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突然すぎるミステリー(?)短編

作者: ヨガ

「ねえ、やめてよ。本当に……みっともない!」


 それは、あるところにゴミ収集場の出来こと。ハリネズミみたいな髪型をしている男性と、少し濃い目の化粧をしている女性がゴミを漁っている。


 「いいや、絶対あるはず。だって金の匂いがするもん!」ハリネズミ男がみずぼらしい格好で、誰彼構わず、ゴミ袋を一つ一つで適当に退いた。


 「絶対ないって――」


 「あ!あった!」


 「え!嘘!」


 そんな彼が見つけたものは公務員がよく使われるバックだ。


 「ほら!見ろ!」ハリネズミ男がバックを開いて、中身を化粧女に見せた。


 その中にはなんと、いっぱいの札束だ。そして、全て本物のお金だ。


 「うわ!この感触、本当だ……」


 「だろう?ざっと見たところ、億円分に違いない。」


 「すごい、よくこんなものを見つけられるね。」


 「はは――もっと敬え!」誇張な行動を取ったハリネズミ男は自慢げにバックを化粧女の前に差し出す。


 化粧女が受け取るところで、一人のスーツ姿の男性が現れた。


 「おい!ゴミ収集場で何をやっている!他人のゴミを漁っているのか!」


男性はゴミ袋を持っている。たまたまゴミを捨てるところで、二人を見たようだ。


 二人はまさか誰かに見られるとは思っていなかったようで、少し慌てて理由を説明する。


 「ああ!違う、違う!ゴミを漁るなんて、俺らはただ間違って、危うく大事なものを捨ててしまったところだよ。うちの奥さんはちょっと間抜けな部分があるからね。」ハリ男は言いながら、化粧女の反対側の肩を掴んで、自分との身体に密着するようにした。


 「ええ、本当に。あなた、ごめんね。」


 「いいのよ。そういうところも大好き。」ハリ男は化粧女の頬にキスをした。


 二人がイチャイチャするところを不機嫌そうに見たスーツ男性は、「チッ!」と明らかに怒っている様子。


 「……ウザイな。お前らの用事が終わったらさっさと帰れ。」


 「はい~すぐ帰るよ。でも、にいさんよ。深夜でゴミを捨てるなんて、感心しないな。」


 「そういうお前らもそうだろう。お前らと違って、俺は朝が忙しいんだ。」


 「さすがサラリーマンってところかな?ブラック企業に勤めて全然楽しくないだろう。」

 

 「……ふん、ずっとお前と喋るつもりはない。」スーツ男性はゴミ袋を捨てて、すぐハリ男のことを後にした。

 

 街の曲がり角に曲がって、男性の姿が見えなくなった。


 「……帰ろうか。あなた。」


 「……ええ。」

 

 ハリ男と化粧女はそう言いながら、二人はスーツ男性が通った反対方面の街へ歩いた。


 そんな二人も曲がり角に曲がって、姿が見えなくなった。


*******


 「……もう行った。」


 『サツの可能性は?』


 「ない。サツは迂闊にターゲットとの交渉はしない。それに、今は深夜だ。ばれたら目立つ。」


 『そうだな。でも用心した方がいい。後を付け。「荷物」はどうしても回収しろ。必要があったら……「片付け」。』


 「かしこまりました。」


 スーツ男性は携帯をしまって、ゴミ収集場に自分が捨てたゴミ袋から、色んな紙屑に混ざっている「拳銃」を持ち出した。


 滅音器も付けて、スーツの中にしまう。そして、無線機を持ち出し、仲間と連絡をとる。


 「あいつらと交渉する。」


 『本当に反抗するのか?アニキ。』無線機の相手は子分だ。


 「ああ、指示が少なすぎる。それに、交易の時間と場所がおかしすぎる。」


 『確かに。でも、あいつらサツの可能性は?』


 「ふ……」


 『ん?アニキ何笑ってるの?』


 「いいや、安心しただけだ。サツの可能性はない。バッカップルに見えるが、ただの盗人か何かだろう。恐らく、『敵対勢力』が『わざと』あいつらにそう見せられたのだろう。」


