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没落令嬢の起死回生・寄生虫になるしかない?

没落令嬢は、頑張ります。

@短編その78

私はカトリィヌ・ギルビット。伯爵令嬢・・・です?

だって今我が家は、没落寸前ですもの。あ、没落しました、今さっき。


両親が5年前に流行病で亡くなり、領民もその病で半数が死んだり、領地を出て行ったり・・

領民が稼がないと、収入は減るわけで・・・

これでも頑張ったんですよ。

でも仕方がないわ。もうギルビット家はおしまいです。


私、領地のことであくせく働いているうちに、適齢期を逃しまして。

この世界の女性は、早ければ生まれる前から予約、いや婚約なんてザラです。

で、10代までが売り手市場なわけで・・・

まあいわゆる売れ残りというやつですよ、ほほほ。24歳を舐めるなーー!!

家が傾いたら、今まで私の周りにいた男性陣が、引き潮のようにサーーーッと引いていきましたし。

『助けてあげるよ!』なんて人もいなかったですし。

ま、両親が死んだ時点で19歳ですし。

ケルドン・・・

あ、こいつは私の幼馴染です。

でも何処かの令嬢と、どうにかなったようです。

結婚話まで出たんですけどね。そうですよ、振られましたよ。

既婚者のことはどうでも良いという事で・・・


いや。


今更独身男性を狙わなくても。

そうですよ、既婚の愛人枠でも良いわよね。

それか、ヨボヨボの爺様とか。

生きていければ良い。

そうですよ。

24歳だもん。

ちょっと事務仕事も出来ますよ〜って。

ちょっとどころじゃないけどね。かなり優秀な部類だと思うの。

ん?

じゃあ、王城の文官の試験でもやってみるか。

で、それに落ちたら、いよいよ誰でも良いから食い扶持頂ける人に嫁ぐわ。

居直ったら、人間強いのよ。

どん底から這いがった、私の底力をみよーーー!!




思いついたら吉日。

王城に行ったら、ちょうど雑用係を募集していた。


受かった。


城の外れの狭い部屋を与えられ、お仕着せを支給されて。

ドレスや紳士服を手入れする職につけた。

没落貴族を哀れに思ったらしい。でもいいのです。

洋服の手入れは得意です。

両親が死んでからは、新品を買うお金がなかったので、手入れして着ていたもの。

刺繍だって、小遣い稼ぎできる程度の腕よ。立体刺繍なんかも出来ちゃうんだから。


さて、ここまではいいのだ。


城には多くの男性も勤務している。

誰でも良いから、私と結婚してくれそうな人を見つける。これこそが真の目的です。

令嬢時代では考えられない事をしています。寄生虫ですね!

ですが!!

人間、霞を食べて生きていけるわけではないのです!!

そう、新品の服を買ってくれるような旦那様を手に入れるのです!!



私が今いるのは衣装室です。だだっ広い部屋には衣装ダンスが仕切り代わりに置かれています。

さすが王族です。

衣装だけでもこの量!!

箱を開けて、虫干しして、痛んだところを繕って・・・これだけで1日が過ぎます。

・・・・・・・。


外に出られない!!

昼間でないと、勤務している男性と出会えない!なのに、仕事しているとあっという間に夕方!!

ここに勤務して半年。

いまだに男性と話ができていない・・というか会えない。見かけることすらない。

・・・・・・・。

もう、死ぬまでここでも良いかなーーー。

服をちくちく。後ろを見ると、まだ修繕していない衣装の山!

来月には衣替えで、さらに忙しくなるもの。


・・・う・・

後ろ向き〜〜〜!!

私らしくない、後ろ向き!

そうだ。お昼の休憩で、出会いを見つけよう。

1時間ほどの休憩時間がある。それだ。

でも食堂が遠い。行くまでで10分使う。

食堂には文官、騎士、貴族・・・大勢の方が食事に来る。

貴族の方は特別室に行ってしまうから、期待はしていない。

さあ、頑張って食堂に行くわよ!



