第二十八話 虫取り名人と呼ばれて
喫茶店・【箱庭】は時間限定でプライベートな酒場と化していた。
店そのものは臨時休業扱いの為、
平たく言えば知人同士で開催される飲み会、
それも宅飲みバージョンである。
こう見えて、ここのオーナーである竜二は酒が大好き人間で、
自室ではほぼ毎日のように晩酌をしているという。
ただ飲み過ぎたりすることはないようで、
節度と適度は弁えているようだ。
彼が二日酔いで仕事に来たことは一度も無く、
酒に溺れたという武勇伝も無い。
単に黙秘を貫いているだけで、
竜二の飲みっぷりを知る人間ならば
もしかしたら知っているかも知れないが。
阿里沙はそんな竜二の酒飲み友達なのである。
今回は彼女が持ってきた洋酒フェスティバルのせいで、
昼間からエールをがぶ飲みし、ワインも数種類同時に開け、
ウォッカをグラスに注ぐストレートで一気飲みしていた。
酒に強くない人間ならば急性アルコール中毒まっしぐらなノリだが、
酒豪である二人にとっては問題なんぞあるわけもなかった。
そんな呑兵衛達の巣窟となっている【箱庭】に、
年齢の割に童顔がコンプレックスの金髪少女が、
中の様子を伺いながらドアに手を掛けたのだった。
今日は臨時休業だと聞いていたが、
色々と気になって店を訪れた格好である。
別のバイト先を早引けしてきたのだが、
ここに来る途中の交通機関で体力回復に勤しんだおかげか、
体調は良くなっていたようである。
「こんにちわーって……
大人二人で昼間から何をやっているんですか。」
開口一番の挨拶はそこそこで、いきなり呆れ口調である。
カウンターには酒の種類毎にグラスが用意され、
床には飲み干したと思われる空のビンが転がっている。
カウンターの酒の量は二人分にしては多すぎる量だ。
どのくらい多いかというと、グラスが30個ほど並べられてある。
ソーダ割り・ウーロン割・コーク割・等々バリエーションも豊富のようで、
下手な居酒屋のカクテルよりも多く見える。
恵玲奈は店に入った途端飛び込んできたその様子に、
良くなっていた体調がまた悪くなりそうだった。
「あら、恵玲奈ちゃんじゃない。
おひさー♪ 何ってお酒を飲んでいるのに決まっているじゃない。
目の前に美味しそうなお酒がある、これを飲まない手は無いわ。
ね、竜二君!」
「そうそう♪
いや~洋酒って種類集めるとお金かかるじゃない?
飲める機会は大事にしないとね。」
「この呑兵衛達め……
これでほとんど酔わないって言うんだから、絶対におかしいですよ!」
「ちゃんと酔ってはいるのよ、
他の人みたいにガラッと変わるわけじゃないけどね。」
「僕の場合は体質なのかな、昔っから全然酔わないんだよ。
もう、酔うという行為に憧れすらある。」
恵玲奈の渇いた笑いと溜息が二人の様子を物語る。
恵玲奈はまだ未成年である為、お酒を大手を振って飲めないのだが、
興味がないわけではなかった。
竜二や阿里沙はもちろん、両親もそれなりに嗜むのである。
ビールの味は苦いことや日本酒はかなり独特のニオイがする、
程度の知識はあるが、
何故そんなものを大人達は美味しそうに飲むのだろう。
恵玲奈は二十歳を迎えた暁には
絶対に自分で確かめようと心に決めていた。
「竜二さん、お兄ちゃんとセシルさんは下ですか?」
「ああ、そうだよ。」
「あら、星一朗君と姪っ子ちゃんも来てたの?
