プロローグ
中編予定です。よろしくお願いします。
追記:中編の予定が、50話程度の長編になりそうです。
追追記:なんとか完結しました。良ければ読んでみて下さい。
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昔々、北西の国でのお話。王子様と一般庶民の恋物語。
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北西にある、大蛇の国は連合国。恋物語の始まりの場所は、本城からかなり遠い、僻地の小さな領地です。
その領地が新しい王国となった祝いの日。つまり流星国誕生の日に、美しいお妃様は三つ子を産みました。
一番初めに生まれたのは男の子。次も男の子。そして、最後は女の子。
三つ子は上からエリニス、レクス、ティアと名付けられました。新王国誕生、そこに王子と姫の誕生が重なった記念すべき日には「流星祭り」という名がつけられました。この土地を守るという蛇神や数々の奇跡、それに家族や友に知人や隣人へ感謝し、労い、祈り、歌うべき日です。
初めての流星祭りでは、出産したばかりの美しいお妃様自らが美声を披露しました。
歌い終わって、働き者の民に感謝を述べたお妃様。その前に、三種類の生き物が現れました。
鷲のような頭部を持つ小さな蛇と、三本の角が生えた大きい蛇。犬の倍はある大きな白い狼。成人女性の頭くらい大きい蜜蜂に似た三つ目の蟲。白狼は兎も角、不思議な蛇や三つ目の大きな蜜蜂など、こんな生物、誰も見たことがありません。
民は騒然となり、騎士達は厳戒態勢です。剣を、槍を「化物」へと向けます。
しかし、お妃様の隣に立つ王様は、生まれたばかりの長男エリニスと次男レクスを抱っこしながら、奇妙な生物達にこう告げました。
「こんなに優しく賢そうな目をした生物が祝いにくるとは、素晴らしい祝福です。きっと神の遣いでしょう。是非、息子と娘を立派な人間に育てる手伝いをして下さい。子供達の無二の親友でも良いです。宜しくお願いします」
王様の発言に、二匹の蛇はくるくると回ります。白狼は三回吠えました。蜜蜂は跳ねるように飛びます。末娘を抱きしめながら、微笑むお妃様。王様とお妃様は二人して、蛇と狼と蜜蜂に会釈をしました。家臣や騎士、国民は大驚愕です。
こんなことがあって、小さな国に生まれた三人の王族は奇妙な生物と共に成長しました。
さて、それから十八年。
第一王子は大蛇連合国に名前を轟かせました。容姿端麗かつ、あらゆる才能に秀でていて若手社交界の中心人物です。
第一王女は大蛇連合国一美しいと呼ばれる美少女です。人懐こくて、優しく、とても可愛らしい方です。連合国内の王女達の中心には、いつも彼女がいます。
そんな間に挟まれる、二人に比べると地味なのが、第二王子レクスです。
彼は誠実な勤勉家。政治、福祉活動、そして医者の勉強までする、頑張り屋さん。しかし、派手な三つ子の兄妹と自分を比較し続け、少々自己認識がおかしい青年に育ちました。
人は、家族以外の他人と深く関わり、良くも悪くも変わります。
この恋物語は三つ子の真ん中次男、レクス王子の、初恋と成長の物語。