 『なるほど。』


 「とりあえず、威嚇しやすい武器を備えろ。あいつらと交渉する時、君は『チンピラ』のように動け。」


 『わかった!「チンピラ」ね!』


 「今、あいつらはどこにいる?」


『曲がり角近くのコンビニに入ったところ。』


 「分かった。監視を続けろ。もし出たなら、すぐ連絡を。」


 『わかった。』


 スーツ男は服装を着変えて、眼鏡をかけた。偽物のピアスも付けて、一見、別人のように見えた。


 『ヒュウ――色男。』


 「茶化すな。『誤魔化す役』を見つけろ。」


 『さっきヘロヘロなOLが通りすがったぞ。まだ近くにいると思う。』


 「分かった。すぐ行く。後は頼む。」


 『おk――』


*******


 「い%^&しゃせ――」


 ハリ男と化粧女は手を組んで、すぐ曲がり角近くのコンビニに入った。


 「本当に監視されている?」


 「ええ、本当よ。あそこの屋上、見晴れがいいから。」


「なんで知ってる?」


「『身体の商売』をした時、行ったことがあるの。」


「ここで見えるの?」


「私、目がいいからね。結構遠いけど、真正面だから、絶対見られたとは思えないだろう。」


「なるほど。」


 ハリ男と化粧女はコンビニで、何事もないように会話している。一見、ラブラブカップルのようだ。


 「でも、作戦はうまくいかなかったな。『バッカ夫婦』を見せかけて作戦。」


 「だからやめてって言ったのに。今こうやって監視されて、絶対後を付けられた……」


 「そうだな。仕方ない。しばらく分散しない方がいいな。」ハリ男はそう言いながら、「二件八割!」というお茶の製品を一つ取った。


化粧女も頷き、他に一つパンのものを取った。


 そして、ある程度の飲食ものを取った後、二人が会計するところで、コンビニ店員が言った。


 「ええと、お客様、このお茶の製品だったら、もう一件を持ってったら、割引が入ります。どうします?」


 「あ、だいじょ――」ハリ男が言っている途中、化粧女が口をはさんだ。


 「やだ~割引が入ったら、絶対二件の方が安くなるじゃん。私と一緒に取ってきて!」


 「……そうだな。ごめん、ちょっと待ってね。」


 「かしこまりました。」


 そして、二人はお茶を取りに行った。


 「あの男が来たよ。」


 「うん……あ、あのチャラそうな男か?」


 「ええ。さっきゴミ収集場のスーツ男だよ。」


 「ナンパしているね……でもすげぇ、まったく違う人のように見える。」


 「そうだね。外見の姿が全然違うけど、体格、顔付き、輪郭は誤魔化せないから。」


 「なるほど。でも見破れる君もすげぇな。」


「女性にとって、そういうところが結構気付きやすいから。」


 「へえ――」


 「信じないの?」


 「ちょっとね。」


 「……そういう君こそ、なぜあの『スーツ男』が『交易の相手』だとわかっているの?君が見たのは『置いた場所』と『置いた人間』だけだよね?」


「はは、鋭い質問だね。でも、あの男と会話したら自然とわかるじゃない。『ブラック企業』じゃないのに、スーツ姿。そして疲れ切った顔色にも見えなかった。すぐ『ゴミを漁る』って言ったところも変だし、明らかに監視されている。」


「『監視』って……じゃあなに、お前はさっき『監視』のことを聞くのって、私を試されたの?」


「そうだね。ちょっと興味が沸いたところだった。」


二人は談話しながら、会計しに行った。


そして、二人は会計が済んだあと、チャラ男もちょうどOLに平手打ちされた。眼鏡も平手打ちの衝突で地上に落ち、チャラ男はまるでしょんぼりのように跪き、眼鏡を手に取った。


