表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

正義のヒーローが悪の組織の元幹部と恋仲になったら

作者: 阿川竜一

GREEのコミュニティ『あなたは携帯小説を書きますか?』とpixivにも投稿しております。


 いきなりだが、自己紹介をする。俺の名は『山岡やまおか』。この阿川市で俗にいう『正義のヒーロー』をしている。


山岡:そこまでだ!


今日は街の路地裏で女の姿をした悪人が怪人達を率いて暴れているという情報を得て俺はその場所に向かい、犯人にたどり着く。


レイヴ:現れたわね!ヒーロー!


女の姿をしている悪人は『レイヴ』。悪の組織の幹部であり、今まで何度か俺とやり合ってきている。


山岡:私は世界の命運を賭けて戦っている!退くことも負けることも許されんのだ!


俺はヒーローだ。それっぽいポーズを決める。


レイヴ:やっておしまいなさい!


レイヴの合図で怪人達が俺に向かってくる。俺は軽い身のこなしで怪人達の攻撃をかわし、1体ずつ確実に仕留めていく。


レイヴ:さすがね!でも私に勝てると思って?


レイヴはマントを脱ぎ捨て、俺とレイヴは戦い始める。俺とレイヴの力は互角…。厄介だ…。俺は持てる力を込めてレイヴに立ち向かい、レイヴも何やら不穏な力を醸し出し…。


山岡&レイヴ:はぁぁぁ!


俺とレイヴの力がぶつかり合い、俺達はボロボロとなり、凄まじいダメージを受けてしまい、俺はヘルメット、レイヴはマスクがとれて素顔を晒し合ってしまう…。


山岡&レイヴ:!?


山岡とレイヴはお互いの素顔を見た瞬間にドッキンとなってしまい…。


山岡:(ショートヘアの美女!?顔綺麗だ…。なんであんな美人が悪なんかに!?)


レイヴ:(嘘…!?ヒーローの素顔…。清潔そうじゃない!なんであんなイケメンが私の敵なんかに!?)


山岡&レイヴ:(これはもう…スッキー!)


なんと!正義のヒーローである山岡と悪の組織の幹部であるレイヴはお互いに一目惚れしてしまったようだ…。


山岡:貴女は…。


レイヴ:きょ…今日は…これぐらいにしてあげなくもないんだからね!


レイヴは赤面してツンデレな捨て台詞を言って撤退した。この後、ヒーローの常識が覆されることとなろうとは…誰も思わないだろう。



 後日。時刻は夕方。俺はアルバイトを済ませ、1人で自宅アパートに帰ろうとすると…。


「あの…。」


山岡:お前!?


俺の前にスーツ姿のショートヘア美女が現れた。いいや、こいつはこの間戦った『レイヴ』だ。


レイヴ:この間は…ごめんなさい…。


えっ!?レイヴが俺に謝っている?悪の組織の幹部が俺に?なんか気持ち悪いんだけど…。


レイヴ:私…。あの後に組織を脱退したの。


山岡:えっ?どういうこと?


レイヴ:私…。貴方に一目惚れしてしまって…。でも私は…。だから脱退したの。山岡さん。好きです。私と付き合ってくれますか?


衝撃的過ぎる…。この間戦った敵に愛の告白されてるし…。でもレイヴは嘘をついていないのは目を見ればわかった。ここは男として気持ちに応えてやらないとな…。


山岡:嬉しいよ。俺も貴女に一目惚れした。でも貴女は…。


レイヴ:だから私、もう幹部を!悪人を辞めたの!貴方に相応しい女になりたくて!


俺の返事にレイヴはさらに嬉しいことを言ってくれた。俺は…。


レイヴ:ひゃー!


俺はレイヴに抱きついた。やっぱり女性だ…。レイヴは細くて壊れそうだった。


山岡:そうだ!とりあえずは俺の家に上がらない?話聞きたいし。


レイヴ:はい!ふふふ。


よっしゃ!俺は生まれてからこのかた恋人がいなかったけど、ついに彼女が出来ました!相手は元悪の組織の幹部だけど…。でも関係ない!俺はレイヴに惚れたのだから!俺はひとまずレイヴを連れて自宅アパートに上がった。



 俺の自宅アパート。部屋にはテレビやゲーム、パソコンとか置いてあるけどあまり散らかしてはないだろうし、やましい物は多分ないはず…。レイヴは『上野アキ』と名乗ることにした。


山岡:でさ…。貴女が組織を脱退したのは本当に俺のために?


