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ナマポランドフクシマ  作者: にーとしのしの
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第7話 自己紹介

 さて、6人集まったことだし自己紹介でもしていくか。

 女もいるし、ちょっと緊張してくるな。


「俺、有名だから、みんな知ってると思うけどね、ずいえきっていいます。趣味はね。カードゲームとかやるかな。うん」

「ずいえきさんもカードゲームやるんですか? 僕も遊戯王とか大好きですよ」

「あっそう。俺は昔からデュエマをやってるね。デュエマ。うん」

 

 あきのりは顔が弱そうだから、どうせさ、にわかで弱いんだろうな。間違いないね。うん。


「次、お前なんか自己紹介でもしろ」

 

 俺はあきのりに自己紹介をするように促した。


「え、ぼ、僕もするんですか!?」


 なんだこいつ。いきなりキョドりやがって。

 これだから、人見知りのインキャってやつは嫌だよ。


「ぼ、僕はむ、室井あきのりと申します。年は27才で~。しゅ、趣味はカードゲームです。

 ……ナ、ナマポをもらうようになったのは半年前からで、き、起業に失敗して全財産を失い受給し始めました」


 室井あきのり。陰キャを具現化したような奴。

 年下だとは思っていたが27才か、意外と年を食っていた。

 これぞ普通という感じのなんの工夫もない黒髪に、ママに選んでもらっているかのようなダサい服が年を若く見せていたのだろう。

 他は、体格も普通。顔も普通。

 ……なんかつまんねぇやつだな。うん。


「起業? なんの会社作ろうと思ったの?」

「あはは……、TCG分類機っていうのを開発して売り出したんですけど、どこにも需要がなかったみたいで全く売れませんでした……」

「トレカの分類機か。ふーん」


 場の流れ的に適当に質問してやったけど興味ないわ。


「あの~、次は、僕でいいですかね~」


 男が手を小さく上げて、甲高い声で喋りだした。


「僕は豚饅頭と申します~。年齢の方は~、32才です。ナマポは~、3年前からもらってますね」


 この男。背が高くておかきみたいな顔してるくせに異常に声が高い。

 それに、言葉のイントネーションも所々おかしい。

 なんか面白そうだから隊に入れてみた。


「その声は地声なんですか?」

「こんな声なんで~、初対面の人からなめてかかられたりするんですけど~、僕は格闘技をたしなんでいたんで~そこらの人間には負けませんよ」

 

 なんだこいつ、いきなりアピールしやがって。

 格闘技ねぇ。どうせかじった程度なんだろうな。うん。

 っていうかどんなに格闘技やってたとしても、今の俺には誰も勝てないだろうがな。ハッハッハ。


「次はあーしね! あーしの名前は長谷川なみ。年は27才。趣味はネットで動画見たりとかかなー」


 なみって名前なのか。可愛い名前してるな。

 顔はまぁ……普通だ。

 見た目は、おしゃれをしていい女の雰囲気を無理やり出している感じがする。

 予想するに、身の丈を考えず流行とかブランドに乗りたがる、俺の嫌いなタイプの女だろうな。うん。

 

 身長は俺より少し高い。多分、160センチ中盤ぐらいだろう。

 

「おっさ……、じゃなかった。ずいえきさんこないだはごめんね!」

「あぁ、俺は心が広いから気にしてねぇよ」


 なみが頭は下げず軽い感じで俺に謝罪をしてきた。

 そう、なみは説明会の日に俺に絡んできた嫌な女。

 たいして可愛くもないのになぜ隊に入れたかというと、こういうきつい性格の女を支配して言いなりにできた時が一番興奮するんだよね。うん。


「ぼ、僕と同い年だねよろしく。ナマポはなんで貰い始めたの?」

 

 あきのりがおずおずと質問した。

 

「ナマポになったのは1年前くらいからかな。会社クビになって親も死んじゃってね」


 みんな数年しかナマポは貰ってないんだな。

 やっぱ俺のナマポ歴12年は特別か。


「次は私の番でいいとー? 私はめめこっていいます! 年は25才で、趣味は料理とゲームです」


 声はなかなか可愛いし、顔もハニワみたいだがそこそこ美人だ。

 綺麗な髪は胸の下あたりまで伸ばしていて……、結構巨乳でもあるな。

 興奮してきちゃう。


「ナマポには気づいたらなっとったっちゃんね。あはは……」


 気づいたらなってたってなんだよ。 

 天然な感じの子なのかな?


「めめこさんは~、九州の生まれですか?」

「方言でわかっちゃいましたか?」

「僕も~、九州なんですよ~」


 豚饅頭とめめこさんが九州生まれの共通点で盛り上がっている。

 

「最後は私ね。私はアイコと申しますわ。年齢は二十才です。趣味はピアノやバイオリンを弾いたりしますわね」

 

 20才!? 若いとは思っていたけど想像以上だった。

 外見は口調通りお嬢さまといった感じだ。

 長くツヤツヤな黒髪に、透き通るような白い肌、端正な顔立ち。

 黒ギャルがタイプの俺のストライクゾーンからは外れているが、これだけ美人だと彼女にしてやってもいいね。うん。


「ナマポは4年程前に、生活が困窮したため受給し始めましたわ」

 

 お嬢さまっぽいのに何があったのか気になるな。

 でも、その辺は同じナマポとして言いたくないことだってあると思うし、問い詰めないで置こう……。


 6人全員の自己紹介が終わり周りを見渡すと、ちょうど全員の隊が決まり終わったところのようだった。

 

「そろそろいいかしらね。次に移らせてもらうわよ」

 

 椎名がやっとかと言いたげな気だるげな顔でしゃべり始める。


「あなたたちはNRAO手術で覚醒人間になった。今はその力に驚いてるでしょ。」


 その通りだ。ただのナマポ受給者だった俺が超人的な身体能力を発揮できるようになった。

 

「ただね、この手術の効果にはまだ続きがある」


 椎名はニヤリと不気味な笑みを浮かべている。

 続きだと……。まさか副作用とかじゃないよな……。冗談じゃねぇぞ!

 

「ナマポスキル。それがあなた達がこれから極めていくべき新たな力よ」

 

次回、第8話「ナマポスキル」

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