第1話 転学面接
カッコよくて強い女の子の、活躍が観たくて書きました。
☆評価・感想など、よろしくお願い致します☆
※『カクヨム』様にも、同作品を投稿させて頂きました。
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不揃いな厚い雲が群れ、陽の光を吸い込む曇天。
先行きを暗示するのなら、この混濁は――面白い。
天候は常に変化するからな。
始まる前から快晴じゃ、寧ろ不安になってくる。
っと、時間まで後少しある。最終確認しておくか。
――双眸の上で横一線、腰まで伸びた黒い髪。
15歳に相応の顔立ちと、無愛想な鋭い瞳。
……私だ。
いつも通り、可愛気が無い。小柄で華奢な、偏屈人間。
しかし、一応“面接”だからな。第一印象は大切だ。
口端を、こう、指で吊り上げて――
「……にぃ」
顔を映す程ピカピカな、キャンピングカーの外装に。突然、歪な染みが現れた。
……私だ。
「……アホらし」
らしくない。
なんて、10代の少女らしくもない。
って、もう約束の正午じゃないか。モタついてても仕方が無い。
手筈通り、車のドアを5回ノック。
――キャンピングカーのドアが開いた。
一応、営業スマイル作って。
「あ、初めまして。今日の面接を予定していたぁ――」
銃口。
真っ直ぐ私に向けられて。
「あぁ、初めまして!」
お人好しそうな青年が、銃をこっちに向けたまま。
「稲黍鼓さんだね? 改めまして、面接を担当する亨と言います。さぁさぁ、入って入って!」
ボサボサ髪の下にある笑顔と、更にその下の拳銃。
……うわぁ。
キャンピングカーのリビング区画、ね。
小洒落た椅子に腰を落として、テーブルを挟む形を取って。
はぁ……亨さんと向かい合って、漸く面接っぽくなった。
右手の銃は健在だけども。
「任務内容は聞いてるね?」
亨さんの確認に、「勿論です」って頷いて。
「“都立柚子原高校”へ、転学して調査するんですね。年齢的にも、私が適任だと思います。何人の『メーカー』が在席するのか、どんな“力”か、その問題も。対処し、“署名”を貰います」
「うん、ちゃんと理解しているね。でも、それじゃあまだ足りない。例えばだ、この拳銃」
亨さんは改めて、銃口をこっちに向け直しながら。
「キミが相手にする“メーカー”は、異端な力の持ち主だ。一流スパイも裸足で逃げ出す、任務ともなれば魔窟だろう。急に拳銃を突き付けられる、そういう事態も起こり得るんだ。つまり――」
「こうやって、簡単にマウント取られるようじゃ、任せておけないって事ですね?」
亨さんは首肯して。
「話が早いね、助かるよ。それじゃ、分かったら身を引いて――」
「その必要はありません」
「え?」
豆鉄砲を食らったような、そんな亨さんの顔へ。
「亨さん、今何歳ですか?」
「えっ、僕かい? 今年で28歳だけど……?」
「……意外といってますね」
「ウルサイなぁ」
「スミマセン。じゃあ――28歳の大人は、一回ぐらいはその拳銃、ブッ放した事があるんですよね?」
それには「へ?」っと、亨さんは。
けれども、咳払いを挟んでから。
「ま、まぁ、当然! 一発だって、撃ち漏らした事は無いともぉ……!?」
……なんか不安。
でもその言葉――信用するぞ。
「そうですか、安心しました。では、」
がぱっ――と一度、口を開いて。
亨さんを惹き付けてから。
「私のここ、狙って下さい」
人差し指で喉の奥――グロテスクな底を誘った。