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こちら魔道具開発工房  作者: 鴨川 京介
15/17

15 新たな魔法理論?

京介様はその後、様々な工事車両を倉庫に運び込み、一通りの開発をして去っていった。


改良が完成したものから量産化の指示を出して、僕はいったん所長室に引き上げることにした。


いや~。嵐のような一日だった。


僕一人で、あれの改造に手を付けてたら、10日は十分かかっていただろうな。


さて、ここらで落ち着いて僕も一度、10(テン)エレメントの魔法理論についておさらいしておこう。どうやら今日、京介様の手際を見て、その発想の仕方から、魔法の構築の方法まですべて、この10エレメントの熟知にかかっている気がしたからだ。

今まで、資料としてもらっていたけど、結局まで見れていないもんな。その思考データから10エレメントの本質の見極めと分類を先にしておかないと、かなり効率の悪い開発になることが分かったんだ。


【10エレメント】

魔法理論である五行思想を発展させ、新たな魔法理論として、必要な概念を盛り込んだ10の構成素材のことを言う。これにより、今までは現象が確認されていても、その理論構築には至っていなかった時間や空間の概念もこの中に組み入れられている。


【五行思想での5つの構成素材】

●木 【緑】これは植物全般を表す。春を象徴している。

●火 【赤】火、灼熱の状態を表す。夏を象徴している。

●土 【黄】万物を育成、保護する様子を表す。『季節の変わり目』を象徴している。

●金 【白】金属のような冷徹、堅固、確実な性質を表す。秋を象徴している。

●水 【黒】泉から湧き出る水を表す。冬を象徴している。


【10エレメントによる新魔法理論による10の構成素材】

 ●木 植物における成長、進化

 ●火 温度の変化

 ●土 無機物構成素材全般

 ●金 金属類に特化したもの

 ●水 水、水分の流れ、精製

 ○風 空気の流れ、空気の創出

 ○光 闇とついになる明るさ、浄化などの総称 主に魔素そのものに干渉する

 ○闇 光とついになる暗さ、精神操作などの総称 主に負の魔素そのものに干渉する

 ■時間

 ■空間


ただし、時間と空間についてはそれ以外の複合での現象であるため、正確には素材とは言えない。しかし世界を表す重要な構成要素でもあるため、あえてエレメントの中に組み入れている。

現時点(五行魔法理論)で時間と空間は、鴨川京介以外ごく少数しか、その消費MPの多さから使えない。

あやかしの長達が合同で長時間かけて発動できる程度である。

通常使われる素材としては8(エイト)エレメントと呼ぶこともある。


ここまで資料を読み返していて、気づいた。

以前、猫又のおばばが言ってた10エレメントの先のエレメント。


それは…魔素だ。


今日、京介様が銀に魔素を注入して魔力銀に変質させた例を見てもわかるように、魔素はエレメント足りうる性質を持っている。


その特性を書くとすれば、変質、進化になるのかもしれない。


これは空気と同じように目に見えないけど、確かにそこに存在しているもので、魔法理論の当初の五行思想にはなかったものだ。


あの京介様が書いた概念図に当てはめるとすると・・・ひょっとしてあの図すべてを満たすように魔素は存在しているのかもしれない。うん、きっとそうだ。


でも…これを魔法理論の中に組み込むのはちょっと難しいな。


だって、魔素は存在しているけど質量もない。

しかし常に存在していることでエレメント相互間の補助をしている。

魔素は魔法発動に欠かせないものではあるけれど、

京介様の思考語録集『きょうすけぺでぃあ』には魔素が次のように書いてある。


【魔素】

人の思念、精神、魂といったものの総称。

人が死ぬとその精神体は空間に放出される。

通常この状態で終わるが、『怨』や『邪』といった負の精神体になったモノは、それ同士が集まる性質がある。

主に『水』の中に溶け込むことで浄化されるが、異界の魔素が濃い世界にもひかれる性質がある。

通常、池、沼、湖、川、滝などの水のあるところに溜まっている。

水の流れのあるところでは、そこで浄化されるが、水の流れがよどんでいるところでは『負』の魔素がたまりやすい。

異界の結界に負の魔素が集まって付着すると結界を壊していく。

この壊れた結界を『次元のほころび』という。


【負の魔素】

負の魔素とは人や獣といった生き物の精神的苦痛、恨み、邪な心が穢れをまとわりつかせる魔素のことを言う。

時間経過によって、それぞれの個体で浄化は可能だが、負の魔素は集まりやすい性質を持つため、連鎖的に体内に負の魔素を集めるものも少なくない。

これはどんな生き物にも発生する現象だと考えられている。


うん。これってひょっとしてすべてのものが魔素につながってるのかもしれない。


う~ん。これ以上は今の僕では無理だな。


いずれ京介様が解き明かしてくれるまで待っておこう。


…次に会ったときにでも、話がもっとできたらいいのにな。


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