アキ:はい。ダーリンのためよ!


ちょっと恥ずかしい…。「ダーリン」とか呼ばれて…。


アキ:そうそう。今日もアルバイトお疲れ様。あっ!貴方のことは前から組織の方で調べていたの。べ…別に変な意味じゃないわ!ほら!敵の情報を知るっていう意味よ!今はもう敵じゃないけど~♪


うん…。今は『アキ』だっけ?前までは敵だったからまだ少し戸惑いはある…。でもそんな彼女に俺は惚れてしまった…。でも…「アルバイトお疲れ様」か…。労ってくれたのって子供の頃に両親にされてもらって以来だな…。


アキ:お腹空いてる?今何か作るね。


そう言ってアキは勝手にキッチンで料理を始めた。でも…。


山岡:美味しい!


アキの手料理は美味しかった!今まで俺はスーパーの総菜など加工食品しか食べてこなかったので手料理…。さっき恋人になった彼女のとくると心が泣けてくる…。俺はヒーローだけど組織とかではないから金なんかもらえない。だから俺は普段はスーパーでつまらないアルバイトをして生計を立てているのだ。


アキ:よかった。私、人のためにご飯作ったのって久しぶりだったから。


山岡:えっ?アキ?


アキが少し寂し気な表情をしていたのに気づいた俺はアキに問うとアキは話してくれた…。


アキ:私ね…。組織に入る前は元カレ持ちの普通の女だったの。でも…彼は自分で作った借金を私に押し付けて逃げたの。それで私…死のうと思ったの…。


アキは悪の組織に入ったという経緯を話してくれた。彼女の元カレが自分の借金をアキに押し付けて逃げ出し、途方に暮れたアキは自害しようとしたときに組織のボス『大牟田厚』と出会い、大牟田の甘言にすがってしまったアキは改造人間にされ、レイヴとなったのだと…。


山岡:そんなことが…。俺は何も知らなくて…。


アキ:それは違うわ。私、本当は辞めたかったんだと思う…。そんなときに貴方が…貴方と一緒に居たいって思うくらい好きになって…。


そうだったのか…。俺はアキを優しく抱きとめる。


アキ:やっぱり…。山岡さん…。ヒーローだわ…。私の冷たかった心を温めてくれて…。


俺はアキの唇に唇を重ねてキスをした。そして…夜は…。それについては皆の想像に任せてもらいたい。



 俺と元レイヴであったアキは付き合うようになってからは俺がアルバイトから帰ってくると労いの声をくれて、温かい飯も作ってくれて俺の心は弾むようになっていった。悪が出れば俺とレイヴに変身したアキと一緒に退治に行ったり、プライベートでは一緒にデートをしたりもしていき、幸せだった。


山岡:アキ。いつもありがとう。


アキ:ううん。私こそ。私に人間を取り戻させてくれたのは山岡さんだけ。


俺達は互いに愛し合っていた。すると…。


「やっと見つけたぞい!レイヴちゃーん!」


アキ:その声…。大牟田様!?


俺達の前に現れたのはアキがかつていた悪の組織の親玉『大牟田厚』だった。


大牟田:レイヴちゃーん!なんで勝手に組織を脱退したんじゃ!?おかげでキイロイコエが…「キャー」をもらえなくてワシ…。寂しくての…。


アキ:それは大変申し訳ございません。ですが、私は…。


大牟田:んっ!?


大牟田は俺の存在に気づいたようだ。


大牟田:お前はヒーロー!?そうか…。お前かぁぁぁ!お前がレイヴちゃんをそそのかしたんじゃな!?いつもワシにキイロイコエをくれるのに…。お前が…!許さんじゃぁぁぁ!


キイロイコエ?


アキ:私ね…。アンタのこと前から嫌いだったのよ!ただ女性から「キャー」を聞きたいからって無駄に部下達を送ってはヒーローに倒されて!


えっ?なんか俺が悪いみたくなってない…?いやぁ…。俺は女性を襲っている怪人だったから倒していたんだけど…。


アキ:この人(山岡)の強さを知ろうともしないで個人的な欲望で人件費を無駄にして!