食堂に入ると・・・思ったより人は来ていない。

がらんとしてる。

食堂のメニューを見て、なるほどと思った。

食えれば良いじゃん的なメニューだ。

正直不味そう。

いや、見た目が悪いだけ・・・・

ぱく。


うわ。

どうしたらこんな味が出せるのか。奇跡のゲロマズ料理だ。

私が努力しても、どこか美味くしてしまう。この料理、一切の迷いなし。不味さに特化している。

そんなばかな・・・

誰が作っているの?このゴミ、料理ですらないわ。

そのご尊顔を拝見させて・・・


「ケルドン?」

「カトリ?」


なんだってこんなところで勤務してんのよ。

この飯マズ、あんただったんかーーい。


「そんなに不味いか?」

「あ。声に出てた?」

「しかし伯爵令嬢が、こんなところに。しかも、砕けた庶民口調になって」

「あんたはどうなの、ケルドン。あんたも伯爵子息じゃないの。なんでこんなとこにいるのよ」

「ちょっと色々あって」

「奥さんはどーしたのよ」

「ちょっと色々あって」

「子供はいるの?」

「ちょっと色々あって」

「お前はそんな返事しかしないのかっ!!」ばいん!!


トレーで一発ぶん殴っておいた。

昔はもう少し賢く凛々しかったはず。

こいつの伯爵家って、どうだったっけ。

私は自分の家が大変だったし、社交界からも離れていたから知らないんだけど。

ケルドンの兄で後継様は、大層有能だったし。次男のケルドンは自立しなくちゃいけなかったもんね。

だからどこかの貴族の婿になるって話で・・・

私はその時、両親が死んで・・・対象外だった。

まあ来られても、結局こんなふうに没落したから、むしろ良かったとしか。

・・・辛い時にいて欲しかったけどね。


「もう少しうまくしないと、あんたクビになるわよ」

「旨くないかぁ?おかしいなぁ〜〜」

「おかしいのはあんたの味覚だからね」


ただの焼きそばがどうしてこうなった、だもん。


「でもカトリ、なんでお前ここにいるんだ?」

「仕事。王族の服飾手入れしてるの」

「へー。お前裁縫できたんだ」

「芸は身を助く、ってね。じゃ。もっと料理、上手になりなさいよー」

「おう、明日も来るか?」

「・・・おいしかったらね」



衣装室に戻り、作業再開。

なんか懐かしい奴に会っちゃった。

元気そうだけど・・結婚失敗して追い出されたのかなぁ?

でも家に帰れなくて、こんなところで・・・あれ?

あいつは前に騎士団にいたよ?再就職しようと思えばできるじゃん。

何か事情があるんだね。『色々と』なんて言っているし。


・・・・。

気にしなーい気にしなーい。



夕方となり、日が沈んで裁縫するには光量が足りない。本日の勤務、終了。


いったん自室に戻り、財布を手に城下町に出る。

何を食べようかな・・・

昼は食べた気がしない、というか殆ど残した。最近絶対に残さなかったのに、壊滅的な味だった。

私に残させるとは、ケルドンめ。



「お、カトリ。飯か?」


飲食店街に、ケルドンがいた。

夕ご飯、自分で作れよ。そうしないと上手くならないわよ。

人が食べるからって、適当に作ってんでしょ。練習あるのみよ、特にあんたは。


「一人で出歩くんだなぁ」

「侍女も侍従もいないからね。没落しましたからね」

「え」

「何よ、知らなかったの?」

「知らなかった」

「ほそぼそと生き続けてたけど、半年前にね」

「そうか・・」

「あの頃から我が家の財政が傾き出したこと、知ってた?」

「・・・いや」

「領民も大勢死んだし。でもうちの領地で食い止めたから良かったわよね」

「・・・・カトリ」

「でも領民が出て行っちゃうのは思いつかなかったわー。でも領民も生きていかなくちゃいけないからね」

「・・・・」


なんであんたが罪悪感ある、みたいな顔するのよ。

隣の領地だったあんたの兄さんは、うちの領地との境目にバリケードと兵を置いて、完全に私の領地とを分断したわよ。

領民を守るのは、同じだから、文句は言わなかったけどね。

その前の川の増水の時は、うちはあんたのところに炊き出しをしたり、助けたのにね。

ま。

あんた家にいなかったし。

私とあんたの兄さん、領主同士の攻防だからね、あんた領主ではなかったんだし。


「なに黙ってんのよ。私は死力を尽くしましたーーー。でももう粘るのをやめましたーー。あんたはこれっぽっちも関係ないですから、そんな変な顔しないでくださいませ。ではご機嫌よう」


