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巨兵アスタリスク

「わたしの夢だったんだ。ドロシーと一緒に騎士団で頑張る事が」

 その目には意思が、その小さな手には力が宿っていた。

 魔力や超能力、そんな物ではない。強い心という力がある。最愛の姉と共に歩む覚悟をとっくの昔に決めていた。ただママが謎解かない魔法の書には触れるな、と念を押され今まで触れられなかっただけ。

 だがママの意識は無い。ドロップの想いを止められる者は誰一人いなかった。

「謎解かない魔法の書をお前に託す! そして、巨兵アスタリスクの声を聞け!」

 まるで何を言ってるか理解してないまま分厚い書物を渡され、周囲は銀色の光に包まれる。

 本は金色に光ってドロシー フォードの右腕に巻かれている母から貰ったサファイアのリングが設置された皮のリングに吸い込まれ、純粋に青かった宝石の中身は金色と銀色のコントラストで薄く濁る。

 リングを所持している本人は何の意味も無い、ただのお洒落アイテムだと思っていたがふとドロップから5年前に言われた事を思い出した。

 魔女の適正検査をして魔力0と診断された翌日手渡され、長きに渡って戦えないドロシーを犯罪者の魔法使いから幾度も身を護ってきたのだ。本人は気づいていない。

 そのサファイアに指を日本当てると意識が研ぎ澄まされる。時間の流れがゆっくりに感じる。いや、実際に本人の周囲だけ若干ゆっくりになっていたのだ。

 氷塊の扉からほそぼそと声のような音が聞こえてきて、段々大きくなる。音は声であると言う疑いは確信へと変わってゆく。

「……お前が……あるじか? ……」

 この魔法の副作用的な物で相手の考えている事も頭に流れ込んでくる。妹の想いも、巨兵の過去も。

 でも一番困惑しているのは声を聞いてる本人で、どう返して良いか分からなかった。分からなかったけど、脊髄反射的に「そう」と肯定してしまう。

 周囲は激しく地鳴りを起こす。誰かが歩いてくるように一定のペースを刻む。

 揺れは激しく王国全土を揺らす。

 優雅に昼食を嗜むトイナとカナイ、女王陛下。地響きに同様するが唯一カナイだけは内容を概ね察し高笑いする。アイツらやってくれたなと。

 困惑する他の二人だがお構い無しに天使の羽を広げ大きな窓から飛び出した。

 城下町を見下ろし城壁の横を沿うように高い場所から滑空、森の木々は次々に倒れ巨大な兵の上半身が現る。

 目は赤く部分部分は凍っていた。女王陛下の城に匹敵するほどの大きさで両方の拳を力強く地面に置く。今までで一番大きな地鳴りが広範囲を揺さぶった。

 肩部分にはドロシーとドロップがいる。合流するようにカナイも着地し羽をしまう。

「やっぱりやってくれたな! 巨兵の復活は自分の母である女神様も望んでいた事! そして、よく聖剣も守ってくれた」

 ドロシーと硬い握手を交わすカナイ。今の所情報的に蚊帳の外なので分からなかったが後頭部を触りながら「えへへ」とほほ笑む。


 同時に城の中、女王陛下はカンカンに怒り狂っていた。

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