何、下の部屋でデート?」
「あははは、【コレクションルーム】でそれは御法度だから。
ちなみに二人はちょっと特殊な仕事をしているんだよ。」
そう言って竜二は人差し指を自分の口に当てた。
酔っていないと言いながら普段の竜二なら
絶対にしないジェスチャーである。
恵玲奈は思った。
この人、酔うという行為に自覚が無いだけじゃないかと。
確かに行動そのものは素面に近い。
「あらら。」
「じゃあ私も下に行ってます。
私もお兄ちゃんから手伝えって言われているし。」
「そうなのね。
星一朗君もなかなか強引じゃない。」
「い、いやぁ、兄妹間の取引というか、似たもの同士というか。」
「???」
引きつり笑いを浮かべたまま恵玲奈は、
失礼しまーすと言って【コレクションルーム】へ繋がる階段を降りていった。
自業自得とはあの場では言えなかったからだ。
恵玲奈は階段を降りながら
兄から依頼されたゲームのデバッグ作業というものについて考えていた。
ゲーマーではないと自称する恵玲奈は、
デバッグ作業という作業そのものの想像がつかないでいたのだ。
言葉は知っている。
兄が良く、バグっただの、ちゃんとバグ取りしろよな、
などと宣っていたからだ。
だからゲームに関係する何かだろうという程度の認識である。
所詮、あのゲーマー兄貴の言う事だ、
ゲーム的感覚で誰でも出来るんだろうとタカを括っていたのであった。
無論、この間違った認識のせいで恵玲奈は苦労することになる。
*******
「お兄ちゃん、セシルさん、来ましたよー。」
「来たか。」
「いらっしゃい恵玲奈ちゃん。」
星一朗はソファーに腰を降ろしてA4換算で
印刷物数百枚にも及ぶスクリプトの校正チェック真っ最中だった。
右手に赤いペンを握りしめてこっちへ来いと手招きしている。
歴史小説のハードカバー並の厚さである。
セシルはと言うとパソコンにコントローラパッドを繋げ、
チェック用のゲームを動かしていたが、
パソコンの側には表計算ソフトで作ったと思われる
細かいマトリクス表とチェックリストの紙が添えられていた。
よく見ればノートパソコンだけで3台稼働しており、
チェック用2台・資料閲覧とデータ入力用1台という割り振りだった。
「お兄ちゃんが真面目に仕事をしている!?」
「感嘆符と疑問符を同時につけるんじゃねぇよ。
ほら、こいつが恵玲奈の分。」
そう言って星一朗は今まで見ていた印刷物を
どさっとそのまま恵玲奈に手渡す。
どうやら手に持っていたのは恵玲奈の分だったようである。
「取り敢えずお前が来るまで俺が少しだけ作業やっといた。
つってもテキスト校正だから
デバッグ作業というには初歩の初歩にすぎねぇが。」
「あ、うん、ありがと。
って私がやるのってテキスト校正なの?
デバッグって?」
「ゲーマーじゃないお前に
いきなりゲームシステムのチェック何か任せられるかよ。
まずバグがどんなのかってイマイチ分かってねーだろ。」
「お、おう。」
普段はだらしないゲームバカ兄のくせにっと
何故か悔しい恵玲奈であった。
でもそう思ったのは最初だけ。
星一朗は真摯に恵玲奈にデバッグ作業について、
バグとはなんぞやと細かく説明をした。
要領が良い恵玲奈である。
飲み込みの早さも相まって、
兄が言っている事の大半を理解するのに時間は掛らなかった。
「……なるほど、かなり効率よく立ち回っていかないと
この人数じゃバグを取り切るなんて無理ってことなんだね。」
「そゆこと。
ゲームのデータ更新の頻度にもよるが、
かなり時間的に厳しいのは間違いない。
そこでデータ更新に際して大きな影響が出にくい、
ゲーム中のテキストチェックを真っ先にブツしておこうという話だ。」
「テキスト関連はどのくらいの期間で考えているの?」
「2日。
と言うか紙と赤ペンを使えば1日で行けるぜ。
アナログをなめんなよ。
悦郎には2日と言ってあるけど、
進捗次第ではさっさと終わらせて
メインであるシステム系チェックへ移るつもりさ。」
思わず吹き出す恵玲奈。
セシルも遠くで聞いていたのか、
