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ゼルシアが世界を綴る  作者: ユメ
3/5

2話 始まりの一歩

2話です。

よろしくお願いします! 前話もですが誤字脱字、変な日本語とかあったら教えてください!



バタバタと階段を登りながらアレンは少し考え事をしていた。



「なんか親父、隠してると思うんだよなぁー、」


そう言いながら自分の部屋に入り、服を着替え、魔法の練習用の小さな杖を持って時計を見る。



「んー、まだ余裕あるな。ちょっと親父の手伝い行くか」


階段を下っている間も先程の事を考えていたが、結局答えは出ず、「考えても拉致あかないしもういいや!」という結論に至った。


そして、少し思うところはあるが平然を装う。



「親父ーなんか手伝うことあるかー?」


「お、いいところに来たな、まだ村長のとこに行く時間には余裕あるだろ? いつもみたいに剣の稽古つけてやるよ」


「お! マジで!! 余裕あるある!! 今日こそ1本取ってやるよ!!」


「ガハハ、そりゃ楽しみだ。 皆のところに行く前にべそかかないといいな〜」


「けっ、言ってろ!」


アレンはゲラゲラ笑うアーデルを一瞥してからスタスタといつも使ってる木刀を取りに行き、先に外へ出る。そして家の無駄に広い庭に出て準備運動をする。



我が家は村外れにあることもあり庭はかなり広く、野菜や果樹を育てていたり池には観賞用の魚を飼っている。これは親父の趣味だ。


さらに庭ではないが家から少し離れた裏の方にはたくさんのカウルやワタタ(白いフワッフワの毛に包まれた生き物、布団やらベットやら洋服に使われている。地方によって、色はまばららしい)が柵で囲まれて放牧されている。

ここは村で管理をしていて、親父の仕事でもあり親父以外にもたくさんの大人がここを訪れ、牧草の手入れやら動物の世話やらをやっている。

剣の稽古は、いつも周りに何も無い庭の一角で行っている。


そして、準備運動を初めてから少しすると、親父ものんびりと木刀を持ちながら自分の後に続いて出てくる。



「よぉーし、準備はいいかー? アレン」


「親父こそ準備運動しなくていいのかな、腰痛めちゃうんじゃない?」


「お前ごとき、片手でも勝てるさっ」



そして今日もいつも通り、2人は向かい合って木刀を構える。



「ふぅぅーー……」

「ふぅぅーー……」


2人はの深呼吸が辺りに同時に響いた。


アーデルはそのまま軽く剣を正面に構えたままだったが、アーデルはゆっくりと重心を落とし、いつでも飛び出せるように構える。


「さぁ、どこからでもかかって来い、アレン」


親父は稽古の時、毎回雰囲気がガラッと変わる。普段の気さくな感じとは打って変わって、少し怖い顔で真剣そのものの雰囲気だ。声色も少し低くなって、圧力を感じる。


最初の頃はそれだけで少し震えていた。


今はその声を聞く度に気が引き締まり、真剣な親父に応えたいと、もう一度木刀をギュッと強く握り直す。




「あぁ、言われなくてもっっ…!!」


右足で思いっきり地面を蹴り飛ばす。


地面は少しえぐれ、あっという間にそれなりにあった相手との距離を詰め、木刀を正面から堂々と打ち込みに行く。


それはもちろん、アーデルの木刀で軽く受け止められ、()()()()()()()流されそうになるも、すぐに木刀を引いて1歩下がる。その反動を利用し、体を思いっきり低くしながら親父の足元にに飛びかかって木刀を打ち込む。

その動きはとても洗練されたものだった。


しかし、アーデルは木刀を地面に突き立て、それを受け止める。



行ける……!!



アレンはそう確信する。


足元に飛びかかったその勢いのまま相手の後ろを取り、またその勢いを利用してすぐさま相手の横腹に体を回転させながら本命の一撃を放つ。


親父に隠れて練習していたアレンの渾身の一撃だ。




今まではたくさん打ち込んでも軽く受け止められたり、すぐ受け流されて、親父に毎回「ガハハ!甘いなぁ!」と煽られてばっかだったことを自分は深く反省したのだ……。


そして編み出したのが、木刀の勢いを流されないようにすぐ離れ、素早く飛びかかって打ち込むことで、受け止められた時にすぐ裏を取れる。そしてそのまま回転して死角からとどめを刺す。まさに必殺技。

ここだけの話、自分にしてはなかなか美しい流れだと自負している

名付けて「必殺剣技 対親父3連撃」だ。


「はぁぁぁぁ!!!」



ガンっ!!

