〜遺跡へ〜
「述明!ご飯!」
母さんに呼ばれて居間に向かう。
久しぶりに家族が揃う。
「述明!鍵大事にしろよっ!」
「大事にって...こんなもんどうしようもないだろ...」
親父に鍵をつきつける。
「ネックレスとかにしたらいいんじゃない?」
「さすがゆみー!ほらっ!使い道あるじゃないかっ!」
そういうのは自分で意見を出した人間が言うものだ。
「ほらっ!ここにチェーン通したらかっこいい!」
母さんに無理やり鍵をネックレスにされ渡された。
確かにこれならかっこいいかもしれないな...
「あ、そうだ! 述明っ!明後日から一緒に遺跡に行かないか?」
「は?」
「どうせ夏休みだし暇だろ?いっしょに古代のロマンをだな...」
「断る...そんな退屈そうなところ行きたくない」
「えっ⁈そんな即答⁈ せっかくお前のために自衛隊のヘリ1機チャーターしたのに...」
「は...?」
「だから...自衛隊にお願いしちゃったのっ♡」
「てめぇ...もう行くしかないじゃねぇかよッ!」
「ま、そういう事になるな...」
「あぁぁぁ⁈ めんどくせぇぇぇ」
「そーゆーことだからちゃんと準備しとけよっ☆」
こうして俺は遺跡に無理やり連れて行かれる事になった。
2日後
「いってきます......」
明らかに俺の気分がのっていないことを自衛隊員は察しているようだ。
「いってらっしゃい!自衛隊のみなさん。息子をよろしくお願いします。」
母さんはそんな俺や自衛隊員に構わず手を振る。
ヘリはみるみるうちに高度を上げていく。
そしてゆっくりと遺跡へ向って飛んだ。
遺跡までは2時間で到着した。
はじめてのヘリだったので案外退屈はしなかったが相変わらず気分はのらなかった。
だが遺跡に着いてみると...
「うわ...ここなら案外退屈はしないかも...」
土井遺跡は想像していたものとは全く違っていた。
遺跡というよりも機械都市だ。
こんなものが海底に沈んでいたのか...
そこにはさっきまでの自分ではなく遺跡探索に心を踊らせる自分がいた。