二人に辛うじて聞こえる程度の声でそう思いますよねーと言っていた。
だが、星一朗の表情は真面目そのもの。
彼の並々ならぬ作業経験と人材の作業能力、
さらにはこれまでの進捗ペースから算出した数字である。
無理では無い数字だと星一朗は考えていた。
「……ん、そういや恵玲奈。」
「なに?」
そう言うと星一朗は恵玲奈の額に手を当てて体温を測る。
思わずびくっと身体が動く恵玲奈。
いきなり何しているんだこの兄貴は、と言いたいところだったが
手がヒンヤリとしてて気持ちよかった。
星一朗の眉がぴくっと動く。
妹の体調不良を察したようで、指示した作業内容を改め始めた。
「熱はねぇようだが、
お前、今日体調悪いんだったけな……
だったらテキストチェックは止めてゲームの仕様把握だけにしとくかー。
別にテキストチェックの進捗は悪くねーし、
正直俺一人でも何とかならんことはない。」
「気にしないで、何か移動中に気分良くなったから。
それにこっち来る前、栄養ドリンク飲んできたし。
まずかったけど。」
「……ならいいけど、だるくなったらすぐ言えよ。
幸い、ここには仮眠室もあるし、横になってりゃいい。」
「うん、わかった。
じゃあ、早速これでチェックしていくね。」
それから作業終了までの数時間、
星一朗に指示を請いながらバグレポート作成と
チェック作業に従事したのだった。
この手の作業は思った以上に精神力と体力を消耗する。
無駄に長々とやっても効率面やチェック精度に支障が出る。
星一朗は1日の作業時間を通常の仕事同様に
拘束9時間の内休憩一時間で報告していた。
つまりよっぽどがない限り徹夜作業は無しである。
********
星一朗は二人が報告したレポートを一通り確認していた。
報告された内容の再確認というよりは、
報告文章に不備が無いかのチェックである。
重大なバグを発見しても正しく報告されなければ
レポートとして価値がないのである。
星一朗は眉間にシワを寄せながら必死にキーボードをカタカタ押していた。
「セシルさん、
お兄ちゃんが真面目に仕事しているのって、何か気持ち悪いですよね。」
「え、恵玲奈ちゃん、それはヒドいかも。」
「だって普段、ゲームゲーム言っているゲームバカの兄ですよ?
もう何かに取り憑かれたとしか……。」
「チェスター君の天職なんだよきっと!
だって凄い判断も速いし、何でも知っているし、頼りになるじゃない。」
「ま、まあ、頼りになったのは事実なので認めますけど……。」
うーん、と星一朗は背伸びをして立ち上がった。
どうやらバグレポートのチェックが終わったようである。
星一朗が操作していたノートパソコンの画面では
データ転送終了を告げるダイアログが表示されていた。
「今日の分は共有に挙げておいたから、作業終了なー。
いやー、どっと疲れたわマジで。
あとで俺から悦郎に連絡はしておくから二人はもう上がって良いぜ。」
と言って星一朗はふむと言って腕を組む。
「今日作業して思ったが、今後も出来ればここでやりたいな。
環境上、パソコンがあれば出来るけど作業指示だったり
作業スペースの問題もあるし、
ここほど適した場所もそうそう無い。」
「確かにそうですね。
あたし達も分からないところはすぐに質問しておきたいですし、
まだまだ不安点は多いですし。」
「だよなぁ……竜二さんに交渉してみるか。
場所代出すくらいの覚悟はしておこう。」
「おじさまなら、別に構わないよって言ってくれそうですけどね。」
確かに、と星一朗と恵玲奈は同時に笑った。
じゃああたしはと言って、
セシルは恵玲奈の手を引いて一緒に上に行こうと促した。
恵玲奈はセシルに手を引かれながら、
何か大事な事があったようなと引っ掛かるものがあった。
竜二、上の階、甘い香り?デバッグ作業をしていた事も有り、
疲れている事も有り、なかなか思いだせないでいた。
「じゃあおじさまにその件を伝えてきますね。
恵玲奈ちゃん一緒に行こうー。」
「はーい、あっ……
そういや竜二さん達は今酒盛りしてるんだった……。」
「竜二さん達が酒盛り?