久しぶりの、カーテシーをご覧あれ。

そしてケルドンの横をすり抜け、少し先のパン屋に入った。

・・ざまあみろ。言ってやったわよ。

今まで溜まった鬱憤、頭から喰らわせてやった。


・・・・泣くな、私。

私、頑張った。

誰も褒めてくれないけど。

多分、死んだ父上、母上、侍従、メイドのマリー、リンダ、エトワール。

みんなはきっと褒めてくれる。

頑張ったわよねぇ・・・


「かったいわねぇ、このパン。安売りはやっぱしだめだね」


ケルドンに見られた格好は、城下で平民が着ている服。

だからどうした。

これは私の給金で買った服だ。

昔着ていたシフォンやレースの贅沢な服ではない。

自立する女、舐めんなよ。





「ふぅ、やっと終わったーーー」


もうすぐ冬。衣替えも終わった。

あとは、来春に向けての服のメンテだ。虫食いやレースのほつれ、飾り紐を直したり・・

トルソーに修繕予定の服を着せ、虫干しをする。

綺麗なレースねぇ。王家のドレスや正装はやっぱしすごい。

今日も、お抱え洋服店のデザイナーが打ち合わせに来ていた。

これは来春のものだ。

今から作るんだな。だってこの凝りよう!凄いわねー。刺繍もビーズを一緒に縫うとか。

まあ、あれはパーティーや公務用だから。

私は皆様の普段着やお茶会用。ちょっと畏った時用。

父上はおしゃれで、いつも紫のチーフに合わせてサッシュベルトを付けて。

母上は父上の色に合わせたものを衣装の一つに加えて・・・

仲良かったふたりで・・・

今目の前にあるドレス、母上が着ていたものに似ている。


こんなドレス、もう着ることはない。

こうして仕事もあるんだし・・・

養ってくれる旦那を見つけるの、やめようかな。


トルソーに着せたドレスの前に腰掛け、ちくちくと針を進めた。




その夜の夢は最悪だった。


病で苦しむ両親に家人、そして領民達。

助けて欲しいと訪れた私を、隣の領主が突き飛ばし、私は玄関ポーチに転がって。

ドアをバタンと閉め、中から怒号が聞こえた。


「移ったらどうするんだ!とっといなくなれ!!」


いつも紳士で、温厚だった隣の領主の冷たい顔。


隣は大層裕福な領地だった。

もしも医師を3人ほど派遣してくれていたら、初動で防げたのに。


ああ、みんなが息を引き取っていく・・・

死なないで、父上、母上、みんな・・・死なないで・・




「ああ、目覚め最悪」


今日も仕事、衣装室に向かう。



「え」


私の仕事が解雇だそうだ。

時期は2ヶ月後。

今あるドレスや正装は、汚いものは破棄、着られるものは救済バザーに出すそうだ。

貴族でも懐が寂しい家や、平民でお金持ちの皆様に好評だ。

衣装室の半分の洋服を放出し、他の服を入れるために開けるとか。


夢も最悪なら、現実も最悪。

まあいっか。あと2ヶ月の間に再就職をしよう。

首切りがなんだっての!

絶望、どん底来るなら来い!

私は不死鳥のように蘇る!!

誰も助けてはくれないんだからね。



今日は食堂に行った。

うん、ランチセット、不味い!

最近は罰ゲームとしても利用されている。

そしてこの味が癖になるって・・・ダメ人間ばかりだな!!


でも私も食べに来てるじゃん。

最近は耐性がついたのか、全部食べるし。

相変わらず不味いのに。

・・・・・。

はっ!!私もダメ人間の仲間入り?!


「お。カトリ、今日は来てたのか」

「・・・ダメ人間の仲間入りは嫌だ」

「あ?」


ふふふ、意味は分からなくていい、ダメ人間の大将さん。


「そうそう、私、2ヶ月後にここを辞めることになったから」

「え?なんでだ」

「首切り〜」

「そうか・・・大変だな」

「なんのこれしき。この程度、大したことじゃないわ」


笑ってみせると、なんでよ。なんでそんな顔をするのよ。

あんたが首切られたわけじゃないでしょうが。


「夕飯、一緒に食わないか」

「なによ。奢ってくれるの?」

「ああ」

「じゃ、レガシーのステーキ食べたい」


この辺りでは高級な料理店だ。


「いいぞ。6時に通用口で」



・・・なんでしょうねぇ。

慰めてくれるのかしら?

