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こちら魔道具開発工房  作者: 鴨川 京介
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05 収納リングの大量生産

僕は空間を制御する魔法は『光』と『闇』だと考えているんだ。

これを一つの魔核に込めたらうまくいかないかな。


何度かその比率を変えながら試してみるが、光と闇だけだと何度やっても対消滅してしまう。

つまり、お互いのいいところを打ち消しあっちゃうんだ。


「京介様の発想だと、空間と時間はそれ以外のすべてのエレメントの上に成り立っているという発想でしたよね。」


「そうですね。」


「そしたらひょっとして、すべての8エレメントを込めないと空間も時間も制御できないんじゃないでしょうか。しかし、これを一度に全部入れるのは難しい。一人で多く入れれても2エレメントまででしょう。それを4人で合わせるなんてなかなか難しいでしょうね。」


雪江さんが京介様の知識から引用して、アイデアを出してきた。


「う~ん。それならそれぞれを魔核に溜めて、その合成の制御だけを行ったらどう?」


「なるほど。試してみる価値はありますね。」


雪江さんのヒントで一つの方向性が見えた。


「とすると、8エレメントそれぞれを均等に配置するために、八角形のボードを作ってそれを魔力線で結ぶようにしてみましょうか。それでそれぞれの魔核に触れながら起動すれば、4人で何とか真ん中の一つの魔核に魔法を封じることができるのではないでしょうか。」と、三郎さんが発言してきた。


それぞれの属性の魔核となると、やっぱりスライムの魔核になるのかな。

あと、中央に置くそれらを合わせた魔法を合成する魔核には、どの属性にも振れていない『無』の魔核が必要だね。

これはゴブリンの魔核を浄化すればできるからこれで行こう。

八角盆の上に8属性の魔核を置き、その中央に浄化された無属性の魔核をセットする。

4人でそれぞれ2つずつ制御し、魔法を込めていく。


「空間の魔法を込めるわけだけどあらかじめ全員でイメージを統一しておこう。そうだな。これらの各属性の魔核は小さいものだからそれほど大きな魔力はこめられないよね。ましてや『無限』なんてのは無理だからあらかじめ大きさを限定しよう。」


どれぐらいの大きさが使いやすいのかな。


「それなら車両1台分の大きさを基準にしたらどうでしょう。日本の車の一般的な大きさの最大寸法は確か長さが12m、幅が2.5m、高さが3m程じゃなかったでしょうか。」


「う~ん。かえってその大きさだと細かくイメージする必要があるから…そうだな。20m角の立方体を考えようか。20m×20m×20mの四角いさいころのような形。20mだと大体この工房の端から端までぐらいかな。ちょっと測量テープで20mの線を引いてもらえるかな。」


工房の床に20mの線が引かれた。


「この横をみんな歩いてみて。自分が何歩で20mを歩けるか測ってみて。それを体感として持ちながら大きさをイメージしてみよう。そしてなかの空間では時間を停止させる。時間の停止は京介様のイメージだと『活動の停止』だということになる。モノが動いていてそれがゆっくり止まるってイメージかな。生き物を入れることはできないけど、物はこれで入るようになる。もし生き物を間違って入れちゃうと死んじゃうから、入れれないように弾くイメージも込めておこうか。

まとめると長さは一辺20mのサイコロ、中は動きがゆっくり止まるイメージで生き物を入れようとしてもはじき返す。まず、このイメージで魔法を込めてみよう。」


ようやくイメージの統一が終わり、4人それぞれが魔核に両手を置き、2つづつ魔法を込めていく。やがて手元の魔核が光りだし、それが中央の無属性の魔核に集まっていく。徐々に輝きを増し、やがて収束していった。


「これでできたのかな?」


真ん中の虹色の魔席を取り出し、魔力をそっと流しいれてみた。

すると、確かに空間が広がるイメージが伝わってきた。


「うん。できてるみたいだな。みんな試してみて。そっと魔力を込める感じで。」


みんなそれぞれが虹色の魔核をもって試してみた。

僕以外の人たちは空間魔法が付与された魔核を持つこと自体が初めてで、その空間が出来上がる感覚に興奮していた。


「後はリングにこの魔核を取り付けて、もう一つ別の魔核で中に入っているものを目で確認できるように、立体ビジョンの映像でリスト化するような形をとれないかな。そうしないと中に何が入ってるのか、いちいち出さないと確認できないもんね。

