一人でいること
夜が明ける。小鳥たちはもうすでに元気よく朝を詠う。
今朝のご飯は、目玉焼きにソーセージ、それとお味噌汁にご飯だ。まあ、いつもと変わらない、普通のご飯だったってとこ。いつもの自分料理に感謝しつつ、目玉焼きをパクリ。うん、ヤミー…。一人なので声には出さないが。自分で料理をするようになったのも、もう2か月前か。…寂しいな。妹がいないというのは。朝食は妹が作っていたものと同じ献立なはずなのに、どこか味気ない。自分のお料理スキルが足りないのか、それとも……。
そんなことを考えるでもなく思っていると、あっという間に、皿の中が空になっていた。
「ご馳走様」
「お粗末様。ふふ♪」なんて声は、もうどこにもない。そんな毎日には、もう慣れた……、と言いたいところなんだけど、一向になれる気配がない。早く慣れないとな。と、思いつつも、慣れてしまえば、何か大事なものをなくしてしなう気もする。一生、忘れてはならないもの。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」の声は当然ない。なのに……、
「行ってらっしゃい」
なのに……、そんな声が聞こえた気がした。いや、聞こえた。というか……、自分で言ったのだ。
「悲しいやつ。…ハハ」
自分で言って自分で返して、そんで自分で蔑んで、ほんと、悲しいやつ。笑えないくらいに。
もうこのルーティーンも変えなきゃな。次は、どんなのにしよう。もっと、いいやつ考えないとな。
哀れで、醜くて、嗤える、そんな自分に合った、もっといいやつを。
☩ ☩ ☩
「起きて、兄さん」
「……ん。……陽菜、おはよう」
「うん、おはよー♪」
朝、一番最初に聞こえる声、聞きなれた声。
妹の声。なくなることのない、自慢の妹の声。
朝になれば、感じることのできる、妹の体重。
色を写さない、朝の目に、色を付けてくれる妹の姿。
そのすべてが、なんだか、とっても懐かしい気がして、自然と、涙がこぼれた。
☩ ☩ ☩
昨日の今日ということもあり、なんだか緊張してしまう。
無理もないだろう。告白されたのだって初めてっだったいうのに、断ってしまったし。顔を合わせなければいけないのだから。
でも、こうしてはいられない。俺が緊張してどうするんだ。相手のほうはもっと恥ずかしいだろう。それに比べれば――
――と、考えていた。この時までは。
葉月が起こされた時にて
「に、兄さん⁉どうしたの、急に泣いちゃって」
「ん?…なんでだろ。わかんないや」