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こちら魔道具開発工房  作者: 鴨川 京介
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06 24時間稼働?

あくる日から昼は荷の受け取り及び受け取った荷の異界への運搬、荷卸し。

夜は収納リングの量産と、2交代制で工場はてんやわんやとなった。

夜に作られた収納リングは早速その昼には使われ始めていく。

すべてにロットナンバーを打ってあるけど、これの管理だけでも大変だ。


荷の受けおろしはその膨大な量もさることながら、その種類も多い。

それらを本社から流れてくる大量の発注伝票を見ながら、欠品はないか確認していかなければならない。

検品できたモノから荷は降ろされ、それぞれ持っていく地域で仕分けされていく。一定量集まったらそれをリスト化し、収納リングに収納していく。

これもすべて触れないと収納できないのでかなりの作業となっていく。

収納が終わった収納リングのロットナンバーを控えて、荷を持っていく地区のタグをつけて地区ごとに集めていく。

それを可視化してリストと照合し確認していく。

その後、各地区に配達されていく。

配達するにも次元のほころびまで行かなければならない。

配達要員はすべて迷彩服で胸に京介様直属部隊の証である『丸いまねき猫』のワッペンを張り付けている。

このワッペンは猫又のおばば様が大層気に入っており、すべての部隊装備に着けられている。

この戦闘服を用意するのも工場なのだ。

本社に稟議を回し決裁を受けて発注をかけてもらう。

その発注伝票がこちらに回ってきて荷を受け取り、それぞれのサイズに合わせて支給していく。

配達部隊もいつ戦闘になるかわからないため、武装する必要がある。迷彩服上下、防塵ベスト、戦闘ブーツ、迷彩ヘルメット、防塵グローブ、トランシーバーが一式渡されることになる。

それぞれが受け取ったのち『不懐』の魔法を自分でかけ、『丸いまねき猫』のワッペンを指定された位置に張り付けていく。

アイロンで定着するタイプのワッペンなので『加熱』の魔法で取り付けることができる。

それらの装備を付けて自分に『迷彩』の魔法をかけ、大量の収納リングを収納した収納リング一つを身に着け、異界に渡っていく。

収納リングも輸送用と個人装着用で色を分けた。


夜になってようやく荷物の運び込みも終わり、片付けがされた後、今度は大量の作業机が運び込まれて倉庫の中は一変する。

これからは収納リングの制作工場と変わるのだ。

100枚ほどの八角盤が机の上に並べられ、各種属性の魔核が入った籠がそのわきに置かれていく。

作業員が席に着き、それぞれチームごとでイメージの確認、魔石のセットを確認した後、それぞれが担当の魔法魔核を作るために魔法を込めていく。

3時間も魔法を込め続ければ魔法が枯渇するため、2時間ごとでチームは交代していく。

これが夜10時から翌朝6時まで繰り返されていく。

他方では魔力銀を錬成してリングを作り出すチームが、冴子と雪江によってデザインされたリングを、その見本を見ながら錬成していく。

途中、色違いのものを作るように指示があったので、錬成時に着色のイメージも加えていく。

そしてそれら作られた魔核と、リングを合わせて組み立てる部隊もいる。

その後、検品が行われ動作チェックを経て、ようやく完成品となる。

完成品にはそれぞれロットナンバーが打刻され、翌朝の収納作業に使われていく。


この状態が延々毎日繰り返されていく。

急遽、所長室の奥にドアが二つ設けられ、片一方は冴子と雪江が、もう片方を忠太郎が使うための部屋が設えられた。

仮眠をとるためのものだ。

僕たちは純粋なあやかしなので食事をとる必要はない。

魔素で補給するからだ。

この工場には魔素を導くための魔力ケーブルが地下に接続されている。

その行先は京都の地下に眠る巨大な水瓶の深層部だ。

そこから魔素を供給し、室内作業をする部屋には魔素を循環させている。

とはいえ、精神的な疲れはどうしてもたまってしまう。

そこで3日に1回ほど交代で仮眠をとることにしたのだ。

どうしても管理部門はフル回転になってしまうからだ。


工場管理チームの7人あてに本社から魔核が送られてきた。


「これって何だろう?」

忠太郎はその透明で少し光る、丸い魔核を手に取った。


「どうやら京介様の10エレメント魔法理論がほぼ完成したとのことで、その思考データが送られてきたようですね。」


冴子さんは同梱して送られてきた手紙を読みながら説明してくれた。


「この魔核を万眼鏡に触れさせると記憶が転送されるようです。それと私たちにも同じものが送られてきています。全部で7個。それぞれが読み取る必要があるみたいですね。」


「じゃあ、さっそくやってみようか。」


忠太郎は一つの魔核をとって、かけている万眼鏡を外して淡く光る魔核にそっと触れさ、魔力を少し流し込んだ。

すると万眼鏡が光りだし、しばらくの後、光が収まったのを確認してから手に取ってみた。

先ほどの魔核が細い線上になって眼鏡の蔓の先からまん丸いメガネのレンズの上側を通って、その反対側の蔓まで伸びていた。

その線は金色に光っていて、その光もやがて収束していった。

おぉ、これでこの万眼鏡もバージョンアップしたのかな。

忠太郎は万眼鏡をかけた。

すると


「新たな記憶統合のため、リアクティベートを行います。リラックスできる体勢をとり、『再起動』してください。」


万眼鏡がそうしゃべりだした。

この声は僕にしか聞こえないようだ。

直接頭の中に話しかけてくるようだ。

僕は所長室の椅子に座り、ゆっくり深呼吸してから「再起動」と唱えた。

すると、膨大な情報が頭の中に流れ込んできた。


うっ、これはちょっと辛いかも。


しばらくの間情報の流れは続いた。

ようやく収まった時、時間は10分ほど経過していただろうか。

「情報の統合が完了しました。続いて情報の整理を行い、アクティベートを行います。」と万眼鏡から聞こえてきて、また、頭の中をかき回された。


しばらくすると情報がパズルをはめるように次々に合わさっていき、分類されていった。


これきもちいい。


「情報整理が終了しました。万眼鏡はバージョンアップされ、万眼鏡プロトタイプから万眼鏡プロトタイプバージョン2となりました。増えた機能として万眼鏡間通信がおこなえるようになりました。一度通信したい相手と万眼鏡を接触させ、通信のアクティベートを行ってください。」

ということはここにいる管理チーム7人の万眼鏡同士で話せるってことか。これは便利だな。

周りを見渡すとそれぞれが椅子に座りぐったりしている。

しばらく回復を待ってから、それぞれのめがねに触れさせて起動していった。

管理チームの面々は、それぞれがお互いに通信機能を起動していった。

これで話したいと頭に念じるだけで、お互いと会話できるようだ。


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