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糸井久信(イトリン)  ~絶望老人が異世界転生をしたら、外伝~  作者: 賭博士郎C賢厳
*イトリンの章
10/64

*まずは森のモンスターの中華料理店から 10

  ●【No.010】●



 果たしてイトリンはお店を出せるのか?




 この後も俺は小屋に戻り、色々と試しながら、ラーメン・チャーハン・ギョウザの味の微調整をしていく。


 やがて、なんとか人様に出せる程度の味と見た目の中華料理が完成した。


 しかし、ここで問題が起きた。


 ―――店がない……。

 そもそもお客がいない……。


 ここは森の中……しかも、近くに街や村すらないみたいで、周囲一面広がる森は最早(もはや)ジャングル並みである。

 この森の中にいる人間はヴァグドーさんとヴァグドーさんの仲間たち、あとは俺。 モンスターもいるらしいけど、俺はまだ見ていない。


 これでは商売にならないぞ。


 なんとか何処かテキトーな街とか探しに行って、お店を出さないと、商売どころか、そもそもせっかく作った中華料理を食べてもらえないぞ。


 この森の中にいるのは、モンスターばかり……人間に食べて貰えなければ……意味がない……。


 だからモンスターなどに……()わせても……。


 ・・・

 ………


 ……イケるか?


 もしかしたら、前代未聞・前人未到の……モンスターの為の中華料理店を、おそらくは、全世界探しても、俺だけではないのか?

 ……イケるのか?


 そこで俺は色々と模索する……検討する……思案する。

 一体どうすればいいのか、しばらくの間、考え込んでいる。


 第一、モンスターに中華料理の味など、果たしてよくわかるのか、うまいのか、まずいのか、普通なのか、モンスターに食レポなど出来ないと思うけど、ただ食べ尽くすだけなら、エサと変わりがないのでないか?


 だからつまり、ある程度の知能と味のわかるモンスターに中華料理を食べて貰うしかない。


 ・・・

 ………


 正直、俺に戦う力などない。

 今の俺に出来ることは料理を作ることだけだ。

 相手はモンスターだ。

 交渉には当然、力・強さが必要だ。

 まずモンスターに試してみて、上手くいけば人間にも試せる。

 なにせ、この世界にない中華料理……既に試食は完了・終了している。


 あとは中華料理屋のお店の試験運用・実験営業のみだ。


 ・・・

 ………


 やっぱり、ここで頼りになるのが、ヴァグドーさんの存在だな。

 聞いた話だと、この大陸・この王国の弱小モンスターは、本能的にヴァグドーさんを避けているらしい。

 最早(もはや)戦っても無駄……自殺行為だということを、モンスター自身が本能的に悟っているらしいのだ。


 それならば、これは交渉のカードに使えるかもしれないぞ。


 ヴァグドーさんに交渉のテーブルについてもらい、なおかつ美味しいモノも食べられる……モンスターにとっても悪い話ではないはず……だ。


 これが上手くいけば、俺の「森のモンスターの中華料理店」は完成する。

 そう、俺は遂に森のモンスターの為の中華料理屋の店を開業して、現在(いま)は森の弱小モンスターだけだけど、やがては国内外・大陸別・人種・種族の垣根を越えたモンスターも亜種も魔族も大魔王もドラゴンも妖精・精霊も……勿論、人間も全ての者が美味しいと慕ってくれる……俺の中華料理屋チェーン店の展開が、これこそが俺の理想・そして、俺の夢……!


 これこそが前代未聞・前人未到の「全生命体専用中華料理屋チェーン店」の……他の者には絶対真似(マネ)の出来ない俺だけの野望なのだぁーーっ!!


 不意に俺は物陰(ものかげ)に隠れて、思わず「フフフ」とニヤつく。


 ・・・

 ………


 本当にイケるのか……??



  ●【No.010】●



 イトリン、意外ととんでもないことを考えるよな?

 もしこれが成功したら凄いことになるぞ?

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