なんだそれ。」
「えっと……お酒ですか?」
恵玲奈の発言に思わず疑問符を飛ばす星一朗とセシル。
喫茶店で酒盛りとはこれいかにという表情だ。
恵玲奈の話から察するに昼間から酒瓶を開けていたことになる。
「阿里沙さんがお酒持ってきたみたいで、
二人でかっぱかっぱと浴びるように飲んでたよ。
と言ってもかれこれ数時間前の話だけど。」
「阿里沙姉さん来てんのか。
……いや、あの二人ならまだやっている可能性が高いぞ。
俺は何度か目撃しているし、知っている。
酒が入ったあの二人を止められるモノは、
酒と酒の肴が切れたときだけだと。」
星一朗は二人が部屋を出たのを確認した後、
ポケットに入れていたスマートフォンを取り出し
悦郎のアドレスを呼び出す。
メールで終了したという連絡をしてもいいのだが、
それでは味気ないというところと、直に話しておきたいこともあった。
『お疲れ星一朗、終了報告か?』
「お疲れ。
まあ、そんなところだな。」
『虫取り名人と言って良いか?
大したものだ、まさかこれほど報告が来るとは。
開発連中が血反吐を吐きながら虚ろ目で驚いている。
奴らは化物か、とな。』
「俺は虫取り少年じゃねぇよ。
ってそうじゃなくてだな、
電話したのはメールじゃ
ちと説明がややこしくなりそうな相談事があってなー。」
『なんだ改まって。』
一呼吸おいて星一朗は言葉を発する。
少々キツメの言葉使いになるが、
その程度で悦郎は気分を害したりはしないだろう。
星一朗の悦郎に対する信頼の程が伺える。
「率直に言うが、データの出来が悪すぎるぞ。
辛うじてデバッグ作業は出来ているが、
仕様の実装状況やバグフィックスのタイミングを考えるなら、
十中八九で人足が欲しい。
グラフィックも未実装箇所が多いこともあって、
どこから報告したものか苦慮しているんだ。
何とかならんか。」
『ふむ、やはりか。』
悦郎の返答はあっさりとしたものだった。
ある程度予想していたのだろうか。
『システム実装については安心しろ、
今週末までに全実装の見込みは立っている。
そこから大きな仕様変更や肉付けをしなければ、だが。』
「本当かよそりゃ。」
『こっちも必死だからな。
コンテストに参加できなければ無意味だ、何が何でも間に合わせる。』
「ひゅー、鬼プロデューサーみたいな台詞吐きやがって。
了解だ、こっちもその意気込みに応えようと思うが、
今後やはり人手が不足する公算が高い。
最悪、こっちで一人見繕うつもりだが、構わんか?」
『分かった。
その時は先に連絡をくれ、作業代についてはお上の承認がいる。』
「お上?」
学校のサークル活動の割に、
そんな物々しい存在がいるのかと星一朗は時代劇の殿様を想像していた。
悦郎らしい言い回しだというのは分かっているが、
それでも妙に可笑しくて笑ってしまった。
『常識的に考えてみろ。
一介の学生風情が用意できる開発資金ではないだろう?
パトロンがいるのだよ、オレ達にはな。』
「出資者いんのかよ、すげぇ
……まあ、そういうことなら必要になったらすぐに連絡する。」
『頼む。
恵玲奈と本条さんによろしく言っておいてくれ。』
そう言って電話を切った。
悦郎の背後でチラつく”お上”の存在は今は置いておくとして、
星一朗は早速パソコンのキーボードとマウスに手を乗せると、
仮組で作っていた作業管理表の完成を急いだ。
ロードマップとも言うが、
あるのと無いのとでは精神的に大きな違いが生じる。
そう、時間が無いというプレッシャーが視認できるのである。
だが、逆に言えば”妥協”や”先手”を打つことも出来る。
長期間の製作作業に置いてこういった
アナログな要素は必ず必要なのである。
星一朗はバイトでその事を身に染みていた。
「自分で作っといてなんだけど、
やっぱカツカツだな……栗野召還すっか?」
と言いながらスマートフォンの”栗野海斗”のアドレスを開く。
確かに大学の後輩であり、
妙に多彩な栗野ならば簡単な説明だけでデバッグ作業をこなせるだろう。
だが、忙しい身の上なのは分かっている話。
星一朗は取り敢えず現状メンバーで