大牟田:うっさい!お前はええ女じゃったから拾ってやったというのに…!真中の方がまだマシじゃ!


大牟田は下の衣を剥がし、マムシを出そうとしたので俺はすかさず着ていたジャケットをアキの顔に投げつけて見せないようにし。


山岡:ヒーローチェンジ!


俺は変身アイテムを使ってヒーローに変身する。


アキ:な…何?


大牟田:レイヴちゃんをそそのかしたヒモ男!悪い子!イケメン!


大牟田は俺に幼稚な悪口を言いつつもマムシから光を放ち、大牟田は怪物の姿へと変わった。


大牟田:ワシはさらなる力を得てキイロイコエヲ求める…!スーパーちゃう!ハイパー大牟田になったんじゃ!キイロイコエ聞きたいんじゃぁぁぁ!


大牟田はハイパー大牟田となって俺は構え、俺と大牟田との戦いが始まった。くっ…!ハイパー大牟田は強い…。さすがは悪の組織の親玉だ…。苦戦してしまう…。


大牟田:どうした?イケメン!レイヴちゃんを…ワシからキイロイコエの源を奪ったんじゃからお前はタダでは帰さんでぇぇぇ!


大牟田が俺に向かって攻撃を仕掛けてくると…。


山岡&大牟田:!?


なんと!レイヴに変身したアキが大牟田の攻撃を受け止めていた。


レイヴ:大丈夫よ。山岡さん。私も戦える!


大牟田:レイヴ!ワシに歯向かうつもりか!?


レイヴ:さっき言ったはずよ。私は貴方が嫌いだってね!


山岡:アキ!逃げるんだ!


俺はレイヴに…アキに逃げるよう叫ぶ。大切な人に傷ついてほしくなんてないから…。


レイヴ:本当に優しいのね。そういうとこ好きだけど。じゃあ…。


すると…レイヴは俺にキスしてくる…。すると…。


山岡:うォォォォ!


なんだか力が漲ってくる…!それに身体の全てがビンビンに感じる!


大牟田:何じゃそれは!?何なんじゃそれはぁぁぁ!?


大牟田は俺の変化にかなり動揺し、俺とレイヴは笑みを浮かべる。


レイヴ:何?って私が彼に愛の力を授けてあげたのよ。


大牟田:なっ…何が愛の力じゃ!?


山岡:俺は守る!みんなを!世界を!愛する人を!


俺は金色のオーラを身にまとい、握り拳を作り。


大牟田:キイロイコエ聞きたいんじゃぁぁぁ!


大牟田は俺に向かっていき。


山岡:必殺!タダのパンチ!


大牟田:キャー!


俺は普通にパンチ1発を放ち、大牟田は宇宙の果てまで吹き飛ばしてしまった。っていうか…レイヴからの愛の力って最強じゃね!?これで俺…悪の組織を壊滅させちゃったんだよな…。


レイヴ:かっこいいわ!山岡さん!キャー!山岡さん!イケメン!キャー!スッキー!キャー!結婚してぇぇぇ!


うん…。レイヴからのキイロイコエ…。正直…うるさい…。大牟田はこんなのが聞きたかったのかよ…。理解できないんだけど…。



 俺とアキで大牟田を偶然倒して悪の組織は壊滅し、世界が平和となった。


アキ:山岡さん。私、就職が決まったわ。だからゆっくり休んで。今までヒーローとしてお疲れ様。


アキはヒーローとしての役目を終えた俺に休んでもらえるようにと真っ当な職業へと就職してくれた。


山岡:アキ…。本当にありがとう…。


俺はアルバイトも辞めてネットで起業を起こした。今では社員3人くらいは雇えるようになっていった。俺とアキがあの戦いで想い合っていたからこそ長かった悪の組織を潰し、平和な生活を送れるようになった。全てはアキのおかげだ。


大牟田:ここはどこじゃ!?イヤじゃぁぁぁ!ワシのマムシがぁぁぁ!キャー!


噂では大牟田はどこかの惑星で自慢のマムシを崇められているとか…。


山岡:アキ。あのさ…。俺と…。


アキ:はい。


俺達は近々結婚をする予定だ。俺の戦いは終わらない。今度は最愛の人を守るために。


 ~ Fin 完 ~


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