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あらぬ姿の剣
国を救った英雄の剣があった。
いや、剣と呼ばれているだけで実際はペンの姿をしている。先の部分を剣を置く台座に向かって刺してあり、他の国からはふざけているのかと軽蔑される事も珍しくはない。
それでも国民や亡き国王に変わり王国を総べる王妃は本来の姿に戻る事を祈っていた。
なぜ剣が姿を変えてしまったのか分かる者はほぼ居ない。諸説では悪い魔女に呪われてしまったとか、本物を紛失してしまったなどまさに物語が展開されていた、今日も剣を巡るストーリーを書いてはただペン本来の用途を全うする。
あらぬ姿の剣は今日も台座に鎮座している。
細い太陽の光を浴びながら、何かを待ち続けていた。




