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大魔王とサファイアの国

 今から1年前の話になる。

 サファイア王国がそこにはあった。宝石が沢山取れるという事で繁栄を重ね続け旅行客や各王国関係者がひっきりなしに出入りしていた。

 それだけあって美味しい食べ物も多くあり当時としては王国達の中でも覇権を取るとも謳われていた。

 が、付け狙った大魔王が襲来して建物や作物を荒し回る。サファイア王国の騎士達も応戦するが残酷な事に誰も太刀打ちできない。

 散々虐殺と破壊を繰り返し「この土地を我が物とする!」と宣言した直後に眩い光の柱が魔王の前に現れた。

 ふわりと徐々に光は消えそこには金髪をなびかせる少女がいた。カナイである。

 現在とは打って変わって鎧などの女神を彷彿とさせる衣装をしていて、幼い手で握る聖剣を輝かせる。あらぬ姿ではなく本来の姿だ。

「やはり来たか、叶い(かない)の少女。女神よりの使者。今日こそ決着をつけよう」

 鋭い眼光はただ大魔王の言葉に返事せずただ真っ直ぐに伸びていた。

 最初に攻撃始めたのは大魔王、しもべを数多く召喚しカナイに向かって突撃させる。

 意図も簡単に弱めの魔法で命を落とさないように気絶させ今度はカナイが攻撃を行う。手を広げて前に突出し頭上周辺に何本もの光の槍を作り出す。対象の敵に放つがバリアーを展開され火花を散らし槍は消滅した。

 大魔王は魔王らしく攻撃を容赦なく続ける。一方ただ防戦一方のように見えたカナイだが一瞬だけ口をニヤリと尖らせ、大魔法陣を展開。

 今まで捨て駒に使っていたしもべのモンスターや武器が今度は反逆の意思を向く。

 きっとしもべ一匹一匹はそのつもりはない、申し訳ないと思いつつ攻撃している事だろう。

 裏切られた本人は無心でかつての部下や持ち物を殲滅した。


 その中にあったのだ。この男に、世界を征服、制圧しようとした悪魔にトドメを刺す武器が。


 魔王、悪魔、征服する者。そう呼ばれても心は消えない。妻の使っていた大きな盗賊ナイフが混ざっていたのだ。様々な生物などに紛れていた。

 カナイはその武器に気づいていたのだ。ニヤリとしたそのシーンの瞬間に。

 一番最後に若干の魔のような間を置く事で妻のナイフを強調させ敢えて気づかせた。

 判断に迷ったのか、妻と出会った時の事がフラッシュバックしたのかはもう誰も分からない。大きな盗賊ナイフはカナイのありったけの魔力を乗せ、

 ――――

 ―――

 ――

 ―



 時は現代に戻る。ドロシーは大魔王の墓の前に立って手を合わせる。

「お父さん。他の家族は皆悪い大魔王って言ってたけど、お母さんを愛してたの知ってるから……きっと、いつか良い人だったって皆知ってくれるよ」

 ドロシーの父、世間で言う悪魔にトドメを刺したのはカナイだ。友人の父と言えど世界平和の使命、女神の子としての尊厳などを考えるとそれも仕方ないのかな。と数年前家族全員で楽しく行った海水浴、モンスターを狩り焼肉をした事などを写真を見て思い返す。

 色々あって騎士団見習いの入った訳だが悪魔の父と盗賊の母を持つ彼女と妹のドロップは女王の権限でクラスが上がる事は一生無いとされている。

 一方世界平和を守った女神の子は騎士団副団長が直々に迎え、今頃最高クラスで良い暮らしを約束されている頃だ。

 明らかな差を受けていても人生を恨む事は無い。それがドロシー自身の優しさであった。

 背中にはあらぬ姿の聖剣、つまりは大きなペンが包帯に適当に巻かれ『がっき』と雑に張り紙をされている。包帯は乾いた風でなびき、中にある剣は今もドロシー フォードが決意する事を待つ。

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