その魔法までこの虹色の魔核に込めるのは、いくらなんでも無理だろうし。あと所有者権限もつけれるようにしないとね。

それとMPが大量にあるあやかしでしか扱えないように、これに触った人の魔力が500以上ないと起動しないように制限もかけておこうか。

それで何とかなるんじゃないかな。

収納するにはそのものに触れる必要があるね。

収納するもの、リング、装着者という位置関係にならないと取り込めないようにしておこうか。

さすがに京介様みたいに思ったところに取り出すってのは無理だろうな。

あれは万眼鏡があってのことだからね。

万眼鏡の機能までは付けれないしね。

とすると空間魔核1、立体ビジョン魔核1、所有者権限魔核1でリングを作ろうか。

本当は指にはめるリングがいいんだけどサイズ調整が難しいよね。

今のところは腕輪型で行こう。

それも魔力銀で作れば、魔力の伝達効率もいいだろうから、それでいこう。

あと残り二つの魔法魔核の作り方だね。

立体ビジョンの魔核に必要な魔法は『鑑定』、『情報整理』、『視覚化』ってところかな。

所有者権限は『鑑定』、『制御』ってところでいいと思う。

鑑定は光魔法を使って『モノの理を表す』ってイメージかな。

詳細はあまり必要ないから、モノの呼称、性質の概略ぐらいでいいと思うよ。

たとえばキャベツなら呼称:キャベツ、性質:新鮮って感じかな。

情報整理は闇魔法で『順番に並べて整理する』って感じでどうだろうか。

あと視覚化は情報整理の魔核からくみ取った情報を、リスト化して立体ビジョンに映し出すために闇魔法と水魔法と光魔法を合成してみてやってみよう。

さっきも試してみたけど光魔法と闇魔法だけじゃ対消滅しちゃうからね。

それを避けるために水か風魔法を入れると何とかできるような気がするんだ。

これも試行錯誤しながら配分は試していこう。

で、それらの魔法を込めた魔核をそれぞれ用意して、さっきの八角盤で同じように魔力を込めながら、一つの魔核に合成していく。

これでそれぞれの魔法魔核ができるはずだ。

あとデザインは雪江さんと冴子さんに任せてもいい?

女性の方がこういう感性は持ってそうだしね。

土台の魔力銀のリングの製作は『錬成』のスキルを持っている人たちを集めてやってもらおう。

それと今作ったこの八角版も量産しないとね。

あと、各種属性の魔核の確保と無属性の魔核の浄化、あとはそれぞれ3種類の魔法魔核を作るために魔法を込める人たちもいるね。

眷属の皆さんのリストは…。ここから検索をかけて至急招集をかけよう。

魔法魔核を作るグループを三郎さんが指揮して。

八角版とリングを作るグループは小太郎さんにお願いするね。

それぞれの人選もお願いします。

それとリングの土台を作るグループをケイスケさんにお願いします。

あと、各魔核のセットと無属性魔核の制作式をシローさんにお願いします。

僕は全体を見ながら、素材の確保と生産量の管理、それに進捗管理を行いますね。

冴子さんと雪江さんはそれぞれから上がってきた必要な人材への招集手配をお願いします。

何とか今晩中に通達だして明日の昼ぐらいからかかれたらベストだね。

ではそれぞれ手配をお願いします。

僕は今言った一連の流れをまとめておきますね。

そのマニュアルをもとにレクチャーしていきましょう。」


僕たちはそれぞれがしなきゃいけないことに着手した。



忠太郎は意識していないが、京介の記憶を受け継いだこともあり、『並列思考』、『高速思考』がすでにスキルとして発現しており、その言動と発想は京介によく似たものとなって行っていた。この時すでに京介が発言していた『自動で魔核を高集積する』装置の片鱗が見え隠れしていた。


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