*お姫様にチャーハンを 21
●【No.021】●
前回からは少し間、間があくけど、再び投稿・連載します。
王様に呼び出されたヴァグドーさんたちが、この王宮の『玉座の間』の中にいるとされる強力モンスターを倒す為に、既にこの部屋を出ていった。
まぁ、ヴァグドーさんたち程の者なら、それほど時間がかからないだろう。
当の俺は戦闘が出来ない為に、お姫様たちがいるこの部屋で待機中。
ちなみにこの広くない部屋に、お姫様が二人いる。
一人目はニーグルン姫様、彼女もスゴく美人だけど、残念ながら俺はあんまりときめかない。 そのニーグルン姫様の方もヴァグドーさんが好きらしい。
もう一人はマリアスラン姫様、俺がラーメン以外でときめいてしまった絶世の美女であり、俺が一目惚れしてしまった。
この広くない部屋に、お姫様が二人。
━・・●・・━
それにしても、この部屋って食事とかは、一体どうしてるんだろう?
こんな部屋じゃ、ロクに料理も出来ないだろう?
俺は部屋の片隅にある椅子に座り、ボクシング選手のインターバルのようにうなだれていた。 (※別に白くはないけどね)
この部屋では食料を調達するのも大変そうだ。 ここの兵士たちが食事を持って来るけど、どこか味気ない。 これが王族が食べる料理なのか? でも、それは仕方ないことだ。
この王宮の調理場も、モンスターどもに盗られてしまい、今まで調理していた料理人も逃げてしまい (最もお姫様が逃げるように指示した為)、マトモな料理が作れていない。
それを見かねた兵士や暗殺者の女性たちが、王様やお姫様の不憫を苦慮してる。
だけど王様もお姫様も文句は言わない。 現在の状況をよく理解してるからだ。 あの強力モンスターどもがいなくなれば、また元の生活に戻れるだろう。 だから、それまでしばらく我慢するしかないのだ。
気の毒だけど、こればっかりはヴァグドーさんたちに、任せるしかない。 俺には戦闘など出来ないのだから。
━・・●・・━
椅子に座り、うなだれる俺の前に、ニーグルン姫様がやって来て、俺に話しかけてきた。
「あのぉ、イトリンさん。」
「はい、何でしょうか、姫様」
「また、あのチャーハンが食べたいのですけど。」
「ああ、いいですよ」
「では、宜しくお願いします。 イトリンさん」
「!!?」
その話を聞いた暗殺者の女性が、マリアスラン姫様に小声で耳打ちしてから、今度は俺の前に、ニーグルン姫様の隣にやって来た。
「あの、料理って、ここでも作れるんですか? イトリンさん」
「えっ、ええ。 調理器具や食材や食器は、俺が持ってますんで、料理するスペースさえあれば、一応何処でも……。」
「す、凄い!!」
「……はぁ?」
「それでは、ぜひとも王様やお姫様にも作って頂けますか? イトリンさん」
「はい、別に構いませんよ」
「どうもありがとうございます。」
そう言うと俺は立ち上がり、部屋の片隅のスペースを利用して、調理器具・食材・食器など、チャーハン作りに必要なモノを『アイテム収納ボックス』から取り出して、早速調理する。
既に何度も作っているので、さすがに手際よく、数人分だろうと、約5分くらいで、すぐにチャーハンが完成した。
俺はテーブルの上に、ここにいる人数分のチャーハンを置いて、テーブルには王様やお姫様や暗殺者の女性たちの他に、ニーグルン姫様やルドルス将軍たちも椅子に座る。
「どうぞ、召し上がれ」
「「「いただきます」」」
早速、お腹をすかせてチャーハンを食べるニーグルン姫様やルドルス将軍たちからは、相変わらず「美味しい」と絶賛される。
そんななか、お姫様が俺に問いかけた。
「あの、これは……?」
「はい、チャーハンです」
「……チャーハン……?」
「姫様、このレンゲというモノで、チャーハンを掬い上げて―――」
隣に座る暗殺者の女性が、お姫様に食べ方を教える。
そして、お姫様が暗殺者の女性の言われた通りに、チャーハンを食べてみる。
するとここで―――
「お、美味しい……!」
「こ、これは……うまい!」
俺が作ったチャーハンを食べた王様やお姫様からも、この未知の食べ物に「美味しい」と驚愕・絶賛してくれる。
まぁ、まずチャーハンをマズイと言うヤツも、あまりいないだろう。
●【No.021】●
次回にこの話は続けます。




