俺達はスマートフォンで日本電波塔の情報を表示しつつ、今日のこれからの予定を再確認する。最も重要なのは、召喚の門に吸い込まれるのをどう回避するかだ。
なお、先生の作成した修学旅行のしおりでは展望フロアのことが大展望台と書かれているが、日本電波塔のサイトによると2018年にメインデッキに改称されている。大展望台と呼び続けていると歳がバレてしまうので要注意だ。高校生の俺には関係のない話だけどな。
「それでは予定通り、宮田さんと小林さんは大展望台一階の男性用お手洗いに避難し、私達女子は大展望台二階の多目的ルームに避難することにいたしましょう」
日本電波塔の下部は鉄筋コンクリート構造で、地下一階、地上五階の、フットタウンと呼ばれる建物となっている。地上150メートルの大展望台へは、フットタウン一階からエレベーターで行くことができる。大展望台は一階と二階に分かれており、エレベーターで上がった先は大展望台二階だ。
大展望台二階には上りエレベーター降り場、オフィシャルショップ、タワー大神宮などのほか多目的トイレがあり、客は二階を回ったあと、大展望台一階に降りることになる。大展望台一階には下りエレベーター乗り場、カフェ、男子トイレ、女子トイレなどがある。召喚の門が現れるのはカフェと女子トイレの間、下りエレベーター乗り場あたりだ。男子トイレは少し離れた中央にあるので、召喚の門の災厄を免れることができていると思われる。女子トイレは召喚の門の出現地点にかなり近いため、そこに避難しても難を逃れられるかどうか分からない。
女子たちが身を隠す多目的トイレは、大展望台二階にある。ここなら安全に身を隠せそうだという判断ではあるが、駄目だった場合には次の周に別の手を打つ必要がある。
昨日この話になったとき「白蕗さんも案外行き当たりばったりなんだな」と思ったのだが、その表情を読まれたのか、風の息づかいなのか、とにかく怒られてしまった。
「何度も周回しているのですから、ほかの安全な場所を調べておくくらいはしておいていただけるとよかったのですが」
返す言葉もございません。
いや、言い訳をするとさらに怒られそうなので言えなかったが、俺が自覚している限りだと今回が四周目なので、そんなにいろいろ調べることはできてないわけだが。あと、女子トイレにいて安全なのかどうかも、俺が調べるのはずいぶん難しいような気がする。
7時半になり、点呼によって生徒が揃っていることが確認され、生徒はクラスごとにバスに乗り込んだ。
さあ、修学旅行の始まりだ。