校に無理言って休暇をもらった」


 シュティエルが目を細めて、すぐ隣にいる村長、ことゼトワーをじっと睨む。



「なんじゃー?シュティエル。 文句でも、あるのかのぉ?」


「ないさっ! 久しぶりに故郷に帰れて、家族にも村のみんなにも会えて、さらにこの子達に魔法をやっと教えられるんだ。 逆に感謝したいぐらいだよ、村長さんっ」


「ホッホッホ。 そうじゃろうそうじゃろう、その調子でもっと感謝して欲しいもんだよ」


「まぁ、強いて言うならそこのかわいいクレアを独り占めしてることに関しては文句を言いたいがねぇ……!」


「ほーう、ただ孫とすこぉーし話していたのを占領とまでほざくとは、ちぃと器が小さくなったかのぉ、シュティエル先生っ」


「はっ!このわたしの器が小さい? 王都で名を轟かせ、この国一番の名門、王都の魔法学校ですらも頭を下げて契約したいと頼み込まれたが私が? 冗談は程々にしてくれよ。ボケちまったのかい?

  そ・ん・ちょ・う・さんっっ」


「ハハッ!お前こそ冗談も程々にしてくれよ――――――」


 ――――――


 ――――――





 しばらくの間、2人の視線が真っ向から稲妻を飛ばし合いながら、ひたすらお互いに言葉を投げかけ合う。

 それを見て少し呆れて、ふと横を見るとクレアと目が合う。お互いにため息を軽く吐いてから、2人に聞こえないように小声で話す。


「この2人ってやっぱ仲良いよね」


「あぁ、僕もそう思う」


 にしても、この2人の掛け合いには言葉の裏になんか色んな意味の言葉が隠れている気がする。

 よく分からないけど、前に親父が近くの大きな町に出た時に言われた皮肉?ってこういう感じのことだったのかな……。




 そんなこんなで2人は激しい口戦争を終えると、疲れたのか肩を上下に揺らしながら息をしていた。

 そして、シュティエルとゼトワーはアレンとクレアだけじゃなく、カルザ、エルナ、フェルマの幼なじみ全員がじーっとこちらを見ていたことにようやく気づく。



「おっとっと、これつい話し込んでしまったねぇ」


「そうみたいじゃのぉ。 さて、わしはそろそろお暇しようかの、少し用事もあるしな。」


「用事があるならさっさと行けばいいものを。 ま、この子達は私がバッチし鍛えるから楽しみにしてな!」


「ホッホ、それは頼もしい」



 ゼトワーはそう言うと、背中越しに手をこちらに振りながら去っていった。



「さて!待たせたね!! 早速魔法を学ぶための入門と行こうじゃないか!」


「「切り替えはやぁー、」」



 先程まで揉めてたとは思えない2人の切り替えの速さに、思わず皆の口から言葉がもれる。




 そうして僕達はこれから、「魔法」というこの世界に『最もありふれたもの』でありながら、この世界で『最も不思議なもの』の一つである魔法についてを学ぶのであった。










複数人登場する回はほんとに書くのが難しい……

ちょっと自分の書き方を見つけられずに迷走してる感じがしてます。


次の話は割とすぐ上がると思います。

いや、あげるんだあ!

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