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魔法の悪い使い方

 今頃になって王国の城内ではあらぬ姿の剣が無くなっていると大騒ぎ。

 城下町を混乱に陥れぬよう情報の保守を命令され、極秘で剣の捜索が行われる。

 トイナはその指揮を命令され、ついでにカナイもメンバーに加わった。

 あれからと言うと綺麗な洋服を着てあまりにも美味しいご飯を食べ、ふかふかの心地よいベッドで眠った。夢のような生活ではあったが剣の事実を知っているとなると気が気ではない。

 第一回目の聖剣創作会議。

 リーダーのトイナと隣に緊張した面持ちで座り込む。

 ひそひそと変な噂を立てまくるメンバー達は聞こえないように話してるつもるだが、敏感な耳を持つ彼女には丸聞こえで今にもそいつらを滅したい気持ちを持つ。

 上手く進行しない中会議は終息を迎え、後にトイナの部屋に来るようにとカナイへ指示を出した。


 様々なトロフィーや勲章が飾られており、その他は騎士団副団長とはいえ男性の私生活という雰囲気が漂っている。

 トイナは自分のベッドへ、カナイは客用の木製丸椅子に座って話は始まった。

「単刀直入に言う。あの時の傷だらけの女性怪しくないだろうか」

 ドキッ。心臓が変な鼓動を打つ。

 騎士によってつけられた傷、一昨日城下町の宿にいた事などを加味するとそういう結論に至るのは当然であった。確かに確固たる証拠こそ本人の自宅を調べられない限り出てこないが、そこを突かれたら終わりである。どうにかして彼の集中を逸らさなければならない。

 致し方ないと硬く両親に閉ざされてきた「魔法」を使う事を決意した。

 相手の一部分の記憶を消す魔法だ。

「トイナ氏。わたしの目をみてくれ」

「いきなりどうした」

 睨み合いが続く。ただし一方的なリターンしか得られない、ある種の戦いであった。

 ものの10秒でドロシーのママを治療した時の記憶は闇の奥底に閉ざされ、話題はぱたりと止まる。

 適当に「お前いい目してるな」と言い放って逃げるように部屋を後にした。自分の部屋に戻るまで取り乱さないよう真顔を保ち、入ってからはベッドに横たわり呼吸を荒くする。

 いっそ王国を滅ぼしてもいいがそんな事はしたくなかった。知ってる嫌いな人と同じ事をするハメになるからだ。

 嫌いな人、因縁と憎悪がお互いに絡まり合い争いで大きな国一つすら滅ぼした事もあった。

 ここから北東方面の砂漠を抜けきった先にクレーター型の窪みがあるが、その場所こそ滅んだ王国跡地である。

 ここまで木々が生い茂っているのにそこだけ砂漠が広がっていた。砂漠自体が争った痕跡と言えた。魔力と魔力がぶつかり合った影響で地表にエネルギーが刷り込まれ植物が生命を維持できない大地となっている。

 ……王国跡地周辺をドロシーは訪ねていた。

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