レガシーのステーキ!!ステーキなんてどのくらいぶりかしら?


ちょっと小綺麗な格好をしましたよ。だってレガシーだもん。

御馳走を食べるんですもの。

あいつのために着飾ったわけではないのだ。



レガシーは店内の内装も素敵だった。

そして、給仕もレベルが高い!

両親が存命だった頃に行ったレストランのようだった。

リリエールだったよね、名前。

なんとレガシーの支配人は、リリエールで修行をしていたそうだ。

ああ、素敵なレストラン・・・

ステーキも美味しかった。

そして驚いたというか、まあこんな格式あるレストランだもんね。

ケルドンがちゃんとした格好をしていた。そうだ、ケルドンも貴族の子息だったわ。

もう兄が継いだから、名前だけの存在になっているけど。

兄が死んでも、後継にはなれない。兄には嫡男が生まれているもんね。

でもケルドンは今まで何をしていたんだろう?

結婚したとか聞いたけど?

いいわ、それら疑問、聞かせてもらおうじゃないの。


「あんた今まで何してたの。色々とか言い訳無しよ」

「・・・秘密の任務」


うん。騎士だったもんね。じゃ言えないか。


「なんで食堂のおじちゃんしてんのよ」

「おまっ・・!!おじちゃんじゃねえ、おにいさんだ!」

「誰も注目してないからね、おじちゃん。飯マズーー」

「癖になるって言ってくれてるんだぞ」

「調子に乗るな、罰ゲームが。で、なんで?首切りされたの?」

「・・・暴力事件で」

「え?あんた、暴れたの?」

「・・・・」

「どうして!」

「これも言えない」

「うーーーん。で、食い扶持を探して食堂に勤務?」

「・・・まあ、うん」

「なんでよ、剣の講師でもいけたでしょ?そもそもなんで暴力事件なんか。あんたらしくない」

「るせーよ」

「でも、結婚話はどうなったのよ」

「してねーよ。どこからそんな噂が」

「え?あんたの兄が言ってたわよ」

「あいつか」

「あいつよ」


ここでステーキ登場!

舌鼓ですよ。

はぁ・・・美味しい・・・何年ぶりかしら。

おいしいねぇ、ケルドン。

昔うちのガーデンでサンドイッチを食べたとき、あんたったら『美味しいねぇ美味しいねぇ』ってさ。

あの頃は楽しかったよねぇ。

あんたの兄も、『いいお兄ちゃん』だったし。

あの頃は、こんな未来だなんて思いもしなかったよ・・・


「おい?カトリ、どうした、おい、泣くな」


え?あれ・・泣いてる?

ぽた、ぽたって。やだ、折角のステーキディナーなのに。湿っぽくなって・・


「ごめん、ごめん」

「いいから、泣くか食うかどっちかにしろ。それか、店を出るか?」

「食べる!」


もしゃ、もしゃ。おいしいーーー。

ステーキ食べるのに、ありがたいとも思わなかった。いつでも食べられると思ってた。

馬で領地を駆ける父上はカッコ良くて、優しい母上で、侍従達家人はいい人ばかりで。

あの輝ける日々が、ステーキ食べて思い出しちゃうなんて・・・

帰りたいよぅ・・・あの日に、帰りたい・・・

えぐえぐ息継ぎ、泣きながら食べました。美味しいね、ステーキはやっぱり。


「ワイン、頼むか?」

「頼むー」


おいしー。

アジュレア産のワインうまいー。口当たりもいいし、色も綺麗ーー。

ぐいぐいいっちゃうーー。


「ケルドンも飲めーー」

「いいからお前が飲め」


楽しいねぇ。

おいしいねぇ。

まるであの頃みたい・・・


ねえ、ケルドン。

私、あなたが・・・








「あれ?」


隣にはね。

寝てるんですよ。

ケルドンが。

言葉がぶつ切りですよ。

・・言えない。

今の・・・

自分の格好を。

胸元とか、え。

これ、何?

点々って・・

赤い跡、へっ?

はわわ・・

私、言葉分からない外国人みたいな語彙力になってる。

というより、というか。


・・・・・。


ま!こういう流れも有りかしら!!

25歳だし!先月24から25になったし!!

