表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

一人でいること



 夜が明ける。小鳥たちはもうすでに元気よく朝を詠う。

 今朝のご飯は、目玉焼きにソーセージ、それとお味噌汁にご飯だ。まあ、いつもと変わらない、普通のご飯だったってとこ。いつもの自分料理(・・・・・・・・)に感謝しつつ、目玉焼きをパクリ。うん、ヤミー…。一人・・なので声には出さないが。自分で料理をするようになったのも、もう2か月前か。…寂しいな。妹がいないというのは。朝食は妹が作っていたものと同じ献立なはずなのに、どこか味気ない。自分のお料理スキルが足りないのか、それとも……。

 そんなことを考えるでもなく思っていると、あっという間に、皿の中が空になっていた。


「ご馳走様」


「お粗末様。ふふ♪」なんて声は、もうどこにもない。そんな毎日には、もう慣れた……、と言いたいところなんだけど、一向になれる気配がない。早く慣れないとな。と、思いつつも、慣れてしまえば、何か大事なものをなくしてしなう気もする。一生、忘れてはならないもの。


 「行ってきます」


「行ってらっしゃい」の声は当然ない。なのに……、


「行ってらっしゃい」


 なのに……、そんな声が聞こえた気がした。いや、聞こえた。というか……、自分で言ったのだ。


「悲しいやつ。…ハハ」


 自分で言って自分で返して、そんで自分で蔑んで、ほんと、悲しいやつ。笑えないくらいに。

 もうこのルーティーン(・・・・・)も変えなきゃな。次は、どんなのにしよう。もっと、いいやつ考えないとな。

 哀れで、醜くて、嗤える、そんな自分に合った、もっといいやつを。




   ☩ ☩ ☩




「起きて、兄さん」


「……ん。……陽菜、おはよう」


「うん、おはよー♪」


 朝、一番最初に聞こえる声、聞きなれた声。

 妹の声。なくなることのない、自慢の妹の声。

 朝になれば、感じることのできる、妹の体重。

 色を写さない、朝の目に、色を付けてくれる妹の姿。

 そのすべてが、なんだか、とっても懐かしい気がして、自然と、涙がこぼれた。




   ☩ ☩ ☩




 昨日の今日ということもあり、なんだか緊張してしまう。

 無理もないだろう。告白されたのだって初めてっだったいうのに、断ってしまったし。顔を合わせなければいけないのだから。

 でも、こうしてはいられない。俺が緊張してどうするんだ。相手のほうはもっと恥ずかしいだろう。それに比べれば――


 ――と、考えていた。この時までは。



 



 葉月が起こされた時にて


「に、兄さん⁉どうしたの、急に泣いちゃって」


「ん?…なんでだろ。わかんないや」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