やれるだけやってみるかと思い直すのだった。
********
星一朗がロードマップを作成してから約一週間、
恵玲奈とセシルはデバッグ作業の本当の姿を見ていた。
連日のように行われるシステム修正のバグフィックスと
大規模なテキスト不具合の修正。
そのたびに発生するセーブデータ削除からの新規作成。
そして修正したと報告された箇所のバグ再発地獄。
デスマーチという言葉があるが、
この場合、デスワルツだろうと星一朗は語っている。
デバッガー・プログラマー・仕様書が織りなす地獄へ至る死の円舞曲。
だが全く希望がないわけではない。
少しずつだが完成度が上がっているのをデバッガー3人は実感していた。
今まで起こっていたフリーズバグが無くなり、
文字化けしていた会話テキストがハッキリと読めるようになり、
ダメージの計算式が正しいものになっていたり。
同じトコロを繰り返しプレイする行為に
恵玲奈もセシルも不満の表情を隠せなかったのだが、
いつしか自分が報告したバグが直っていることに気づくと、
その確認のためにプレイするようになった。
修正確認作業も順調に進み、
大方のテキスト不具合は全て片付け
エンドロールも確認出来るようになったのだった。
「……ふぁあ~今日はもう終わりですね~、疲れた~。」
「はい、お疲れさん。
今週末はなかなかハードだったわ……連日更新かけやがって。」
ソファーに寝転がって寝ながら背伸びをするセシル。
思わずそれを見ていた星一朗はセシルの下半身に視線が移る。
ロングスカートを履いていたとはいえ、
間違って中が見えてしまってはと思ったり思わなかったりの星一朗である。
「明日だっけ?
悦郎君が様子見に来るの。」
「あ? あ、ああ、その予定だな。
まあ、本来ならこっちに来る余裕なんてないんだろうけど、
”デバッグの方向性と妥協点を探る為には一度来なくてはな”
とか言ってたし、必要なことなんだろう。」
「ふふふ、やはり自分達で作ったゲームなんです。
デバッグ作業も気になるでしょうけど、
ファーストプレイヤーからの感想が聞きたいんじゃないですか?」
星一朗はセシルの意見を聞いて、おおっと感嘆の声を挙げた。
確かにその通りだ。
いくらコンテスト用に作っているゲーム、
しかも開発真っ直中とは言え、
苦労して作っているゲームなのは間違いない。
そのゲームの感想を直に聞ける機会なんてそうあるものじゃない。
もしかしたらその感想を持ち帰って、
開発陣達に聞かせるのが本当の目的なのかも知れないな
と星一朗は深読みしていた。
「確かにありそう。
悦郎君ってわりとそういうこと気にするタイプだったし。」
「ははは、言われてんぞ悦郎。」
作業の片付けをしながらセシルは口を開く。
アナログとデジタルの合わせ技で作業をやっている関係上、
どうしてもゴミが出てしまう。
床には資料の印刷物や修正箇所を示したメモが散乱していた。
紙を散乱させた犯人はだいたい決まっているが。
「話変わっちゃいますけど、
やっぱりあっさりと部屋を貸してくれること、
おじさまは了承してくれましたね。」
「だなー、腰砕けだよ全く。」
「お店の混雑具合も収まったし、そのせいじゃないの?
おかげで私は割の良いバイト先を失ったわけですが。」
「そういやあの人気っぷりはなんだったんだろうな。」
「さぁ……おじさまは分析する気はないみたいです。
もしかしたら恒久的に集客できるようになるかもしれないのに。」
「そこらへんが竜二さんらしさだよ。」
妙に説得力のある星一朗の言葉に、
恵玲奈もセシルも次の言葉を失ってしまったのだった。
そう言えば竜二さんってそういう人だよね、という意味で。
話題の人物、竜二はと言うと
客足が減った事も有りまたまったりと午後のラジオを聞きながら、
雑紙をめくりつつ自前のコーヒーをすする日々を送っている。
続く!
ゲームソフトの選定は作者個人の独断とプレイ経験で決定しています。
一部偏ってしまう事もありますが、何卒ご了承ください。
デバッグ作業・バグの内容については架空の症状です。




