*今夜はぐっすり眠れ OH
ここは地下にあるお屋敷の中の豪華な部屋である。
この孤島の密林に迷い込み、一軒の小屋を見つけた時から、あっという間に、こんな豪華な部屋まで辿り着いた男女四人組の若者。
男女四人一部屋で割り当てられたけど、それでも凄く広い部屋である。 男性陣はほとんど問題ないけど、女性陣でも色々差し引いても男性陣と一緒に居たい程、ここは不気味で薄気味悪い場所である。
「さぁて、シャワーでも浴びようかな?」
「ええ、そうね。 あなたたちはどうする?
一緒に浴びる?」
「俺たちは後でいい」
「それに誰かが見張ってないと、さすがにヤバイだろう?」
「あっそ、じゃあお先に」
「あとはヨロシクね」
そう言うと女性二人がシャワールームへ行って、男性二人がソファーに座って、彼女たちが出てくるのをずっと待った。
その間は何も起こらない。
普通こういう時って、ホラーの時は、ソファーに座る男性側に何かあったり、シャワーを浴びてる女性側に何かあったり、するけど、特に何もイベントは起こらず、時間だけが過ぎていく。
「「………」」
またこの男性二人は、せっかく女性二人が全裸でシャワーを浴びてるはずなのに、本当に律儀にソファーに座って待っていて、一切覗こうとはしない。
本当に何も起こらない不思議な時間だった。
「お待たせぇ~♪」
「待ったぁ~?」
「いや、俺たちは大丈夫だ」
「じゃあ、次は俺たちの番だな」
やがて女性二人がシャワールームから出てきて、もう既に寝間着に着替えていて、今度は男性二人がシャワールームへ行って、シャワーを浴びる。
「それでねぇ―――」
「え~、そうなの?」
「それでそれで―――」
「うんうん、え~」
それと女性二人がソファーに座って、普通にお喋りしており、まるで自宅に居る感じで寛いでいる。
特に何も起こらない。
この後も時間が過ぎていくけど、ホラーもサスペンスもイベントも何も起こらない。
そこに男性二人もシャワールームから出てきて、もう既に寝間着に着替えている。
「待たせたな二人共」
「じゃあもう寝るか?」
「ええ、そうね」
「もう寝ましょう。 なんだか疲れたわ」
「よし、おやすみ」
「ああ、おやすみ」
「「おやすみぃ~♪」」
そこで大きな白いベッドの右側に、男性Aと女性Dが一緒に寝て、大きな白いベッドの左側に、男性Bと女性Cが一緒に寝て、ひとつのベッドに男女四人が同時に寝る。
「グーグー」
「ZZZ」
「スヤスヤ」
「スースー」
よほど疲れているのか、すぐ四人同時に、ぐっすり眠る。
結局、本当に何も起こらない不思議な時間だった。
また別の部屋では、メイドのエクリシアとケイルデムとバーチェスの三人が椅子に座って、なにやら話し合っている。
「大魔王イザベリュータ様はもうおやすみか?」
「はい、もうおやすみです」
「あちらの三人の様子は?」
「はい、もうおやすみです」
「では、男女四人組の若者の方は?」
「はい、もうおやすみです」
「そお、これでこの屋敷に居る者は、私たちを除いて全員寝たということかしら?」
「はい、そうだと思います。」
「ふーう、これで一息つけそうね」
「「はい」」
ここでメイド三人がお茶を飲んで、ゆっくり休憩している。
ここに居るメイドたちの仕事も大変そうだ。
ご苦労が絶えないメイドたち。
お疲れ様です。




