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こちら魔道具開発工房  作者: 鴨川 京介
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03 知識と身体の操作の最適化

僕はバイクにまたがりキーを差し込み、エンジンをかけた。

V-Twinのエンジン音が荷捌き場に響いた。

受付の女性はヘルメットを渡してきた。


「これをかぶっておかないと警察に捕まるからね。法定速度は守ること。あと、伏見工場の場所は万眼鏡がナビゲートしてくれるから。くれぐれも事故起こさないでね。はじめのうちは慣れるまで慎重にね。」


そういって、女性は受付の方に帰っていった。

京介様の記憶ではこういうものを運転するには、運転免許書が必要なんだけど、僕持ってないよ。いいのかな。あ、ヘルメットの中にグローブと一緒に免許証が入っていた。

根住忠太郎(ねずみちゅうたろう)』って、これ僕の名前?


「ありがとうございました。」と、僕はその背にお礼を言った。

女性はそのまま手を上げて、受付に帰っていった。

よし、とりあえずバイクに慣れながら工場に向かおう。


僕はクラッチを握り、ギアを1速に入れて、滑るように荷捌き場を出ていった。


本社を出てから30分以上かかったけど、僕は何とか工場までたどり着いた。


う~ん。緊張した。


初めて乗ったけどバイクってすごいな。アクセルを回すと、その分だけバイクは加速していく。

ヘルメットをかぶっている分残念だったけど、風を感じて気持ち良かった。

もっとも自分で走った方が早かったかもしれないけどね。

あやかしは身体能力も高いから、かなりの速度で走ることもできる。

もっとも、人の居る所でそんな速度で走ることもできない。

なるほど、だからバイクを渡されたんだね。


それと万眼鏡の機能にも驚いた。自分の目の前に行先までの概略図と、進路方向が矢印で実際に見ている景色に映り込んできた。

はじめは概略図が大きすぎて見にくかったけど、『見にくいな。』と思っただけで、その大きさが変わり、視界の隅に小さく表示された。

僕の考えていることまでこの眼鏡は読み取ってくれるらしい。

それに曲がり角なんかでは目の前の矢印とともに声でも教えてくれた。

これはすごいな。

どうやらこういう機能は京介様がアクティベートしてから顕在化したようで、本来の万眼鏡にこういう機能はなかったらしい。

今度おばば様が京介様を呼びつけて、一度見てみるって言ってた。


僕は何とか事故も起こさず工場について、ヘルメットを脱ぎ、エンジンを止めた。


工場にはすでにトラックが数台出入りしている。まだ看板も何も出てないけど、本当にここだよな。


「お待ちしておりました、総括責任者の忠太郎様。私は第一秘書を務めます猫のあやかしの冴子さえこと申します。どうかよろしくお願いいたします。」


「私は第二秘書の兎のあやかしの雪江と申します。よろしくお願いします。」


僕がバイクを止めてエンジンを切ると、すぐに倉庫と思われる建物から二人の女性が現れ、自己紹介を始めた。


「僕は忠太郎といいます。何もわからず、とりあえずここに来させられました。よろしくお願いします。あ、それとこれ本社の受付の人から預かってきました。万眼鏡のプロトタイプみたいです。」


僕も自己紹介し、本社で預かってきていた万眼鏡を収納ブレスレットから出して渡した。どっちがどっちのものなのかな。そう考えている間もなく、すぐに二人はそれぞれが眼鏡をとった。


冴子さんは、きりっとしたいかにも秘書といった感じで、赤い眼鏡をとった。


雪江さんは、ほんわかした癒し系で、緑のめがねをとった。


それぞれがその場で眼鏡をかけるとすぐにアクティベートが始まったようだ。


少し苦しそうに屈んで耐えていた。僕の時はそんなにつらくなかったけどな。

やはり、記憶されている内容が違ったのかな。


「だ…大丈夫?」


僕は心配して声をかけた。


「だ…大丈夫です。何とかおさまりました。でもこんなにきついとは思いませんでした。」


「確かに…頭の中にモノが詰め込まれるって感じでした。」


二人とも、少しふらふらしている。

アクティベートされた後は、頭の中を整理されていくから徐々に復帰していくだろう。

ほら、もう大丈夫のようだ。


「ありがとうございます。どうやら情報の整理も終わったようです。それではスタッフをご紹介いたしますので、あちらの事務所棟までお越しください。」


そういって、彼女たちが出てきた建物を指示した。

どうやらここが事務所らしい。ここが新たな僕の職場になるのか。

二人について建物の中に入った。

すると、表からは考えられないほど中は広い。

これって『空間拡張』の魔道具を使ってるよな。

僕はつれられるまま、奥に歩いていき『所長室』と書かれた部屋のドアを開け、中に招かれた。


「ここが忠太郎様の執務室になります。」


そういって冴子さんは、奥の机を指さした。

かなり大きな机だ。すでに書類が積んである。


その机の前にソファが置いてあり、そこに四人の男性が腰を掛けていた。


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