そばに寝ているケルドンに飛びかかって抱きついた。


「ぐえ?」

「責任取れーーー!!」

「んぁ?ああ、カトリ。おはよう」

「寝ぼけてますかーー、責任を取れーーー」

「返事をもらってないんだが」

「ん?返事?」

「やっぱり酔っ払ってた。何度聞いても酔ってないって言ったからな」


ケルドン、呆れ顔です。でも、じわじわ、ニヤニヤしてきやがりました。

なんか酔っ払って、醜態見せてたようです・・・

返事って、何を聞いてきたんでしょうかねぇ。


「返事・・ごめん、覚えてない。もう一度言って」

「じゃあ、もう一度言うぞ。俺と一緒に」


どきっとするーー。顔がもう間近で、真剣な顔だよ!


「食堂で働かないか?」

「ばかやろーーーー!!」

「ごぼぁ!」


ケルドンの首を締めてやった。いいとこ入って、ゲホゲホ咳き込んでいる。


「今のは冗談、ではない。まあ、俺と結婚すると、一緒に食堂で働くだろ?」

「まだあんたはあの食堂に勤務する気か」

「料理楽しいから」

「才能無いから諦めな。私が作るから、あんたは他の職に付きなさい」

「いやだーーー!!俺の天職なんだーーー!!」

「マジか」



まあ、結局私たちは結婚したけど、食堂を辞めて城下町に小さなお店を建てたのよ。

で、ケルドンにはその食堂の食材を狩りに行って貰う事にしたのである。

『肉バル・ドラゴンスケイル』だ。

ドラゴンステーキメインの店だけど、たま〜にドラゴンの巣から卵をパクってきて、それで作ったプリンを売るのだが、大変好評。たま〜になので、すぐ完売。

なので肉バルはやめてドラゴン肉のお惣菜屋にした。

プリン食べたさでドラゴンの卵を取ってきてくれる客もいるので、売り上げも上々です。

何故プリン?と聞かれないかもしれませんが、説明しちゃおう。

ケルドンの好物で、誕生日に作ったらすごく喜んでくれたんですよ。

ちょうど卵を取ってきていたし。まあ、そんだけ。名前は『ラッキードラゴンプリン』。

お店の名前は肉バルを外し、『ドラゴンスケイル』にしました。




こうして城下町で盛況の我が店に、故郷の噂話が流れてきた。


我が領地は惨澹たる有様のままだそうだが、隣の・・ケルドンの実家である伯爵家だが・・

あの流行病が再度流行し、跡取り息子が亡くなったそうだ。たしか、10歳に満たない歳だった。

・・・因果応報。

嫌な言葉が頭の中に浮かんだ。


もしもあの時、ケルドンの兄が助けてくれて、家と一緒に協力していたら。

あの初動の時だったら、患者も少なかった。我が家が衰退する事もなかった。

そして、今回の流行病も一緒に協力出来たはず。


「ケルドン、家、見てくる?」

「行かない」

「そう」

「兄は、俺が邪魔だった。兄はカトリ(お前)と結婚するから出て行けと、俺を追い出した」

「え!私には、ケルドンに縁談があるから出て行ったって言ってたわよ」

「そうか・・でも婚約を申し込む前に、流行病で君の家が傾いたから、婚約申し込みを止めたんだ。俺はお前に婚約を申し込みたいって、父に頼んだんだが、父にも兄にも反対された・・お前の両親も喜んでいる、賛成していると言われた」

「両親はそんな事、一言も言ってなかったわよ」


でも・・

あの時の私だったら、彼の兄との婚約を喜んで受け入れただろう。家同士の縁談で、いい事だと。

兄の対応も、あの時なら仕方がないとも思える。

だけど。

今はこれで良かったかな、と思う。

隣にはケルドンもいるし、お腹には可愛い?子がいるし。



「ドラゴンの卵、取ってきたよ!作ってーー!」

「おお!すげえな、お前ら!今から仕込むと、明日の朝完成だ」


ふたりの少年がドラゴンの卵をふたつも持ってきた!しかもシルバードラゴン!!

大きな卵をケルドンが抱え、厨房に持っていく。凄い!300個のプリンが作れちゃうよ!

今から大忙しだわ!


さあ、美味しいプリンをいっぱい作ろう。



思いつくまま、ほぼ1日1話ペースで書いてたけど、そろそろペース落ちるかな。

9月は『令嬢』がお題。

タイトル右のワシの名をクリックすると、どばーと話が出る。

マジ6時間潰せる。根性と暇があるときに、是非

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