ああ、俺の前で手を合わせている白蕗さんに、まるで後光が差しているように見える。
って、いや、俺を回復してくれているのか。自分では一晩ぐっすり寝て回復したつもりだったけど、まだ疲れが取れていないということだろうか。
「ずいぶんと無茶をなさったようですね」
「範囲攻撃、いや、能力を複数対象に同時に使ってみたんだけど、思いの外しんどくて」
「はい。視たところ、小林さんの能力も複数対象に使えるように向上しているようですね。ただし、対象を増やすごとに体力の消耗などが指数関数的に増えていくようです」
「なるほど、じゃあ、一人相手に使うときはぜんぜん問題なくても、人数を増やすと大変なことになるのか」
「はい。能力によって疲労度は異なると思われますが、日頃剣道で鍛えている日向さんでも疲労感を覚える場合がありますので、普通の体力の私達は疲労度を見極めつつ使用する必要があると思われます」
しまったな、ちゃんと白蕗さん指導の下に行うべきだったか。
落ち着いたところで、俺が昨日の授業中に倒れたことと、宮田が今日の授業中に倒れたことを白蕗さんに話した。
白蕗さんが頬に手を当てて言う。
「まだ宮田さんの状態を視ていないので何とも言えませんが、先程の小林さんの状態から察するに、早急に治療の必要があるでしょう」
「えっ、俺の状態って、そんなによくなかったの?」
「はい。脳と内臓と精神に損害があります。血管が破れているなどの問題はないようですが、現代医療では数日以上の安静による自己治癒しか期待できないと思われます。何しろ私達の身体は部品を交換して修理完了というわけにはいきませんから」
なんてこった!
「じゃあ、白蕗さんが宮田を回復したとしても、そんな状態だった宮田を医者は修学旅行に行かせたりはしないか」
「はい。そうなるでしょうね。そして、そんな状態から突然回復などしようものなら、医師としてはむしろ原因を調べるためにしばらく病院に留めようとするでしょう」
なんてこった!
「ですが、そのことは問題ないはずです」
「えっ」
「宮田さんは別に監禁されるわけではないのですから、勝手に退院して、自費で日本電波塔に向かえばいいだけのことです」
なんてこった!
勝手に退院したら、病院に迷惑がかかったりしないかな。
いや、日本電波塔で俺が召喚の門に入れば時間が巻き戻って、病院に迷惑がかかったこともなかったことになるんだろうけど。
「それでは、病院から抜け出せる程度に宮田さんを回復しに参りましょう」