第5話 入学
翌日、黒翔は朝早く学校に行き入学式の準備をしていた。
——にしてもでっかい体育館だなぁ。こんなに広い必要あんのか?
「黒翔先生!」
「はい。小柴先生、おはようございます」
黒翔に声をかけてきたのは同じく彗術の訓練を担当する小柴大樹先生である。また黒翔の隣のクラスの1年6組の担任でもある。昨日学校を回っている際に偶然出会い挨拶を交わしていたのだ。とても明るい教師で生徒からも教師からも人望が厚い。
「黒翔先生~かなり話題になってますよー。新任でいきなり天昇高校に赴任できるなんてすごいってさ!俺なんて10年かかりましたからねー」
「そっそうなんですか。これはすごいプレッシャーですね」
——そんなに期待されても困るなぁこれじゃ下手なことできないぞ
「その分目の敵にされることもあるかもしれませんから気を付けてくださいねぇ」
——確かに俺のことを気に食わない人は多いかもな。それにこんな状況だ。誰であろうとあまり信用しないようにしたほうがいいな。てかこの人語尾伸ばす癖あるな
「あはは、そうですね。それは気を付けないとですね」
「じゃっ準備進めましょっか」
こうして入学式は無事に終わり、新入生は自分のクラスの教室へと入っていった。黒翔も職員会議の後教室へと向かった。
——いよいよか。最初入るとき普通に入っていいものなのか?何か面白いことでもしたほうがいいのか?いや柄に合わないことはやめておこう。普通に自分が高校生だった時の先生を思い出して...
黒翔はドアを開けようとしたとき衝撃を受けた
——えっボタン押したら開くタイプのドア⁉こんなの店でしか見たことねぇよ。教室のドアまで他とは違うんだな、天昇は
“ガラガラガラ”
「おはよう」
『おはようございます』
——さすが入学試験に面接も入ってるだけあってみんな礼儀正しいな。これが日本のトップ校か......あーなるほど全員がそういうわけではないみたいだな
「この1年7組の担任になった黒翔弾です。みんなよろしく」
「先生―何歳ですか?すっごい若く見えます!」
「君は山野愛瑠さんだね」
黒翔は記憶力がよく自分が受けもつ生徒のことは事前に覚えていたのだ
「えっすごーい!もう名前覚えてくれてるんだ!でっ何歳なんですか?」
「えーっと...」
——本当は19だけどさすがに19で教師はおかしいよな。うーんじゃあ...
「22だよ」
「わっかーい......てことはさー教師としての経験浅いんですよね?ちゃんと指導できるんですか?先生の担当彗術訓練なんですよね?私本気で対策隊員目指してるんでしっかりやってもらわないと困りますよ」
——やっぱり天昇の生徒だな。考えるとこは考えてるんだな。これはこっちもちゃんと応えてやらないとな。教師としての仕事も全力でやるって決めたからな。それにさっきからみんなの目線...考えてることは同じってことか
「確かに俺は教師としての経験は浅い。というか無経験だ。不安に思うのも仕方ないだろう。だが彗術の扱いに関しては多少の自信はある。みんなが満足のいく授業ができるかどうかはわからないが全力は尽くすと約束しよう」
「ふーん。まあ授業受けてみればわかるかー」
「そうだな。授業を受けてから判断してくれ」
——思わず大口をたたいてしまった。大丈夫だろうか。上手くやらないとすぐにクビになりそうだな、これは
「じゃあ今日はこれからの学校生活についての説明と諸注意をして解散だ。明日から授業が始まるからそれについても説明するぞ」
一通りの説明が終わり1年7組は解散した
——白凪一乃は隅っこでひっそりと座ってたな。性格は大人しいのかもな
資料を片付け職員室に戻ろうとしていた黒翔に一人の生徒が声をかけてきた
「やあ黒翔元第4部隊隊長さんっ」
「えっ」
評価よろしくお願いします!