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プロローグ バージョン1.00
「イリスティーナ姫、もう扉が持ちません」
聖堂の分厚い木製の扉が、魔物の攻撃によって今まさに破られようとしている。
数人の女官が扉を押さえているが、それが足しになるとは思えなかった。
イリスティーナは意を決した。
「この国を滅ぼさせるわけにはいきません。最後の手段を用います」
イリスティーナは聖堂の奥にある禁呪の部屋に踏み入れる。床には魔法陣が描かれている。
「召喚の門に告ぐ、強き勇者をここへ召喚したまえ」
魔法陣がまばゆい光を放ち、イリスティーナが、禁呪の部屋が、そして聖堂が、白い光に包まれた。
こうして、イリスティーナは死に、この国は滅びたのだった――