木刀と木刀が勢いよく重なる音が響く。



「なん……だと……」


アレンの放つ死角からの渾身の一撃は惜しくも木刀で受け止められる。


「お前後ろに目でもついてるのかよぉぉ!!」


衝撃の事実にアレンは思わず硬直したまま思ったことをそのまま叫ぶ。


「ククッ、でも、なかなか悪くないぜ」


親父はニヤリと笑みを浮かべながら、木刀を持っていない左手で軽くアレンのおでこを弾くと、そのままアレンは尻もちをついてしまった。



そして親父は顎に手を当てながら関心したように話し始める。



「急に動きが良くなったなー、今までの俺の行動を自分なりに考えてよく対策できてる、さすがの俺でも少しヒヤッとしたぜ。コソ練でもしてたのかなぁ?」


顎に手を当てたまま首を傾げるアーデルにアレンは堂々と言う。



「その通り、僕が親父から1本とるための『必殺剣技 対親父3連撃』だぜ!!――でも、行けたと思ったんだけどなー……」


「悪くなかったのはほんとだぜ? 実際同年代のやつとかそこら辺のペーペーには1本取れるだろうさ、さすが俺の息子だ……!」


親父は噛み締めるように首を上下に揺らす。



「おお!つまり優秀ってこ――」


「だがしかぁし! 詰めが甘い!自分の考えていた一連の動きを防がれたからと言ってそこで思考を止めるのはナンセンスだ!」


アレンは言葉を遮られ「うぅ、」と少し怯むが、それには目もくれずアーデルは語り続ける。



「相手が自分の想像道理に動くとは限らない、だからこそすぐ1歩引いたりもう一本打ち込んだりと臨機応変の対応が必要だ。

その場その場の判断と勘が1番大事なんだ」


「ぐぬぬー、もう一本だ!次こそはギャフンと言わせてやる……!」


「フッ、約束の時間まで何度でも受けて立とうじゃないか」


「行くぜ親父!


はぁぁぁぁー!!!」




真っ青に染まる空の元、優しく吹き付ける風で揺れる草木と、カウルやワタタが奏でる音色が辺り一帯に優しく微笑む。

そんな中、アレンとアーデルの声だけが異質にも楽しそうに辺りに響いていた。



▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲



「ああぁー!! くそー! 今日も1本も取れなかったぁぁぁ」


庭の広い芝生に大の字で1人の少年が寝転がっている。


「ガハハっ。まだ甘いってこったなーー

ほれ、もうそろそろお昼になっちまう。さっさと飯食って村長とこ行くぞ」


「はーい」


そう言いながら2人は庭にある水道に行き、頭を濡らし、濡れタオルで体の汗を拭いとる。


そして家に帰って朝ごはんの残りと、予め焼いておいたツゲル鳥の肉をを温めて食べる。

親父曰く運動後は肉が良いそうだ。



そしてアレンは悔しそうに頭を抱えながら食卓に着く。

稽古を始めてからお昼頃になって、村長の家に行く約束の時間が近づいて来ていたので昼食を食べるために、稽古はアレンがいつも通り1本も取れずに不完全燃焼で終わりを告げた。


「いやー、今日はなかなか手応えがあったな〜」


「ぐぬぬ、結局1本どころか両手すら使わせられなかったし息をあがらせることすら出来なかったのにぃ……」


「ガハハ、お前が俺に勝つのはまだ10年は早いな!

それより今はさっさと食って村長のとこで魔法でも学んで来るんだな」


手でちっちと払ってくるアーデルに、アレンは「次こそは魔法も使って1本取るから待っとけよー!」とアーデルに言い放ってからご飯をさっさと食べ始める。


「おう、待ってるぜ! 我が息子よ!」


アーデルは相変わらず余裕の笑みのままだった。


その後も2人はわいわいと何気ない事を話し続けた。



▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽



アレンは肩から下げる小さなポーチに、朝準備しといた飲み物や杖を詰め込み、玄関の扉を開けると強い光か差し込んで来る。



「気をつけて行ってこいよー」


「うん!行ってきまーす!」


親父の言葉を背中で聞きながら家を飛び出す。



空は相変わらず、海を鏡に写したかのように真っ青で、そこにポツリと浮かぶ太陽は大地と自分を強く照らす。


「んん、ふわぁ〜」


家を出てすぐの所で、日光を浴びながら体をゆっくり伸ばす。


「――走るか!」


アレンはそう呟くと、ゆっくりと駆け出し始める。



走るのは小さい頃から好きだった。

風を切り裂いていく感覚、徐々に速くなる呼吸、そして走り終えたあとの達成感。

そして何よりも先頭で走る時のみんなを引っ張ているような感覚が好きだ。


自分は昔から、幼なじみのみんなと走る時はいつも先頭に憧れながら走っていた。なぜ憧れてたのかはよく覚えてない。

けど、多分、よく村のみんなを率先してまとめている村長と親父に、かっこよさを覚え、先頭の景色を重ねてるのかも……と最近は思っている。


それでも幼なじみの中では、だいたい2個上のカルザが先頭を走っていた。カルザは自分も含めて5人の幼なじみの中でも一番しっかりしている。それこそ村の皆をまとめる村長や親父のように。


そして、少しの間だけだったけど初めてカルザを抜かして先頭で走ることが出来た時、憧れていた先頭の景色はやっぱりとても綺麗で、気持ち良いもので、なんかすごくいい……! と強く思った。

この上手く言葉に表せない感覚が何よりも好きで、それから走るのが好きになった。




今日、村長の家への道のりは追い風だった。


この背中から強く打ち付ける風は、まるで新たな一歩を踏み出す自分を応援してくれているように感じた。




そしてこれは本当に、アレンにとって新たな一歩となったのだ。





8月9月投稿頑張るぞぉぉぉ!って思っていたらそうそうに体調を崩しました…

1週間か2週間以内には次の話を投稿出来たらなと思ってます。


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