二人は目の余光で目撃し、ずっと同じく手を組んで、ラブラブカップルのように、小声で会話する。


「すげぇな。まるで計算されていたように。」


「違う。『ように』じゃなくて、本当に計算通りだろう。あの男はさっき金を渡したんだ。」


 「なるほど。世のすべては『金に動かされる』。まさにその通り。」


「そうだね……ちなみに、一つ聞いてもいい?」


「なに?」


「さっき何で私にキスしたの?」


「え、そりゃあ、したかったからだ!」


「……あきれた。」


*******


『アニキ、僕この位置ではもう見えない。すぐ準備してくるね。「チンピラ」のように。』


「……ああ。頼む。」


あのくそOL……よく全力でやってくれたな。もし今誤魔化すためじゃないなら、すぐ「商売」させてやる。


スーツ男(チャラ男)はそう思いながら、二人の後を付けている。


「それにしても、あの二人……会計の時ちょっと遅いな。」


『そうすね。僕にはずっと会話しているように見えるんだけど、何かについて会話しているのか間違いない。アニキはあの距離では聞こえないか?』


「聞こえない……そうだな。ちなみに、『監視』がバレた可能性は?」


『どうだろう。この位置では望遠鏡じゃなきゃ全然見えないところだと思うけど、もし目がいいなら可能性がなくはないかな。バレた前提で行動したほうがいいと思う。』


「……あっそう。そうだな。確かに用心した方がいい。」


*******


 そして、四人が対峙する場面が来た。


 路地裏で四人がそれぞれの格好、それぞれ特徴があり、それはハリ男、化粧女、チャラ男(スーツ男)、チンピラ(子分)だ。


 「さあ、お前らはわざわざ人気のない場所を誘導して、つまり俺たちの『監視』はすでにバレたんだろうな。」(スーツ男)


 「ええ、そうよ。見えたんだから。」(化粧女)


「ああ?おめえら、話を許した覚えはないな。勝手に喋んじゃね!」(子分)


「構わん。それより、お前のそのバック、こっちに寄越せ。」(スーツ男)


「ええ?この中のものは君のものなの?!正直びっくりしたわ。俺のバックにまさかそんなに大金があったなんて。億円だよ!億円!」(ハリ男)


「ええ、本当にびっくりしたわ。」(化粧女)


「茶番はいい!さっさと寄越せ!じゃないと……」子分は野球のバットを振りながら言った。


そして、スーツ男もスーツの中にしまった拳銃(滅音器付き)を持ち出した。


「はぇ、今すぐあげるから、殺すんじゃねえよ。」(ハリ男)


ハリ男は言いながら、バックを持ってスーツ男に近づくつもりが、化粧女はさっと手を伸ばして、こう言った。


「いいや、ちょっと待って。寄越す前に、もっと話し合ったほうがいいんじゃない?」


「……話し合う?」スーツ男は拳銃の先を化粧女に向けた。


「は?話し合う?おめえ……」子分は直接化粧女にバットを振って、ひどい暴力をした。


「う……う……」そして、ひどい有様になった。


「話を許した覚えはないつったんだろうか!おめえはもう二度と口を挟むな!」


スーツ男は拳銃をおろし、この状況を静観している。


「……ふん。アホらしい。いいから、お前、さっさとそのバックを寄越せ!」(スーツ男)


「怖えぇ~今すぐ渡すから。だから殺すんじゃねえぞ。」(ハリ男)


ハリ男はバックをスーツ男に渡した。そして、スーツ男は持った後、すぐハリ男の足へ二発の弾を打った。


「う……!」


「お前ら、今回はこれで勘弁してやる。今夜のことは絶対忘れろ。もし何かの情報漏洩が俺に知らせがあったら……次はココだ。」スーツ男は拳銃でハリ男の心臓に指した。


ハリ男は慌てて頷き、拳銃のことを怖がっている様子。


「さあ、早くここから離れろ。見られたらまずい。」(スーツ男)


「え?あ!はい!」(子分)


*******


 後日、ハリ男と化粧女、二人は病院で。


「……ひどいわ。まさかこんな目に合うなんて。」(化粧女)


「お前はまだマシな方だろう。俺、弾くらってるぜ。」(ハリ男)


「君は何言っているのよ。弾くらってるぶん、さぞ報酬が凄まじく多いだろう。」(化粧女)


「いや、それは君のほうだろう。報酬はなんだ?情報か?それとも体か?」(ハリ男)


「ふざけないで!あの人はもういないから、今なら話せるでしょう!すべて洗いざらい話せ!お前はあの拳銃男と手を組んだでしょう!殺さずに済むなんて、ありえないわ。」(化粧女)


