*『アイテム収納ボックス』 03
●【No.003】●
ここで『アイテム収納ボックス』が登場する。
俺は立ち上がり、その小屋のところまで歩いていくと、ヴァグドーさんが話しかけてきた。
「起きたか?」
「どうもはじめまして、イトリンさん」
ヴァグドーさんの隣にいる黄金の鎧を着ているイケメンの男性が、ヴァグドーさんに続いて俺に話しかけてきた。
彼の名前は勇者アドーレと言う。 あの有名な勇者アドーレだそうで、もう既に俺は勇者様とも対面してることになる。
「ありがとうございます。 ヴァグドーさん」
「ふむ、とりあえず当面は、この小屋でラーメン作りを頑張ってくれ。 イトリンよ」
「あっ、やっぱり俺がラーメン作るの知ってたんですね? ヴァグドーさん」
「ふむ、お前さんのことは、あの連中から聞いておる。 しかし、いよいよラーメンが作れる者が、ワシらのところに来てくれるとは、久しぶりの中華料理じゃのう。」
そうか、久しぶりなのか。
確かに異世界に中華料理はないよな?
でもラーメンは日本料理では……??
「まず食材や調味料や調理器具の調達をしたいのですけど、あの連中からは『アイテム収納ボックス』としか聞いていないんですよね? ……どうしたらいいんでしょうか?」
「おう、それならお前さんが見えてる視界の右下端に、小さな黒い円いボタンみたいのが見えるじゃろ? それを目で押すそうじゃよ。」
―――えっ!? あっ、あったぞ! 確かに俺の視界の右下端に小さな「●」ボタンがあるぞ! これを目で押すんだな?
ポチッとな。
おおっ、何かの一覧が目の前に見えたぞ。
一番上にある「虫眼鏡マーク」は「検索」なのか?
その下には、お米がEP20、卵がEP20、長ネギがEP20、お水がEP20、お塩がEP30、コショウがEP30―――などと、他にも色々な食材や調味料や飲料水や調理器具などがあるぞ!
このEPとは、あの地球の護り神〈アクナディオス〉たちが言ってたエネルギーポイントのことなのか?
だがしかし、一番下にあるEPは…今はゼロ…か。 ……やっぱりモンスターを倒さなければいけないな。
「くっ、モンスターを倒して、EPを稼がないと駄目だな。」
俺が小声の一人言でそう言ってると、横からヴァグドーさんたちが―――
「その心配は必要ないわ。 ワシのEPを使うとよいぞ。 全部くれてやろう。」
「ボクのも使ってください。」
「私のも全部あげるぅ~~♪」
「よろしいのですか? 皆さん」
「はい、使ってやってください。」
「ふむ、構わん。 持っておっても使い道がないし、ワシもそろそろ美味しいラーメンが食いたいしのう。」
「美味しいラーメン、お願いね♪」
「はい、どうもありがとうございます!」
するとヴァグドーと勇者アドーレと大魔女シャニルの三人から、合計EP28470が俺のところに獲得・譲渡された。
す、凄い! これなら何も問題がないぞ!
「すみません。 では、あの小屋を使わせてもらいます。」
「ふむ、頑張れよ」
「はい!」
そこで俺はラーメン作りの為に、あの小屋の中に入っていった。
●【No.003】●
でもEP (エネルギー・ポイント) が28470EPとは、なかなか凄いことだよなぁ。




