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彗術犯罪対策隊の高校教師  作者: 檀 天弥
第1章 赴任
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第6話 彗術

突然思わぬ呼び名で呼びかけられた黒翔は一瞬驚いたがすぐに平静を取り戻した。誤魔化しきれないと判断した黒翔は単純な疑問をぶつけた。


  「どうしてそれを知ってる?」


  「やだなー聞いてないんですか?僕もあなたと同じようにここに潜入してるんですよー。初めまして第3部隊所属の鏑木(かぶらぎ)(たすく)です。よろしくねー、先生」


  「なるほど、君が...こちらこそよろしく」


  ——九重さん確かに生徒として潜入する人もいるって言ってたけど、そういえばだれが来るのか聞いてなかったな。言ってくれればよかったのに


  「ちょっとちょっと敬語使ってよ。君は第4部隊でしょ、僕は第3部隊なんだから僕の方が立場は上でしょー。あっ元だったね」


  「だが今は先生と生徒の関係だ。あなたがタメ口で俺が敬語だなんて不自然だろう。それに部隊間に上下なんてないはずだ」


  「あー確かにそうだね。わかりました。そういうことにしますよ、先生」


  「ああ頼む」

 

  第1、第2、第3部隊は厳しい試験を突破して対策隊に入隊しており、副長官の計らいで特別に入隊することができた元第4部隊隊員のことを毛嫌いしている隊員も少なくはない


  「それじゃあ先生明日の授業楽しみにしてますよ」


  こうして入学式当日を終え黒翔は明日に向けて職員室に戻り準備を進めた


 

翌日、黒翔の教師としての最初の授業が始まった


「じゃあ今日は訓練を行わず彗術とはどういうものなのかを説明する」


「えっ、訓練をするのではないのですか?彗術のことに関してはもうみんなちゃんと勉強してきてますよ」


「だろうな。だがもう一度聞きなおして再確認することはとても大事なことだ。それにまだまだ知らないことがあるかもしれないだろ。訓練も大事だが座学も同じくらい大事だ。それは覚えておいたほうがいい」


——師匠の教え、借りますよ


「いやっでも...」


教室のあちこちで不満が聞こえてくる。黒翔がまた口を開こうとしたときある生徒が声を出した。


「基本を押さえることはとても大事なことだと思います。授業は何回もあります。そこまで焦る必要はないと思います」


——白凪...いいこと言うな。これも九重さんの教えか?俺もそれを言えばよかった


「白凪の言うとおりだ。焦る必要はない。一つ一つ段階を踏んでいこう。いいな赤咲、それにみんな」


「わかりました...」


白凪のおかげもあり不満を漏らす生徒はほとんどいなくなった。まだ不満に思っている生徒はいるだろうが、黒翔は何とか授業を始められる状況まで持っていくことができた


「彗術というのは約100年前隕石の落下により特殊な磁場が発生したことにより発現した能力だ。この彗術という名前は彗星からとられている。まあだから彗術ってのは宇宙に関係しているものだってことだな。彗術は血管のように人間の中に彗脈の中を流れる彗力の力を利用して使うんだ。脚に流せば脚力の強化、腕に流せば腕力の強化をすることができるように身体能力の強化に使うことができるんだ。これは実践においても利用できる。ああそれと彗力をためて空気中の酸素と合成することで体外に彗力を放出することなんかもできる。こんな風にな」


“ビューーー”


黒翔は彗力を使って生徒に向かって強めの風を起こした


「うっわすごい風、マジかよ。彗力の放出は超難しいって聞いたことがある。こんな簡単にできるなんて...」


「これはほんの少しの力しか使っていない。みんなも訓練すればできるようになるさ。それともう少し説明することはあるがそれは明日の授業と直接関係のあることだから明日話すことにするよ。ここまでで質問のある人はいるか?」


「あのーいいですか?」


「いいよ菅沼くん」


「俺ずっと気になってたんですけど対策隊と警察の違いって何なのでしょうか?俺は父さんが警察官だったし警察になりたいんだけどなんか対策隊の下みたいなイメージがついてる気がするんですよ」


——そんなイメージがついているのか⁉俺はそんなこと考えたことなかったからな。


「彗術犯罪対策隊は彗術を利用したと思われる重大な犯罪を取り締まる組織だ。軍事利用や国民の大勢の生活に危害を及ぼしかねない犯罪などだな。そのため対策隊員は戦闘能力は高い。だがその一方で国民一人ひとりの生活に目を向けることはできない。警察は国民一人ひとりの生活に寄り添い国民一人ひとりの命を守ってくれる。全体を見るだけでは見えない個々の部分というものはある。対策隊と警察は役割が分かれていてどちらが下で上かなんてない」


「そうなんですね。ありがとうございます!」


「ああ、それともう一つの違いは制圧の仕方だな。警察は犯人の命を奪うことはできるだけ避けるが、対策隊は犯人を制圧する際命を奪うことに抵抗しない。まあ緊急事態の時だけだがな」


「怖いですね...」


「まあそういうイメージもあるかもな。だがな、菅沼、罪のない人の命を守るには必要なこと......らしいぞ? 今日はこのくらいにするか。明日は実戦に直接的に関わってくる授業をするからな。ではこれで終わりとする」


何とか黒翔は初回の授業を終えることができた。まだまだ生徒からの信頼は得ることはできていないが黒翔はできるだけ早く信頼を得ようと奮起する。


——とりあえず今のところは何もないな。まだ始まったばかりだし当然か。教師としての仕事を全うするとは言ったがそれはあの子を守るうえでの話だ。本来の目的を忘れてはいけないな


黒翔はまた一度白凪一乃の保護の任務を再認識した。その一方で学校内で不穏な空気が流れ始める


評価よろしくお願いします。

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