「君の方こそ訳の分からないことを言うな!全てが演技だって言えや!アイツ拳銃を君に向かった真っ先で、おまえに向かっているんだぜ!明らかにお前を救うための演技だろう!」(ハリ男)


「何が演技よ!本当に痛いんだから!」(化粧女)


「こっちも痛いだって!二発の弾が丸々くらってるぞ!」(ハリ男)


「はあ?じゃあ何、君はあの拳銃男と手を組めてないの?」(化粧女)


「組めるわけがないだろう!あの理不尽な態度を見ろ!絶対敵対する人を潰すタイプだ!勝手に交渉したら死ぬだけだ!」(ハリ男)


「は?じゃあ、お前、あの時、その交渉の態度は何なの?大胆すぎるだろう!」(化粧女)


「いやいや、それは君があのチンピラと手を組んでいる『証拠』を見たから、俺はあんな態度が取れるわけよ。」(ハリ男)


「『証拠』って、お前何言ってんの?」(化粧女)


「いや、だから!お前はその『目がいい』とか、『変装を見破れる』とか、あと『女に金を渡した』とか、実はあの『チンピラ』男と『事前』に交流したことがあるからこそ、承知済みのことだろう!」(ハリ男)


「はあ?!お前本当に信じてないの!」(化粧女)


「当たり前だろう!そんなのテレビドラマしか出てこないスキルなんて。」(ハリ男)


「呆れた……」(化粧女)


「お前……本当にあの人と……」(ハリ男)


「そんなのしないわよ!私を何者だと思ってんの!ただの『娼婦』よ!あんな『チンピラ』相手と『商売』するなんてまっぴらごめんだわ!」(化粧女)


「へぇ……」(ハリ男)


「むしろあんた、本当にあの『拳銃男』と手を組んでないの?」(化粧女)


「しないしない!俺はただの『盗人』だぜ!バックの札束の金を取ったけど、組むわけがない。」(ハリ男)


「でも、その『ブラック企業』とか、『ゴミを漁る』とか、『監視』とか、君全部知っているじゃん!」(化粧女)


「そんなのは『交渉術』で知ったからだよ!それに、深夜であんな格好する人間なんて、絶対おかしい!また、おかしい場所で置くおかしいもの、『監視』しないわけがない。常識だろう!ずっと『監視カメラ』の目をぬすって人間だから、わかっている。」(ハリ男)


「はあ……つまりなんだ。私たち……」


本当に鬼門前に踏み入ったところの二人だった。


*******


「なあ、アニキ、本当にあの二人を野放しにしていいのか?」


「いいだろう。お前の手下だ。殺したらどうする。」


「え?て、手下?僕の?」


「なんだ?白々しいな。お前はあの女と手を組んでいるだろう?」


「あの女……あ、あのOLのことだね!でも、あの女はあの二人と関係なくない?」


「はあ?お前は何言ってんだ!」


「へ?アニキが言った手下は『誤魔化す役』のことだろう?深夜はそうそう人がいないから、僕はアニキを守るために、アニキの近くに待機させていたんだ。役に立てて良かったね。あ、あとこれはアニキのお金。」


「……どういうことだ?お前はあの『化粧女』と手を組んでいないのか?」


「いやいや、僕と全然接点がないから、するわけないだろう。」


「じゃあ、あの言葉はなんだ。『監視』がバレたと思ったほうがいいって――」


「え、そのままの意味だよ。僕、それなりに視力がいいから、あの屋上が見えるんだ。視察で見た時、屋上で『やる』人もいるし、とてもエッチだぜ。」


「……じゃあ、あの態度はなんなんだ!」


「ええ、チンピラのように動けってアニキが言ったじゃん!」


 「違う!もしお前と手を組んでないなら、なぜあの二人、俺らのことをビビらなかった!『話し合う』……『洗いざらい話す』……」


「え?それは胆力が……すごいからじゃね?」


「そんなことありえるか!さっさと見つけ出せ!ひょっとしたら俺の『敵対勢力』だ!」


「……は!なるほど!後ろ盾があるわけか!」


そして、この四人は、いつかまた対峙するになるだろう。


だが、それはまた別の物語である。


終わり。

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